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国際海洋情報(2022年11月26日号)

1.石炭産業:燃料炭が高騰するも増産のための資金確保が困難に

ここ数年は需要量の減少が続いていた石炭産業は、ロシア産天然ガスに代わるエネルギーを求める欧州の需要によって、石炭価格は記録的な価格水準となり、通常であれば、新規鉱山の開発を含む増産投資に入るところだが、気候変動対策として、石炭産業への新規投資を控えている西側金融機関からの資金確保が困難で、増産計画は宙に浮いている。燃料炭への需要が極めて強く、通常は品質の高い原料炭の価格より安いが、今年の6月から史上初めて価格が逆転し、今まで製鉄事業者に売却されていた原料炭が、燃料炭として電力会社に販売されている。指標価格である豪の燃料炭は、2020年のはじめに、1トン当たり約50ドルであったのが、今年の9月には400ドル以上の価格となっている。増産のための投資だけでなく、西側金融機関は、これまで石炭事業から多くの収益を上げていたにもかかわらず、石炭事業者との金融取引自体を停止し始めている。

原文

Reuters (11/26)


2.露:西側諸国の露産原油上限価格規制を回避するためにはより多くのタンカーが必要

現在、ロシアは一日当たり350万バレルの石油を輸出しているが、EU/G7/豪が12月5日からロシア産原油に、来年2月5日からは、ロシア産の石油製品に上限価格制を導入する結果、一日当たり100万バレルの石油が輸出できなくなる見込みで、さらなる石油・燃料価格の上昇と世界のインフレが加速化されることが予測される。西側の金融制裁とロシア産原油の買い控えは、これまでのところ、中国・インド・その他アジア諸国の輸入増加によってカバーされてきたが、上限価格制の導入によって、石油価格が上昇すれば、ロシアにとって輸出量は減っても手取り収入は変わらないことも予測される。現在の350万バレルの原油を輸送するためには、ロシア自体がコントロールできるタンカーの船腹量の3倍が必要とされ、ロシアはタンカー船隊を増やそうとしているものの、現在の輸出量を西側の制裁の対象とならないタンカーで輸送するためには、あと110隻のタンカーが必要となる。

原文

Reuters (11/26)


3.DNV:コンテナ船の代替燃料としてのメタノール

メタノールをバンカーとして使用する船舶には、IMOのメチル・エチルアルコールを燃料として使用する船舶に関する新暫定ガイドライン(MSC.1/Circ.1621)と国際ガス燃料安全(IGF)コードが適用され、設計・建造・運航に関する準拠規則が既に明らかになっている。メタノールは液化するために極低温で保存する必要はなく、特殊で高価な素材をタンクやパイプに使用する必要はない。メタノールのタンクは船体に組み込むことはできるが、LNGや重油に比べて、大きな体積のタンクが必要となり、殆どの既存の機関では、メタノールを効率よく燃焼させるために、ディーゼル油などのパイロット燃料も積み込む必要がある。メタノールは海上輸送される化学製品のトップ5に入る製品で、多くの国において化石燃料から工業用途のために生産されているが、GHG削減のためには、十分な量のグリーンメタノールを最終的には生産する必要がある。

原文

DNV (11/26)


4.独・仏:エネルギー問題に連帯する共同宣言を発出

11月25日、独・仏両国の首相はベルリンでエネルギー問題について連帯を強化する共同宣言に署名した。宣言では、来年の第1四半期に開催される仏独大臣協議会で天然ガス の供給について両国間で連携するメカニズムについて政府間協定を締結することでも合意し、両国のハイレベル作業部会で作業を進めることとなった。

原文

AA (11/26)


Webinar 情報

1.持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP2022)(Nov.28-Dec.5)
ISAP

2.Energy Transition Asia Pacific 2022 (Nov.30th -Dec.1st)
Reuters