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国際海洋情報(2023年1月18日号)

1.ダボス会議がはじまり、活動家からGreen Washingの懸念が表明される

50か国以上の首脳と国際機関のトップ、経済界首脳が集まって、16日からダボス会議(世界経済フォーラム:WEF)が始まった。今年のテーマは「分裂した世界の協調」で、気候変動問題が中心となるが、多くの石油ガス業界のCEOによって世界のリーダーが懐柔されないか活動家は懸念を表明している。先週(1月9日の週)にScience誌に発表された報告によれば、Exxon Mobileは自社の科学者が1970年代から現在の地球温暖化を正確に予測していたにもかかわらず、同社は意識的に気候変動を過小評価するキャンペーンを続けてきた。環境活動家のNakateやGretaもダボス会議に参加し、石油ガス産業のCEO達に新たな石油ガス田の開発を中止するように求める予定。環境活動家は先進国に対しても、途上国に対するclimate financeの強化に向けて圧力を強める見込み。WEFは1月11日に年次報告書を発表し、気候変動は長期的課題になかで中心的な存在であるが、各国政府はまだ真剣に取り組んでいないと指摘している。

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Euractiv (1/18)


2.アマゾン:人工的に開発された地域ではGHGの吸収量より排出量が上回る

森林は地表面の約30%を占め、今世紀に入ってから、全体として、約72億トンのCO₂を吸収しているが、個別にみると、健康な森林は大気中のCO₂を多く吸収し、carbon sinkの役割を果たしているが、劣化・伐採された森林は、これまで地中に蓄えられていたCO₂を大気中に排出する。例えば、先住民族に管理されているアマゾンの熱帯雨林は、世界で最も強力なcarbon sinkで、毎年、大気中から、英国全体の年間CO₂排出量と同量の3.4億トンのCO₂を吸収している。一方で、過去40年から50年の間に、先住民が管理していないアマゾンの他の地域では、牧草地や農地にするため森林の約17%が失われ、CO₂排出量が吸収量を上回っている。科学者はアマゾンの地域の森林喪失が20%を超えると、アマゾンのcarbon sink機能が失われ、1年間に化石燃料の燃焼によって排出されるCO₂の総量の約2.5倍に当たる900億トンのCO₂が大気中に放出され、熱帯雨林がサバンナに代わり、南米全体の降雨のパターンに悪影響を与えると指摘している。

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WRI (1/18)


3.欧州委員会委員長:米中に対抗して新たに多様なクリーンエネ支援を表明

1月17日、ダボスで開催中の世界経済フォーラムで、欧州委員会委員長は、炭素中立への転換に伴い、欧州の企業が中国や米国に流出しないようにEUはGreen Dealに従い、広範なclean energyに関する助成制度を創設する一方で、企業に対しては規制の強化も図り、2050年炭素中立に向けて、エネルギー転換を主導すると表明した。米国は昨年の夏に、インフレ削減法を成立させ、エネルギー・環境関連産業に対し、3690億ドル(約48兆円)の支援を準備しており、欧州の環境関係企業が米国に移転することを欧州委員会は懸念している。一方で、中国も安いエネルギー・労働コストとより緩い環境規制を活用して、電気自動車や太陽光パネルの生産について世界的に支配しているとして、警戒感を表明した。欧州委員会としては、新たなclean energy事業の許可手続きを短期間・単純なものとするため、暫定的にEUの国家助成に関する規則を柔軟に運用し、ロシアとの関係では、EUは既にロシアからのエネルギー供給の約8割について、他の代替エネルギーに切り替えており、1年以内にロシアへの危険な依存は克服されるとも表明した。

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The Hill (1/18)


4.米大手6銀行:7月末までに気候変動が経営に与える影響をFedに報告

1月17日、連邦準備制度理事会が発表した金融機関による気候変動に伴う損害情報の開示に関する試行事業の詳細によれば、Bank of America/Citigroup/Goldman Sachs/ JPMorgan/Morgan Stanley/Wells Fargoの6大金融機関は、7月末までに、洪水・山火事・ハリケーン・熱波・干ばつが、金融機関の貸付先や金融機関が保有する商用不動産の価値にどのような影響を及ぼすかといった予測について、連邦準備制度理事会に報告することを求められる。影響分析は、第1に予期せぬ自然災害が発生した場合に、住民や不動産が被る物理的な損害と、第2に2050年炭素中立への移行に伴う関連コストといった二つの観点から実施される。報告内容の要約は年末までに公表されるが、個々の金融機関の内訳については公表されない。

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CNBC (1/18)


国内ニュース

1.JERA:ブルーアンモニア製造事業の共同開発および燃料アンモニア調達に向けた Yara International ASAとの協業検討について
原文

1月17日、JERA


2.JERA:「(仮称)男鹿市、潟上市及び秋田市沖洋上風力発電事業 計画段階環境配慮書」の送付について
原文

1月16日、JERA