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国際海洋情報(2022年11月27日号)

1.この夏の猛暑によって西欧諸国で2万人以上が超過死亡

EUのコペルニクス気候変動サービスによると今年の夏は記録上最高の猛暑を観測し、ロンドンで40℃以上、仏南西部で42℃、スペインのコルドバとセビリヤで44℃を記録したが、この熱波により、EnglandとWalesでは、5年間の平均より6.2%多い3271人の超過死亡が記録され、仏でも10420人、スペインでも4655人、ドイツでは4500人の超過死亡数が確認された。このような猛暑に対処するために、長期的には、自宅・学校・病院などの通気を良くするように設計して熱がたまりにくくし、街中に緑地や公園を増やし、熱波注意情報をすべての人々に伝達するなどの適応対策も必要となる。

原文

The Guardian (11/27)


2.BIMCO:船上における使い捨てペットボトル減量キャンペーンを開始

1年間に船上で消費されるペットボトルの数は最大で17.5億本に上るとBIMCOは推定しており、仮にそれらのボトルが船上で分類・管理されて、着岸した時に適切にごみ処理されるとしても、陸上におけるごみ処理が適正になされなければ、結局一部は海洋プラスチックごみとなることから、船上で消費される使い捨てのペットボトルの総量を減らすことが、海運業界として最善の選択肢であると考えて減量キャンペーンを開始した。BIMCOは手始めにOcean Bottleと提携して、再使用可能なボトルの配布と、船上における給水装置の設置を開始した。BIMCOの試算によれば、船員に対する給水を使い捨てのペットボトルから、給水システムに切り替えることにより、給水コストが1/4となるので、わずか1年足らずで、給水設備の設置費用が回収可能で、この結果、年間で1隻当たり2355kgのCO₂の排出を削減することもできる。

原文

BIMCO (11/27)


3.DSME:遠隔無人操縦で自律運航船の運航試験を実施

大宇造船海洋(DSME)は、完全自律運航を目指して、DS4 smart ship platformの開発を続けてきたが、2021年10月に米国船級協会(ABS)から暫定認証(initial certification)を受け、実証船については韓国船級協会とも協力してきた。DSMEは大型船と同じ運航システムを持つ実証小型艇DAN-Vを使用して、華城市沖合の海域で2日間、遠隔運航センターからの指示のもとに、決められた航路の運航や、障害物との衝突回避などの試験運航を無人で実施した。この結果、DSMEは、無人の船舶を遠隔運航するというLevel 3の認証をロイズ船級協会から得ることに成功した。DSMEは2023年には実際の商船にこの自律運航システムを搭載して実験を続け、2024年には、人間が運航に関与せずに、船上の運航システムが自律的に運航の判断を決定できるLevel 4の完全自律運航の認証を取得し、2025年には大型の自律運航商船の運航開始を目指している。今年6月には、ライバルの現代重工業の子会社のAvikusは同社の自律運航システムHiNASを97500dwtのLNG運搬船に搭載して、太平洋を横断する実験を実施し、運航経路の半分を自律運航することに成功している。

原文

The Maritime Executive (11/27)


4.DNV:海運の脱炭素化に必要な船員数とその技能訓練について

DNVが標記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①IMOの現在の目標である2050年までにCO₂の排出を半減する目標では、既存船を改修し、或いは代替燃料を使用する新造船を投入するより、既存の機関でそのまま使用できるdrop-inの燃料を使用することの方が経済的に効率が良く、2030年までに代替燃料船に乗り組む船員はわずかで、2050年の時点でも代替燃料船に乗り組む船員数は31万人程度と予測される。②2050年までに炭素中立を目指すが、2040年までは、代替燃料船の増加ペースが緩やかである場合も、drop-in燃料の使用が最も経済的に効率的とされるため、2050年の時点で、代替燃料船に乗り組む船員数は75万人と推測される。③ロイズ船級協会とUMASが予測する2020年代に代替燃料の生産量が増加し、その結果2030年から急激に代替燃料船が普及し、2050年に脱炭素化が実現するとするシナリオでは、2030年までに、45万人の船員に対して代替燃料の取扱いについて訓練をし、2030年代半ばまでには、80万人の船員が代替燃料を取り扱えるよう訓練する必要がある。

原文

DNV (11/27)


国内ニュース

1.日本郵船:銅製品 海上輸送の脱炭素化へCODELCOとNYKバルク・プロジェクト
原文

11月25日、日本郵船


Webinar 情報

1.持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP2022)(Nov.28-Dec.5)
ISAP

2.Energy Transition Asia Pacific 2022 (Nov.30th -Dec.1st)
Reuters