国際海洋情報の内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、二次使用の際は国際海洋情報からの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。

国際海洋情報(2022年11月21日号)

1.COP27:Loss and Damage基金の創設に合意するもその他の進展なし

11月20日、COP27は途上国が希望していたLoss and Damageに関する基金の設立に合意したものの、どの国がその基金に対して資金を拠出するかも含め具体的な検討は来年に持ち越され、気候変動緩和対策に関しては、インド政府などが求めていた「すべての化石燃料」の使用の段階的な禁止についても盛り込まれず、COP26の合意から新たな進展がなかった。

原文

Reuters (11/21)


2.黒海穀物輸出協定が4か月延長

7月22日に、黒海の穀物輸出協定がトルコ・ウクライナ・ロシア・国連によって署名され、8月1日から450隻以上の船舶によって1110万トン以上の穀物がウクライナの3港湾から海上輸送されたが、11月19日の期限切れを目前にして、11月17日、同協定を4か月延長することで関係国が合意した。ロシアは協定延長の条件として、肥料の重要な原料となるロシア産のアンモニアをウクライナ経由でパイプラインを使用して黒海まで輸送することを主張していたが、ウクライナ大統領は、パイプラインの使用再開は、戦争犯罪者として起訴されているウクライナ人捕虜の返還を条件とするとしており、本件については継続協議となった。国連とウクライナは当初協定の1年間延長を主張していた。協定の延長を受けて、シカゴの取引市場では、小麦とトウモロコシの指標価格が、それぞれ2%/1.3%下落した。

原文

Reuters (11/21)


3.米加州:大気汚染減少に関する5か年計画(Scoping Plan)を発表

米国カリフォルニア州大気資源理事会(CARB)は、大気汚染の減少の関する5か年計画(Scoping Plan)を発表し、同州として、2045年までに炭素中立を達成するための部門ごとの行動計画を発表した。海運関係では、2027年までに接岸中の船舶の過半数が陸上電源を使用すること、2045年までに同州内の船舶の25%以上がグリーン水素を燃料とする燃料電池を動力として使用することが目標として提示された。港運関係では、2035年までに貨物の横持(drayage)に使用されるトラックをすべてゼロエミ化し、2037年までに港湾荷役機械もすべてゼロエミ化することが義務付けられる。LB/LA港では既にゼロエミ化の投資を進めているが、他の港湾とグリーン回廊協定を締結し、グリーン燃料の使用を促進していく。

原文

Offshore Energy (11/21)


4.COP27:主たる結果の概要

標記概要以下のとおり。①気候変動によって途上国が被ったloss and damageを補償する基金の創設について合意されたが、どのように基金を運用するかなど具体的事項の協議にさらに5-6年要する見込み。②化石燃料の使用について、撤廃に向けて合意を強化しようという動きがあったが、結局昨年のCOPと同じ、CCSを用いない石炭火力発電所の段階的廃止にとどまった。③ブラジルの新大統領がCOPに復帰し、2025年にアマゾン流域でCOP30を開催することを宣言した。④COPと並行して開催されたG20で、2大CO₂排出国である中国と米国の首脳が台湾問題で中断していた気候変動対策における連携を再開することに合意した。⑤世界銀行等の国際開発金融機関を改革し、これらの国際機関がより多くのリスクを取って資金を提供することによって、民間投資を促進することが合意された。

原文

Reuters (11/21)


Webinar 情報

1.持続可能なアジア太平洋に関する国際フォーラム(ISAP2022)(Nov.28-Dec.5)
ISAP

2.Energy Transition Asia Pacific 2022 (Nov.30th -Dec.1st)
Reuters