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国際海洋情報(2023年3月19日号)

1.北極海の海氷の冬季最大面積が史上5番目に狭い面積に

米国雪氷情報センターによれば、3月6日に、北極海の海氷の面積が本年の最大面積に達した模様で、1462万㎢と衛星による観測が45年前に開始されて以来、5番目に狭い面積となった。この面積は、1981年から2010年までの平均海氷最大面積である1565万㎢と比べると103万㎢狭い一方で、これまでの最小であった2017年の1441万㎢よりは21万㎢広いこととなる。一方、南極海の海氷は、2月21日に、本年の最小面積である179万㎢に達し、2年連続で史上最小記録を更新した。

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NSIDC (3/19)


2.解説:欧州重要原材料法の概要

標記以下のとおり。①重要原材料(CRM)は、炭素中立産業・デジタル・宇宙・防衛などのEUの戦略産業に必要な広範な技術に不可欠な原材料であり、グリーン/デジタル転換に伴い、今後益々需要量が急増するが、幾つかのCRMの90%以上は中国に依存しており、経済的・社会的・安全保障上のリスクとなっている。②欧州重要原材料(ECRM)法は、ECRMのバリューチェーンのすべての段階を強化し、ECMRの輸入先を多元化して特定国への依存を減らし、CRM供給が混乱するリスクを監視・緩和するためのEUの能力を向上させ、CRMの循環性・持続可能性を改善する。③2030年までに欧州域内で確保すべきシェアとして、CRMの採鉱については最低10%以上、加工については最低40%以上、リサイクルについては最低15%以上とし、以上の各段階において、特定の第3国(中国)への依存度を65%以下とすること。④欧州委員会は、「重要原材料クラブ」というアライアンスをパートナー国と結成し、CRMのサプライチェーンの強化と調達先を多元化する。

原文

欧州委員会 (3/19)


3.ITF:クック諸島・パラオ・シエラレオネ・トーゴ籍船を集中監査

クック諸島・パラオ・シエラレオネ・トーゴといった便宜置籍国に置籍する船舶によって、過去2年間において、100人以上の船員が放棄され、550万ドル以上(約7.3億円)の船員賃金の未払いが発生し、欧州諸国のPSC検査によって5200件以上の改善措置が必要な点が指摘され、出港を差し止められたことから、国際運輸労連(ITF)の監査官とPSC検査官は、地中海において、今後8週間、上記4船籍の最大1000隻のサブスタンダード船舶について、安全性・保守管理・船員福祉の観点から集中的に検査を実施する予定。これらの4置籍国は、他の船舶登録国が扱わないような、老朽化して十分な保守管理がされていない危険な船舶を、資金稼ぎが目的で登録している。

原文

gCaptain (3/19)


4.中国:2025年までに世界の1/3のリチウムを支配下に

リチウムは電気自動車のバッテリーを製造するために不可欠だが、UBS銀行が3月10日発表したところによれば、アフリカ諸国を含む中国が支配するリチウム鉱山の産出量は、2022年の19.4万トンから、2025年には70.5万トンに拡大し、この結果、世界シェアも24%から32%に拡大する見通し。中国国内ではレピドライトなどからリチウムが生産され、2022年には8.8万トン生産されたが、中国政府の継続的な支援を受けて2025年には、28万トンに生産量が拡大し、世界シェアの13%が中国国内で生産される見込み。

原文

Mining Weekly (Bloomberg)