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国際海洋情報(2022年11月10日号)

1.国際海底機構:多くの加盟国が早期採掘許可に反対へ

現在開催中の国際海底機構(ISA)の理事会においては、海底資源開発を早ければ2024年にも可能にするMining Code(MC)の審議が行われているが、第1週の審議が11月4日に終了した時点で、昨年の合意に従って、MCの審議を2023年7月までに終了するのには無理があり、開発が行われる予定の深海底の生態系に与える開発の影響について科学的な影響評価が出るまで、開発の開始を認めるべきでないという理事国が多数を占めている。COP27においても仏の大統領が深海底開発を直ちに禁止すべきと主張した。一方で、英国・ノルウェーなどの少数国は、予定通り来年の7月までにMCの審議を終えることは可能とし、中国も環境保護にばかり焦点を置くべきでないと主張している。3月に発表された学識経験者による、採鉱予定海域に関する既存研究の包括的な再検討結果によれば、該当海域の生態系に関する科学的知見を欠いたままでは、採鉱活動の効果的な管理が不可能と結論付けている。

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gCaptain/Bloomberg (11/10)


2.Adaptation Agenda:2030年までに30の適応対策事業を実施

2030年までに気候変動に対して最も脆弱な地域に住む40億人の人々に対する防災体制を強化するために、約30のAdaptation Outcome(AO)を出すために、COP27議長主導でAdaptation Agendaが立ち上げられた。30のAOの具体例は以下のとおり。①農地の新たな開墾は行わずに、小規模農家の生活を改善しながら、収穫量を17%増加させる一方で、農作業からのGHG排出量を21%削減できる気候変動に強く持続可能な農業。②水資源を確保し人々の生活を改善し、20億haの土地を持続可能に管理するために、天然資源を活用した手法を用いて、先住民族や地域社会を支援するための4億haの地域と真水の生態系を保護し回復。③スマートな早期警報システムの整備によって30億人の安全を確保。④マングローブ林の減少を食い止め、回復し、保護し、既存のマングローブ保全のための持続可能な資金を確保するといった総合的な対策によって、1500万haのマングローブ林を将来的に保全するために40億ドル(約5800億円)を投資。

原文

UNFCCC (11/10)


3.米国:COP27で海運・港湾の脱炭素化政策Green Shipping Challengeを発表

標記会合で表明された施策の概要は以下のとおり。①米環境保護庁(EPA)が港湾の脱炭素化に関するインフラ整備と電化を技術支援するために、30億ドル(約4400億円)を支援。②運輸省が海事庁の港湾インフラ開発計画を通じて、22の州の41事業の港湾機能・防災能力の拡大に7億ドル(約1000億円)を支援。③IMOにおいて他の諸国と連携して、IMOのGHG削減目標を2050年炭素中立に引き上げ。④韓国政府と連携して、韓国と米国の間にGreen Shipping Corridorを創設するための事業可能性調査を実施。⑤カナダ政府と連携して、Great Lakes Green Shipping Corridor Networkの創設を促進。⑥英国政府と連携して、米英Green Shipping Corridor Task Forceを設置。⑦米国内の関係省庁が連携して、来年早々にTransport Sector Decarbonization Blueprintを作成し、これに基づきMaritime Decarbonization Strategyの制定作業を開始。⑧Zero-Emission Shipping Missionと連携して、オンラインプラットフォームであるGreen Shipping Corridor Hubを創設。

原文

米国務省 (11/10)


4.COP27:Clean Energy Marine Hubsに新たに3か国が参加

Clean Energy Marine Hubは本年Pittsburghで開催されたClean Energy 大臣会合において、米・加・UAEの3政府と港湾・船主・燃料供給事業者などの海事関係者が参加し、CO₂の排出がゼロまたは少ない燃料の輸送に必要な海事インフラの投資を促進するために、脱炭素化に関する政策・計画・事業に関する情報と知識の共有を促進するために結成され、国際海運会議所・国際港湾協会・Clean Energy 大臣会合が運営を支援することとなった。今回、米国とノルウェーがCOP27で主催するGreen Shipping Challengeで、新たに、パナマ・ウルグアイ・ノルウェーの3か国が参加することが発表された。

原文

ICS (11/10)


Webinar 情報

1.COP27 Virtual Ocean Pavilion(11月18日まで)
https://cop27oceanpavilion.vfairs.com/

2.Accelerating the transition (11月18日まで)
McKinsey

3.Energy Security and the Clean Energy Transition (Nov. 18th 9:30ET)
CSIS

4.World Ocean Summit/Asia-Pacific /Opportunities in the post-pandemic maritime sector (Nov.21st 11:00HKT)
Economist