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国際海洋情報(2023年2月22日号)

1.ISSB:IFRS S1&S2基準を6月までに完成・発表

国際持続可能性基準審議会(ISSB)はS1とS2の2つの基準を6月末までに発表し、これらの基準に従って、企業が2025年から企業報告を発表することを期待すると表明した。2月15日の週にISSBがモントリオールで会議を開催し、2022年から協議が続けられていた2つの基準の技術的な内容に合意した。国際財務報告基準S1基準は、廃棄物や排気などについての開示基準を統合するため、全世界のすべての部門のすべての企業に適用される持続可能性に関する報告の革新的な基準であるとともに、持続可能性に関係する全ての重要なリスクと契機についても企業が情報公開する計画を示している。S2基準は、気候変動緩和対策と気候変動適応策に関する基準で、気候変動関連財務情報タスクフォースが作成した既存の情報開示に関する枠組みを基に発展させるもの。

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Edie (2/22)


2.ICS:ウクライナ紛争1周年にあたり、残された船員と船舶の解放を要請

国際海運評議会(ICS)は、2月24日でウクライナ紛争1周年を迎えるにあたり、まだウクライナの港に取り残されている331人の船員と62隻の船舶の解放を求めて、30以上の組織と共同で国連事務総長に公開書簡を送ったところその概要は以下のとおり。①国連並びに外交的力を持つ国連事務総長に対し、未だ黒海とアゾフ海のウクライナの港に拘束されている船員と船舶を即時解放する支援を求める。②船員は海運の宝であり、決して忘れ去られてはいけない存在で、彼らの力の及ばないところで、12か月にも及び、彼らの命をかけながら、職務を遂行している。③トルコの仲介により、国連がウクライナとロシアの間に立って、黒海穀物イニシアティブを成功裏に実施していることを認知し、穀物と肥料が最も必要とされているところに安全に送り、急騰しかねない穀物価格の抑制に貢献しているが、こうした成功が、無実の船員の犠牲のもとに行われるべきではない。

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ICS (2/22)


3.世界で気候変動に脆弱な地域のトップ20のうち16か所が中国に

気候変動に関するリスクを分析する専門機関であるXDIが、世界の2600か所以上の地域について、気候変動に関する政府間パネルによる今世紀末までに、産業革命以前と比較して、3℃気温が上昇するとするシナリオと、気候・環境データを用いて、2050年までに気温が何度上昇して、経済的な損害がどれだけ発生するか分析を行った。この結果、海面上昇・河川の氾濫・山火事などの壊滅的な自然災害によって、世界で最も脆弱な状況に置かれる20地域のうち、世界で最も重要な製造業のハブである地域を含む16地域が中国国内にあることがわかった。具体的には、中国のGDPの10%を担う江蘇省の沿岸域が、世界で最も危険性の高い地域となり、2位が隣接する山東省、3位が鉄鋼業の中心地である河北省、洪水の危険性が高い河南省が4位にランクされた。世界の工業生産がアジアに移転し、中国の伝統的に自然災害のリスクが多い、河川のデルタ地域・沿岸部・平野部に投資が集 中している。中国以外の地域で最も危険性が高い地域は10位のフロリダで、カリフォリニア州が19位、ニューヨークが49位となっている。

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Reuters (2/22)


4.交通と環境:航空機に関するEU taxonomy規則の基準強化を求める

1990年から2017年の間に、航空機の燃費効率は18%上昇したものの、同期間中に航空機から排出されたCO₂の量は、129%増加した。国際民間航空機関は航空機のCO₂効率基準を設定しているが、最近の新型航空機の大部分が、このICAOの設定基準より10%から20%良い効率を既に達成しているため、これらの航空機から排出されるCO₂量は15%から20%削減される見込みだが、現在、欧州委員会が検討している基準では、既存の航空機がこれらの新型機によって代替される場合、EU Taxonomy上、Best-In-Classと認定されるので、現在航空会社が発注している航空機の90%以上が、ほぼすべての燃料を化石燃料に依存しているにもかかわらず、Best-In-Classな航空機として、グリーンな投資対象として認定される見込みである。交通と環境は、欧州委員会に対しこのような甘い基準を見直し、ゼロエミッションの航空機とか高品質の持続可能な航空燃料といった真にCO₂排気量を減少できる技術に限って、グリーンと認定すべきであると主張している。

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交通と環境 (2/22)