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国際海洋情報(2023年3月28日号)

1.仏に欧州最大の海洋再生エネルギー試験センターが発足

浮体式洋上風力発電・潮汐発電・波力発電などの海洋再生可能エネルギー専用の欧州最大の試験センターが、EDF/RTE/Total Energiesなど官民の10の組織によって、仏に設置された。試験センターの名称は、OPEN-C Foundationで、Bordeaux/Mistralなど大西洋岸と地中海に面した既存の5か所の試験所から構成される。OPEN-C Foundationは、今後3年間で、第2世代の洋上風力タービンの5つの異なるプロトタイプ、洋上グリーン水素製造、浮体式太陽光パネルの実験などを実施する予定。各プロジェクトのリーダーにとっては、OPEN-C Foundationのような試験場を利用することによって、試験を実施するための許可を取ることが簡単になり、既存のインフラを活用し、試験場の海域のデーターも用意されているなどのメリットがある。試験場では、ブレード先端までの高さが350m以内、発電力20MW以内のタービンを同時に試験することが可能。

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Offshore Energy (3/28)


2.欧州委員会と独がe燃料のみ使用する内燃機関自動車の新車販売継続に合意

EU加盟国政府は、2035年から、内燃機関を使用する自動車の新車販売を禁止することで合意していたが、最終段階で、欧州最大の自動車生産国である独が、炭素中立のe燃料絵だけ使用する内燃機関自動車の販売を2035年以降も認めるべきと主張して、EUとしての意思決定が先送りされていたが、独政府の主張に従い、3月25日、欧州委員会との調整がまとまった。この合意に対し、Greenpeaceは、この合意に対し、直ちに反対声明を出して、e燃料の生産には、大量の高価な再生可能電力が必要で、e燃料を使用する内燃機関自動車は、EVに比べて5倍の再生可能電力が必要になるとしている。

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DW (3/28)


3.コンテナの過去3年間の利払い前・税引き前の利益合計額が以前の63年分の合計を上回る

Sea-Intelligence社が発表した、コンテナ海運業界の利払い前・税引き前の利益額(EBIT)の合計は、2022年に2080億ドルとなり、2021年の1640億ドル、2020年の240億ドルと合計した3年間のEBITの合計額は、コンテナ海運というビジネスが始まってから2019年までの63年間の合計EBITを上回った。複数のコンテナの指標が、既に過去数か月下降に転じ、底を打つ気配はないが、2023年のEBITの見通しについては、予測が割れているが、Drewry社は、2023年もコンテナ業界全体で150億ドルの利益を上げる見通しとしている。Xeneta社によれば、2023年はコンテナ業界にとっては、過剰船腹の管理が課題となり、欠航・係船・解撤などの選択肢を順次選択することになるとしている。Clarksons Research社によると、今年に入ってから現在までのコンテナ船の運航速度は前年同期比で3.5%既に減少している。

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Splash247 (3/28)


4.影の船隊としてロシアの石油を運ぶ老朽タンカーの危険性

1997年に建造された老朽タンカーTurba号は、2017年以降、完全な船舶検査を受けず、標準的な保険にも入らずに、安全監督能力の低い旗国に登録されたまま、G7とEUによる制裁をかいくぐるロシアの影の船隊の一員として、サンクトペテルスブルグ港からロシア産重油の輸送に従事している。世界で海上輸送に従事している船舶の平均船齢は、過去20年間の中で、最も高くなっており、壊滅的な油濁事故を引き起こす恐れがある。通常であれば、タンカーの船主は船齢が15年になったころから解撤することを検討し始め、船齢が20年に達する前に解撤のために売却する。船舶関連の情報システムであるEquasisによれば、12月上旬から2月上旬にかけて、最低でも40隻以上のタンカーが、ロシア産の石油を中国またはインドに輸送しているが、これらのタンカーはInternational Group of P&Iによる保険の対象となっていないし、定期的な船舶安全検査も受けていない。Turba号を含む3隻は船級すら持っていない。Turba号は2002年11月にスペイン沖で大規模油濁事故を起こしたPrestige号の当時の船齢と同じで、Prestigeと同じロシアの港から同種の重油の輸送に従事している。

原文

gCaptain(Bloomberg) (3/28)