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国際海洋情報(2023年2月15日号)

1.OECD:Inclusive Forum on Carbon Mitigation Approachを結成

OECDが中心となって、全世界のGDPの90%以上、CO₂排出量の85%以上を占める103の諸国と9つの国際機関が参加して、2月9日から10日にかけて、「炭素緩和アプローチに関する包摂的なフォーラム(IFCMA)」の設置総会が開催された。IFCMAは、情報の共有・科学に裏付けされた相互学習・包摂的な多国間ダイアローグを通じで、全世界におけるCO₂削減対策の世界的な影響を改善することを支援するために作られたイニシアティブで、世界の各国が関連する政策的な視点を持ち寄り、平等な立場で、異なる炭素削減対策の効果について検討を行う。1月30日現在、全世界で133か国が炭素中立目標を掲げ、パリ協定の原則に従い、各国の状況に応じて様々な気候変動対策に取り組んでいるが、これらの各国の対策が世界的に見て可能な限り効果的であることを担保することが課題となっている。このためIFCMAは、各国の政策責任者が良い前例(good practice)を紹介する一方で、このような成功例から各国の目的や状況に応じた緩和政策を、各国の政策責任者が選択し適用することを支援することを目的とする。

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OECD (2/15)


2.米国環境保護庁:GHG削減基金のInitial Program Designを発表

2月14日、米国環境保護庁(EPA)は、インフレ削減法によって創設された270億ドル(約3.6兆円)の地球温暖化ガス削減基金の運用方針を説明するため、2つのFederal Assistance Listingsを発表した。EPAは 同基金の資金を分配するため、①大気汚染を改善し、家庭のエネルギーコストを削減し、特に低所得で恵まれないコミュニティを支援するため、コミュニティの金融機関と連携して働くNPOを対象として、200億ドル(約2.7兆円)分の一般・低所得支援競争入札と②住宅の屋根に設置する太陽光パネルやコミュニティレベルの供用太陽光パネルと蓄電施設を整備し、低所得で恵まれないコミュニティを改善するため70億ドル(約0.9兆円)のゼロエミッション技術基金に係る競争入札を2023年夏までに実施する。バイデン政権は、不均衡に健康や環境面での悪影響を受けている地域社会に連邦の支援金の40%を優先的に充てるというJustice40イニシアティブを実施しているが、本基金の運用もこのイニシアティブに沿って実施される。EPAは同基金について全国のコミュニティに周知し、コミュニティレベルの解決策を学び支援するためにCommunity Roundtableを順次全国で開催することも発表した。

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EPA (2/15)


3.欧州委員会:仏の洋上風力発電事業に対する20.8億ユーロの国家支援を認可

2月13日、欧州委員会は、EUの国家補助に関する規則に従い、South of Brittany沖合の浮体式風力発電事業に対し、仏政府が20.8億ユーロ(約2970億円)の国家支援を実施することを承認した。本事業は仏のエネルギー・環境に関する国家目標ばかりでなく、EUの洋上再生可能エネルギー戦略や欧州グリーンディールの目的にも合致している。仏では、浮体式洋上発電技術については、まだ初期段階で、これまでは小規模な試験事業しか実施されていないが、補助対象事業は、230MWから270MWの発電能力を持ち、年間1TWhの再生可能電力を2028年から35年間、発電供給する見込み。補助金需給事業者は1MWあたりいくらの補助金で足りるかという透明で無差別な入札方式で、2023年後半に選定される見込み。補助金は差額決済契約に基づき、毎月変動で支給される。仏は、2030年までに総エネルギー需要量の1/3を再生可能エネルギーで賄うことを目標としている。

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欧州委員会 (2/15)


4.欧州委員会:トラックなど大型車の新車のGHG排出量を2040年までに90%削減

トラック・都市バス・長距離バスなどの大型車(HDVs)から排出されるGHGはEU全体の総GHG排気量の6%を占め、道路輸送だけを見れば、25%以上のシェアを占めているが、2月14日、欧州委員会は、HDVsについて、2030年以降のGHGの野心的な排出削減目標を提案した。具体的には、2030年以降、販売されるHDVsから排出されるGHGの排出量を2019年実績比で、2030年までに45%、2035年までに65%、2040年までに90%削減することに加え、都市バスについては、2030年以降導入される新車はすべて炭素中立とする。この提案によって、都市部における大気汚染が改善し、欧州市民の健康が改善されるほか、欧州グリーンディールとREPowerEUの目的に従い、輸入化石燃料への依存を減らすことによってエネルギー転換を促進し、EUの交通分野の省エネと効率化を促進する。

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欧州委員会 (2/15)


国内ニュース

1.常石造船:メタノール燃料ばら積み貨物船TESS66 AEROLINEを初受注 ~カーボンニュートラルを実現するメタノール燃料船市場を拡大~
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2月14日、常石造船


2.日本海事協会:NAPA、ClassNK、丸紅の共同研究、船舶のCO2排出量削減と燃費実績格付CII向上について~NAPA航海最適化ソリューション活用~
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2月14日、日本海事協会