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国際海洋情報(2023年3月24日号)

1.欧州委員会:Green Claims指令案を発表

欧州委員会が、2020年に実施した調査では、EU域内で「環境に良い」として宣伝されている商品のうち、53.3%の宣伝文句は、漠然・不正確なもので、40%は全く根拠のないものだった。このような状況を改善するために、欧州委員会は、3月22日、「greenwashingと不正確な環境面での効用」を判定する統一基準をGreen Claims 指令案として発表した。この基準に従えば、消費者は環境に良いと宣伝されて発売されている商品が、本当に環境に良い製品なのか明確に確認できるようになる。また、自社製品をより環境上持続可能性のあるものに改善しようと純粋な努力を続けている企業にとっては、自社製品をこの基準に適合させることにより、消費者に環境に優れた製品としてより簡単に認識・選択され、まがい物との不公正な競争をせずに売り上げを伸ばすことができる。こうしてこの指令案によって、製品の環境上の性能に関する情報について、公正な競争条件が確保することができる。

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欧州委員会 (3/24)


2.中国の新規石炭火力発電所が経済的に優位性の無い重荷となる可能性

Draworld Energy Research Centreは、現在中国が建設を進めている新たな石炭火力発電所は不必要で、再生可能エネルギーと比較しても価格競争力のない重荷となるとする分析を発表したところその概要は以下のとおり。①中国は世界で最大かつ最も急速に再生可能エネルギーの整備を進めており、2020年ですでに全電力の28.8%が再生可能発電によって発電しており、2025年にはこのシェアが1/3まで拡大する見込み。②一方で、2020年の大干ばつによって水力発電能力が落ちて、中国南西部では電力不足が深刻となったため、中国政府は、同年中に対前年比4倍以上となる106GW分の石炭火力発電所の新設計画を認め、このうちの半分は既に建設が始まっており、国家発展改革委員会は最低でも200GW分の石炭火力発電所が、再生可能エネルギーのバックアップとして必要としている。③2022年において、中国の電力供給量の58.4%が石炭火力発電所によって供給されたが、石炭価格の高騰によって、国内の過半数の大規模石炭火力発電事業者は2022年前半には赤字操業であり、この結果、水力発電所が機能不全に陥っていたにもかかわらず、昨年の石炭火力発電所の平均稼働率はわずかに低下して52.4%にとどまっている。④現在、中国の石炭火力発電所は地域ごとに電力を供給しているが、既存の石炭火力発電所を全国レベルの発電網でつなげば、既存の石炭火力発電所だけで十分再生可能エネ発電のバックアップとなりうる。

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Reuters (3/24)


3.米国エネルギー省:エアコンと空気洗浄機のエネルギー効率基準を引き上げ

3月23日、米国エネルギー省(DOE)は、家庭の光熱費を引き下げ、環境汚染を削減するため、室内エアコンと持ち運び可能な空気清浄機に関する新たなエネルギー効率基準を発表した。この基準の適用により、年間合計で約15億ドル(約1950億円)の光熱費の節約に加えて、今後30年間で1.06億㎥のCO₂の排出を削減することとなる。新たな基準は、空気清浄機については2024年から、室内エアコンについては2026年から適用される。DOEは1990年からエアコンのエネルギー効率基準を3回引き上げ、この結果、エアコンのエネルギー効率は、33年間で39%上昇した。空気清浄機に関して、連邦レベルのエネルギー効率基準を定めるには今回が初めてで、27%のエネルギー効率の改善が期待できる。

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DOE (3/24)


4.FuelEU Maritime initiative:欧州理事会と欧州議会が暫定政治合意

3月23日、欧州理事会と欧州議会は欧州委員会が提案していたFuelEU Maritime intiativeに対する修正案について政治的な暫定合意をしたところその概要は以下のとおり。①船舶は燃料中のGHGの割合を、2020年における水準(CO₂91.16g/MJ)から、2025年までに2%、2030年までに6%、2035年までに14.5%、2040年までに31%、2045年までに62%、2050年までに80%削減する。②適用対象となるのは、船舶から排出される全CO₂の90%を排出する5000GT以上の船舶で、EU域内の航海には100%、EU域外(EU海外領土も含む) との航海については50%適用される。③2028年までに、適用対象となる船舶のトン数を引き下げ、EU域外との航海に適用される比率の引き上げの可能性について再検討を行う。④非バイオ再生可能燃料(RFNBO)を使用する船主に対しては、排出するCO₂の量を相殺する形でのインセンティブを2925年から2034年の間、与える。⑤2030年までにRFNBOのシェアが1%を越えなければ、2034年までに再生可能燃料のシェアを2%に引き上げることを目標とする。⑥着岸中においては、陸上電源(OPS)の使用または、代替的なゼロエミッション技術の使用を、コンテナ船と旅客船については、主たるEUの港湾においては、2030年までに、その他のOPS電源が整備された港湾については2035年までに義務付ける。

原文

Offshore Energy (3/24)