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国際海洋情報(2023年1月7日号)

1.英国:2022年に再生可能エネと原子力発電の発電量が化石燃料を上回る

英国の送電・天然ガス供給事業者のNational Gridの発表によれば、2022年においては、再生可能エネと原子力をあわせた脱炭素エネによる発電量が全体の48.5%を占め」、天然ガスと石炭をあわせた化石燃料による発電量のシェア40%を上回った。太陽光や風力による発電コストは、他のエネルギーによる発電コストを大幅に下回り、長期的に電気料金を引き下げる要因となっている。発電量をエネルギー源単体で見ると、天然ガスが依然として38.5%と最大のシェアを維持し、風力発電が26.8%、原子力が15.5%のシェアで続いた。最もCO₂排出量の多い、石炭火力発電は、2012年には43%のシェアを持っていたが、2022年には1.5%にまで減少している。しかし、2015年から実施された陸上風力発電施設新設の禁止によって、風力発電拡大のペースが抑制されている。

原文

BBC (1/7)


2.英国:2020年の平均気温は過去最高の10.03℃

英国気象庁によれば、2022年の同国の平均気温は10.03℃となり、2014年に記録したこれまでの最高の9.88℃を上回って過去最高を記録し、過去30年間の年間平均気温の平均と比較して0.89℃も高くなった。このような異常高温はGHG増加の影響がなければ、500年に一度の頻度で発生するが、人類が排出したGHGの影響で、今後、3年から4年に」一度の頻度で同様な異常高温が発生することが予測される。世界の気温の指標として364年間使用しているイングランド中央部の気温(CET)も、2022年には11.1度を記録し過去最高となった。昨年の7月には、一日の最高気温がこれまで最高の38.7℃を上回り、40℃以上を記録し、高温によって多くの死者(early deaths)が発生した。世紀末には、このレベルの高温が毎年発生することが予測されている。

原文

The Guardian (1/7)


3.DNV:2022年における代替燃料船の状況

2022年中に、世界で275隻の代替燃料を使用できる船舶が発注されたが、全体の82%に当たる222隻がLNG燃料船で、そのうち74%をコンテナ船・自動車輸送船が占めている。2021年におけるLNG燃料船の発注数は240隻であったので、2022年は予想に反して、発注数が減少したが、2022年中に運航を開始した104隻のLNG燃料新造船を加えて、運航中と発注されたLNG燃料船の総数は876隻となった。LNGに続くのがメタノールで、大型のコンテナ船を中心に2022年中に35隻発注され、運航中のメタノール燃料船と併せると、メタノール燃料船の総数は82隻となった。また、水素で運航できる船舶も2022年中に18隻発注され、洋上風力発電施設に要員を運ぶ小型船から、船上で使用する電力の一部を発電するために水素を燃料とする燃料電池を搭載した大型クルーズ船まで多様な用途にわたっている。2023年も代替燃料船として発注される船舶の大多数はLNG Dual燃料船となるが、天然ガス価格の高騰によって、LNG燃料船の本格的な採用は先送りになるものの、現在発注されているLNG燃料船が就航するタイミングでは、天然ガスやLNGの世界的価格も落ち着きを取り戻していることが予測される。

原文

gCaptain (1/7)


4.ブラジル新政権:アマゾンの森林の違法伐採禁止を徹底へ

新政権の環境大臣は、森林伐採防止担当の特任閣僚を設置し、気候変動対策を担当する新たな組織を環境省内に設立すると発表した。新政権は1月1日から始動し、気候変動緩和対策として重要な役割を果たすアマゾンの森林の伐採を防止することを宣言し、極右の前政権による環境保護規制を骨抜きにし、アマゾンの森林伐採を過去15年間で最大にした政策を全面的に撤回することを表明した。新環境大臣はLula大統領の第1次・第2次政権でも5年間、環境大臣を務め、森林伐採を大幅に減少させた実績を持ち、新政権においても違法な森林伐採を厳しく取り締まる方針。EUは無秩序なアマゾンの森林の違法伐採を懸念して、南米諸国による貿易圏であるメルスコールとの自由貿易協定の締結交渉を停止しているが、ブラジルがアマゾンの森林の違法伐採の禁止を徹底し、環境保護のリーダーになることによって、EUとの自由貿易交渉が促進されることが期待できる。

原文

Reuters (1/6)


国内ニュース

1.日本郵船:浮体式アンモニア貯蔵再ガス化設備搭載バージの基本設計承認を取得
原文

1月5日、日本郵船