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国際海洋情報(2023年1月23日号)

1.IEA事務局長:2023年のエネルギー市場は需給ひっ迫も

ダボス会議に出席中のIEA事務局長が、1月19日、マスコミに語った概要は以下のとおり。①現在、市場の需給状況は均衡状況にあるが、中国の需要の回復とロシアの供給能力次第で、2023年のエネルギー市場は需給がタイトになる可能性があり、予断を許さない。②多くの経済機関が予測するように、今年、中国の経済が回復すれば、エネルギーに対する需要が急増する一方で、ロシアは西側諸国の制裁に加えて、国際的な石油メジャーがロシアから退去した影響で、長期的に見ても油田の生産能力が落ちることが予想され、現在もロシアの生産量は減少しており、減少傾向は今後も継続することが予想される。③2月から実際に適用される、ロシア産石油製品に対する上限価格制度によって、ディーゼル油の供給がタイトになる可能性がある。

原文

Reuters (1/23)


2.EU:虚偽の環境上の製品表示をした企業に対して罰則

欧州委員会は、消費者が製品を購入するにあたって、正確な情報に戻づいて商品の選択ができるように、製品の販売にあたって、根拠のない環境上の製品表示をした企業に対して、罰則を科することを、EU加盟国に対して義務付ける新たな規則案を数週間以内に提案する。green/eco/environmentally friendlyなどという環境に良いという表示の約40%が根拠のないものであり、環境上の優位性を商品に表示する企業は、その優位性を環境への影響を評価する標準的な方法で証明する必要があり、EU加盟国はこうした環境上の製品表示の合理性を独立認証機関によって認証する制度を創設し、虚偽表示を行った事業者に対しては、「効果的・虚偽の程度に応じ・抑止力のある」罰則を課すことによって、規制の実効性を担保することが求められる。違反の内容と深刻性、虚偽表示によって不正に得た利得・環境への損害といった点にかんがみ罰則の内容が決められる。

原文

Euractiv (1/23)


3.米国内で電気自動車のバッテリー増産のためリチウムの新規鉱山開発へ

米国地質調査所によれば、米国内には世界のリチウムの確認埋蔵量の3.6%が存在し、1960年代には、生産のピークに達していたが、その後、新規鉱山の開発を怠り、現在では、ネバタ州に1つの鉱山が操業しているだけである。一方、世界的には、チリ・中国・豪の3か国がリチウムの生産を独占している。民主党政権によって成立したインフレ削減法(IRA)には、電気自動車普及のために多くの促進策が含まれているが、支援の要件として、電気自動車の組み立てが米国内または承認された同盟国で行われることが支援要件となっていることから、ネバタをはじめとするいくつかの州では、新規鉱山の開発計画が進んでいる。こうした動きに対し、環境団体は、強引な新鉱山の開発は、過去の化石燃料開発と同じ問題を引き起こしかねないと警告している。

原文

The Hill (1/23)


4.WTO事務局長:全世界共通の炭素課税制度の創設の必要性を訴える

1月19日、ダボス会議における世界貿易機関(WTO)事務局長の発言要旨は以下のとおり。①現状では、世界で最低でも70種類上の異なる炭素課税制度がばらばらに存在するが、世界的に共通の炭素課税制度を導入することによって、サプライチェーンの合理化と異なる炭素課税制度間の競争を回避し、産業界にとっても炭素課税に伴う負担の予見可能性を向上させる。②共通の制度の創設を目指して、WTOは世界銀行・OECD・IMFと協力して、既存の炭素課税制度の合理化作業を進めている。③また多くの国では、環境汚染の少ない最終製品に高い関税をかけ、相対的により環境を汚染する原料や中間財に低い関税をかけることによって、結果として、CO₂を多く排出する製品に対する隠れた補助金となり、その額は年間5500億ドルから8000億ドルに達しているので、こうした関税政策を是正すれば、世界のCO₂排出量を3.6%削減し、世界の収入を0.65%増やすことができる。

原文

The Hill (1/23)


セミナー情報

1.Economist Impact:海洋酸性化:忍び寄る危機 2/2 13:30
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