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国際海洋情報(2022年11月19日号)
1.COP27:中国が独自にメタン排出削減計画を作成することを発表
COP26において、米国とEUの主導によって、150か国が参加し、2030年までにメタンの排出量を30%削減するGlobal Methane Pledgeが採択されたが、中国はこの宣言に昨年参加していないが、11月17日、COP27における同宣言に関する閣僚会合で、同国は依然として同宣言自体には参加しないものの、中国独自のメタン削減行動計画を既に作成し、現在国内承認手続き中であることを表明し、米国のケリー環境問題特使をはじめ各国が中国の発表を歓迎した。カナダ政府はカリブ海諸国とガイアナがメタン排出を削減するために400万ドル(約5.6億円)を寄付することを発表した。同会議においては、大規模なメタン排出場所を発見し、メタン排出抑制状況を監視するための新たな監視システムであるMethane Alert and Response Systemの導入についても検討された。
原文
Bloomberg (11/19)
2.気候変動による西アフリカ諸国の豪雨災害
World Weather Attributionが発表した報告書によれば、気候変動の影響で、2022年の6月から10月の間に、ナイジェリア・ニジェール・チャドなどの西アフリカ諸国において、平年より20%多い降雨が発生し、この結果大規模な洪水によって、800人以上が死亡し、ナイジェリアでは、過去10年間で最も大規模な損害が発生し、3万軒以上の住宅が被災し、130万人の住民が避難を余儀なくされ、何百万ha以上の耕地が被害を受けた。チャドでも過去30年間で最も激しい降雨が10月にあり、国家緊急事態が発令された。全体の降雨量が増加しただけではなく、8月末から9月初めにかけてのニジェール川下流流域における集中豪雨が被害規模を拡大した。一方で、サハラ砂漠南部の半乾燥地帯であるサヘル地域では、2021年の雨季の降雨量が少なかったため、今年の穀物の収穫量が減少し、食料不足が深刻化している。
原文
Carbon Brief (11/19)
3.COP27:国際開発金融機関・国際金融機関の改革に合意へ
開発途上国がインフレの進行・国家債務の増大・ドルに対する通貨価値の下落に悩まされ、先進国は途上国へのClimate Financeに関する合意を履行できない中で、世界銀行などの国際開発金融機関(MDBs)とIMFなどの国際金融機関(IFIs)の改革について長年にわたり議論されてきたが、バルバドスの首相と米国の財務長官の主導で、COP27の最終合意案にMDBsとIFIsを改革してこれらに機関が、後発発展途上国や小島嶼国を支援するために、投融資を炭素中立目標に整合させることが、COP27の最終合意案に盛り込まれた。欧州気候基金のCEOは、世界銀行グループの多国間投資保証機関(MIGA)が、発展途上国における政治的なリスクや為替リスクに対する保険を提供して、発展途上国における投資リスクの軽減を進めるべきとコメントしている。
原文
Bloomberg (11/19)
4.COP27:パリ協定に基づく炭素クレジット市場に関する交渉は来年以降に持ち越し
パリ協定第6条に基づく国際炭素取引市場において、各国が他国で実施されたGHG削減事業によってできたクレジットを購入することにより、各国の炭素削減目標達成の足しにすることを可能とする制度については、11月16日、COP27において60ページに及ぶ草案が示されたが、依然として議論すべき点が多く、本格的な交渉は来年以降に持ち越された。一番大きな論点は、炭素取引市場の透明性を向上し、クレジットの二重計上を防止するために、各国の炭素クレジット登録管理者やいわゆる民間の自主的な炭素取引市場に対して、第3者機関によるどのような認証を実施するかということにある。
原文
Reuters (11/19)