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国際海洋情報(2023年2月11日号)

1.英国政府:国際的に通用する低炭素水素認証制度を2025年までに創設へ

2月9日、英国政府は標記認証制度の創設について発表したところその概要は以下のとおり。①水素は、肥料や鉄鋼製造の原材料や、ガラス・陶磁器製造時の高熱の製造過程に使用される代替燃料など、様々な革新的な用途に用いることができるが、現状では、低炭素水素の認証制度が存在せず、英国の低炭素水素製造業の透明性と信頼性を担保するため、英国政府は国際的に通用する低炭素水素の認証制度を創設する。②水素生産に伴って排出されるCO₂の量を信頼できる方法で認証する制度を導入することは、英国内の水素製造業の脱炭素化を進め、水素の国際貿易を促進し、再生可能なグリーン水素の生産と雇用の拡大を促進する。③ 低炭素水素に関する業界・消費者の信頼性を高めるため、英国政府は今後、2025年までに認証制度を開始することを目指して、関連業界関係者と協議を進める。

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英国政府 (2/11)


2.英国NatWest銀行:石油ガス田の探査・開発・生産事業への融資を停止

英国政府が48%株式を保有するNational Westminster銀行は2月17日に、気候変動に伴う業務の広範な転換計画を発表する予定だが、その一部として、石油ガス田の探査・開発・生産に投資しようとする新規顧客への融資を行わないと発表した。さらに、2026年から、天然ガスに対する同様の投資を実施している既存の顧客に対しても、融資の更新・再貸付・融資期間の延長には応じないことも明らかにした。同銀行の頭取は、「有害なCO₂を排出する事業への融資を削減し、融資対象のエネルギー転換を支援するような事業に絞っていくことに真剣に取り組む姿勢を見せる。」とし、来週発表される計画では、2030年までに融資対象事業から排出されるCO₂を半減させるための具体的な計画が融資対象部門ごとに示される見込み。同銀行は、電力会社と協力して、英国内の公共住宅のエネルギー効率を改善するための建造物の改修に焦点を当てた試験事業も開始する。

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The Guardian (2/11)


3.EU首脳:「焦点を絞った暫定的で相応な」グリーン産業支援策実施に合意

国際エネルギー機関は、クリーンエネルギーに関する世界の市場規模が2030年までに現状の約3倍の6500億ドル(約86兆円)となると予測しているが、米国が昨年、米国内で生産することを条件として、グリーン産業に対して3690億ドル(約49兆円)もの補助金を支給するインフレ削減法(IRA)を施行したことにより、欧州のグリーン産業が製造拠点を米国に移転する可能性が懸念されている。こうした状況に対応すべく、欧州委員会は、再生可能エネルギー・脱炭素関連産業・水素/ゼロエミッション自動車などに対する加盟国による国家支援に関する規制を緩和することを提案していたが、2月10日、欧州首脳は、米中に対抗して、欧州をグリーン産業の基盤とするために「焦点を絞り、暫定的で、(米中の支援策と)相応な」支援を実施することで合意した。この合意を受けて、グリーン事業の許認可に必要な期間を短縮するNet-Zero Industry Actと、グリーン産業に必要な希少金属について中国への依存を削減するために、製品リサイクルを促進し、輸入先の多元化を図るCritical Raw Material Actを、欧州委員会は3月22日に開催されるEU首脳会合までに提案する予定。

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Reuters (2/11)


4.露:西側の石油製品上限価格制度導入に反発して3月から石油生産を5%削減

2月10日、露の副首相は、西側諸国が露産石油製品に対する上限価格制度を導入したことに対する対抗措置として、3月から石油生産量を約5%(一日当たり50万バレル)減産すると発表した。サウジに次ぐ世界第2位のロシアの減産を受けて、Brent原油価格は2.6%上昇して、1バレル86.6ドル(約11300円)となった。ロシアは今回の減産は自主的なものなのでOPEC+諸国とは公式協議を行わなかったとしている。ロシアの石油生産は減少するという大方の予想を裏切って、インド・中国などアジア市場における売り上げの大幅増加によって、2022年の石油生産量は対前年比2%増加して、5.35億トンとなったものの、ロシアの財政収支は今年1月には250億ドル(約3.2兆円)の赤字となり、輸出量の減少に伴い、1月の貿易黒字は80億ドル(約1兆円)と58.2%も減少している。

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Reuters (2/11)