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国際海洋情報(2022年12月7日号)
1.欧州委員会:「包装と包装廃棄物に関するEU規則」の改正案を提案
11月30日、欧州委員会が発表した標記提案の概要は以下のとおり。①包装材の再利用・リサイクルを通じて、加盟国毎・一人当たりの包装廃棄物を2018年実績比で2040年までに15%削減する。この結果、包装材に関する現行規則を変更しない場合と比較して、包装廃棄物を約37%減少させることが可能となる。②再利用・リフィル可能な包装材の比率は、過去20年間で急減しているが、再利用率を上げるために、持ち帰りの飲食物や通信販売の商品に使用される包装材の一定割合を再利用・リフィル可能なものとすることを生産者に義務付ける。③包装材の標準化を図るとともに、再利用可能な包装材であることを示すわかりやすい表示を義務付ける。④明らかに不必要な包装材の量を減少させるため、レストラン内で飲食する際の使い捨てプラスチック容器・野菜や果物を販売する際の使い捨て包装材・ホテルのアメニティとして提供されるシャンプー等のミニボトルなどの使用を禁止する。⑤包装材を2030年までに完全にリサイクル可能なものとするため、包装材のデザインの基準を設定し、プラスチックボトルとアルミ缶については、飲料販売価格にボトル代金を上乗せして、ボトル返還時に代金を返還するデポジットシステムを強制的に導入する。
原文
欧州委員会 (12/7)
2.COP15:2030年までに生物多様性の減少を止めるのは非現実的
10月に発表されたWWFの報告書によれば、哺乳類・鳥類・両生類・爬虫類・魚類の全世界における個体数は1970年以来平均で69%減少したが、今週からモントリオールで始まった生物多様性保存に関するCOP15においては、2030年までに生物多様性の減少を止めて回復に転じ、2050年までに人間と自然が調和するという目標に合意することが提案されている。また、NPOのCoastal Oceans Research and Developments in the Indian Ocean (CORDIO)が発表した研究報告によれば、生態系に大きな影響を与える樹木や大型の草食動物が成長するには何十年とかかるので、2030年までに生物多様性の減少を止めるのは現実的でなく、最短でも2050年まで、場合によっては100年以上かかり、COP15では生物多様性減少の速度を鈍化させることを合意目標とすべきで、人間と自然が調和して生きるためには最低でも80年間はかかるとしている。現実的ではない目標を掲げることは、2010年に20の生物多様性に関する目標を掲げた「愛知目標」の失敗を繰り返し、世界の信頼を失うだけであるとしている。
原文
New Scientist (12/7)
3.ロッテルダム港:水素生産のためのアンモニア分解装置建設の事前FS調査を実施
ロッテルダム港湾庁は、Shell/BP/ExxonMobileなど18社と連携して、同港で年間100万トンの水素を生産するために、輸入する同量のアンモニアを水素に分解するための大規模な分解プラント製造のための、技術面・環境面・安全面での事前事業化可能性調査を実施し、来年の早期に結論を得ると発表した。
原文
Offshore Energy (12/7)
4.デンマーク:最初のCO₂海底貯留事業を時限的に認可
デンマークエネルギー庁は、デンマーク領海内のかつての海底油田採掘跡に、最大で1.5万トンのCO₂を12月から来年の3月末までの4か月間、試験的に注入する事業に対して、同国で初めて認可を与えた。同庁は当該事業が環境に与える影響・申請者が安全に事業を遂行できる能力・申請者の海底の地層に関する知見や環境への影響をモニターする計画などを総合的に審査して認可に至った。今回認可された海域は、Natura2000で指定された海洋保護区で、保護される海洋生物やその生息海域も含まれるが、今回認可された事業によって、保護された海洋生態系に重大な悪影響を与えないと同庁は結論付けている。
原文
Offshore Energy (12/7)
国内ニュース
1.JOGMEC:豪州LNG事業におけるCCS事業に向けた共同研究の開始について
https://www.jogmec.go.jp/news/release/news_10_00071.html