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国際海洋情報(2023年3月23日号)

1.欧州委員会:合成e燃料のみ使用する内燃機関自動車を許容する案を作成

欧州委員会は、EU域内において2035年から内燃機関を使用する自動車の新車販売を禁止する法案に関し、独政府と合意するために、回収したCO₂を使用した合成e燃料だけを燃料とする内燃機関自動車という新たなカテゴリーを設けて、新車販売を引き続き認める案を作成した。合成e燃料だけ使用できることを担保するために、それ以外の燃料が使われた場合に、エンジンがかからないような不正予防技術の導入を条件として求める方針。但し、既に欧州委員会・欧州理事会・欧州理事会で合意済みの内燃機関自動車の段階的な廃止法が成立した後でなければ、合成e燃料を使用する新たな自動車関する提案はしないと欧州委員会はコメントしている。

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Reuters (3/23)


2.WMO:2027年までに世界のすべての場所で早期警報システム稼働へ

過去50年間に、記録に残る自然災害の数は5倍増し、この傾向は今後も続くことが予測され、何の対策も取られなかったら、中規模・大規模自然災害の数が、2030年までに年間560件、一日当たり1.5件に増大し、世界中で緊急対応することが、より困難・不確実・複雑になることが予測される。さらに、最近アフリカ南東部で発生した熱帯サイクロンは、増え続ける異常気象や気候変動から、人々や生活を守るために、早期警報システムが果たす重要性を再確認させた。2027年までに全世界ですべての人々が早期警報システムの恩恵を受けることができるように、国連事務総長は、国連専門機関・多国間開発銀行・人道支援組織・保険/IT業界のトップを集めて、Advisory Panelを3月21日開催し、より政治的・技術的・資金的に支援するよう要請した。まずは、最も異常気象のリスクにさらされている小島嶼発展途上国や後進発展途上国を含む30か国について、重点的に各組織が力を合わせて、早期警報システムの導入に努めることに合意した。

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WMO (3/23)


3.欧州議会法務委員会:環境犯罪の類型の拡大と罰則の強化を承認

環境犯罪は、国際犯罪の中で最も収益率が高く、拡大している犯罪の分野で、年間2000億ポンド(約32兆円)以上の不法収益があげられている。こうした状況に対応するため、欧州委員会は2021年12月に、環境犯罪指令を改正し、加盟国間で、環境犯罪者を罰する枠組みの整合性を図る提案を行った。欧州委員会の提案を受けて、欧州議会では、違法な木材の取引、不法利用に伴う水源の枯渇、船舶による環境汚染、EU化学規則違反などを新たに環境犯罪の対象に加えるとともに、罰金額を、違反行為を行った企業が全世界において過去3年間に売り上げた総売上額の最低10%以上とし、犯罪の個人の禁固期間を4年から10年へと大幅に強化することを、欧州議会法務委員会は、3月21日、全会一致で承認した。さらに当該企業は公的資金の供与を拒否され、事業免許をはく奪され、「汚染者負担の原則」に従い、環境被害を復元し、被害者に補償を行わなくてはならない。

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Euractiv (3/23)


4.英国:2022年のエネルギー輸入額が対前年比2倍増以上で過去最高

3月28日に発表される予定の英国洋上エネルギー協会のBusiness Outlook報告書によれば、2022年に英国が外国から輸入したエネルギーの総額は、対前年比2倍以上の1170億ポンド(約18.8兆円)となり、1000億ポンドを超えたのは、歴史上初めてで、1家庭当たり4200ポンド(約68万円)となった。その内訳としては、原油などの石油関連製品の輸入に630億ポンド、天然ガスの輸入に490億ポンド、残りは石炭と電力の購入に充てられた。英国の石油ガス業界への重税が今後とも続けば、海外からのエネルギーの輸入額の今後数年間は2022年の水準にとどまる見込み。ウクライナ侵攻に伴う世界エネルギー価格の高騰、コロナ後の世界的なインフレと需要の増加、ポンドの対ドル相場の下落が、輸入額増加の原因として考えられる。国別にみると、英国は天然ガスの輸入の30%以上をノルウェーからの輸入に依存しているが、輸入額は2019年には130億ポンドだったのが、2022年には410億ポンドと3倍以上に増加している。

原文

Belfast Telegraph (3/23)