国際海洋情報の内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、二次使用の際は国際海洋情報からの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。

国際海洋情報(2023年1月20日号)

1.欧州議会:プラスチックごみの輸出を原則禁止へ

廃棄物の管理と輸送に関するEUの手続きに関する規正法の改正に関して、欧州理事会と協議を行うための欧州議会としての対処方針について、1月17日、欧州議会が合意したところその概要は以下のとおり。①改正法は、EUが目指す循環・汚染ゼロ経済を達成しつつ、環境と住民の健康保全をより効果的に担保することを目的とする。②具体的には、EU域内については、承認を受けた例外を除き、すべての廃棄物の輸出を禁止する。OECD非加盟国についても、有害廃棄物については輸出を禁止する。③有害でない廃棄物のOECD非加盟国への輸出においても、当該相手国が同意し、かつ当該国が当該廃棄物を持続可能な方法で処理できる能力を持つことを証明しなくてはならない。④プラスチック廃棄物については、OECD非加盟国への輸出を禁止し、OECD諸国に対する輸出も4年以内に段階的に廃止する。

原文

欧州議会 (1/20)


2.IEA:クリーンエネ関連の市場は2030年までに3倍、雇用も2倍以上に拡大

国際エネルギー機関(IEA)がEnergy Technology Prospective 2023を発表したところその概要は以下のとおり。①世界の各国が現在発表しているエネルギー転換・気候変動に関する目標を実行すれば、clean energy技術に関する主要な製造業の市場規模は、2030年までに6500億ドル(約83兆円)と現在の3倍の規模に達し、これに関連する雇用人口も現在の600万人から1400万人へ2倍以上に拡大し、その後もエネルギー転換に従い、順調に拡大することが予測される。②一方で、 clean energy技術に関するsupply chainsについては、原料の生産・加工拠点が、地域的に集中しているというリスクがあり、具体的には、太陽光パネル・風力発電のタービン・電気自動車のバッテリー・グリーン水素生産のための電解槽・ヒートポンプについては、3大生産国が、各品目とも少なくとも70%以上のシェアを握っており、特に中国が全ての品目について独占的な地位を築いている。以上の製品の生産に不可欠な希少金属の生産国は少数国に限定されており、例えば、コンゴ民主共和国はコバルトの生産量の70%以上を、豪・中・チリの3か国で、世界のリチウム生産の90%以上を握っている。

原文

IEA (1/20)


3.アマゾンの熱帯雨林に関するcarbon offsets事業の90%は炭素削減効果なし

自主的なCarbon Offsets (CO)市場の規模は、世界で20億ドル(約2580億円)に急速に拡大しているが、世界最大のCO販売事業者のVerraが実施する事業についてGuardianなどが分析した結果、90%以上の熱帯雨林に係るCO Credit (COC)の大部分が幽霊クレジットで、実質的な炭素削減効果が無いことが判明した。Verraが販売するCOCはDisney/Shell/Gucciなど一流企業によって購入され、その結果、それらの企業が生産する商品が「炭素中立」商品として販売されており、炭素排出削減をCOCの購入に依存している企業の炭素中立戦略にも重大な疑義が生ずることとなる。Verraはワシントンに本拠を置き、生態系を保全するために必要な資金を獲得するために発行されるCOCに適用される認証炭素基準(verified carbon standard)を含む気候変動対策や持続可能な開発に関する先進的な環境上の基準を運営管理している。

原文

The Guardian (1/20)


4.欧州の航空会社:短距離航空路線の休止に対し「移動の自由」を盾に反論へ

航空輸送から排出されるCO₂削減を目的として、仏政府はCDGを発着する短距離国内3路線の3年間の休止を提案し、昨年12月に欧州委員会の承認を得たが、欧州の航空業界としては今回の事例が悪しき前例となって、欧州全域の短距離航空路線の廃止につながるとして、正式な訴訟は提起しないものの、仏政府の決定は、欧州基本法に定める「移動の自由」を侵害するとして、反論していくと表明した。さらに、仏空港組合によれば、今回休止の対象になる3路線から排出されるCO₂の量は、仏の航空輸送全体から排出されるCO₂の量の0.23%にすぎず実質的なCO₂削減効果が無いと指摘している。一方、環境団体は仏政府の決定を、航空分野から排出されるCO₂を削減するための貴重な第1歩であると評価しつつ、今回の措置では不十分として、これまで主張してきた「飛行時間6時間以内」の航空路線の廃止を引き続き求めていく構え。

原文

Reuters (1/20)


国内ニュース

1.三井物産:関西電力とCCS事業化調査に関する覚書締結
原文

1月18日、三井物産


セミナー情報

1.Economist Impact:海洋酸性化:忍び寄る危機 2/2 13:30
https://response.economistevents.com/EM8300_JPinperson-web?utm_medium=Eloqua&utm_source=email