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国際海洋情報(2022年10月24日号)
1.中国潮州市:43.3GWの洋上風力発電施設の整備計画を発表
中国は2021年に、これまでの最高となる16.9GW分の洋上風力発電施設を新設し、世界で最大の洋上風力発電国となったが、割高な石炭や天然ガスに比べて洋上風力発電のコストの低下が続いているので、電力会社や地方政府は引き続き洋上風力発電施設の野心的な新設を続けている。2022年の始めには、福建省が1兆元(約20兆円)を投資して、50GWの洋上風力発電施設を建設する計画を発表したが、このほど広東州の潮州市は、洋上風力発電施設整備の5か年計画を発表し、台湾海峡に面する同市の75kmから185km沖合に、合計で現在ノルウェーが保有する洋上発電能力の合計より大きい、発電能力合計で43.3GWの洋上風力発電施設の建設を2025年より前に開始すると発表した。建設が計画されている海域の地形が恵まれており、年間3800時間から4300時間の強い風が吹き、洋上風力発電施設の稼働率を43%から49%に引き上げることが可能とされている。
原文
IEEFA (10/24)
2.海洋の温暖化が加速し異常気象を惹起
世界各国の15人の科学者が、異なる水深の海水の温度の変化を時系列的に分析し、Nature Reviews:Earth and Environmentに発表した研究によれば、化石燃料の燃焼から発生するGHGが原因で発生する熱の90%以上が海洋によって吸収されており、海面から深さ2km以内の海水層が温められる速度が、1960年代と比べると2倍となっている。こうして海洋が過剰な熱量を吸収することによって、海面上昇を加速化し、集中豪雨を激しくし、海氷を融解し、サイクローンの規模をおきくし、海洋熱波を激化させている。サンゴ礁のような海洋性生物が危機に瀕し、海洋が大気中から炭素を吸収する能力を弱くしている。最大限にGHGを削減するシナリオによっても、今世紀末には海洋温暖化の速度は現状の2倍になる見込み。世界のすべての海洋が温暖化しているが、中でも北極海と南氷洋の温暖化の速度が速いことが裏付けられた。
原文
The Guardian (10/24)
3.欧州港湾協会:EU ETS Maritimeに対するコメント
10月21日に発表された標記コメントの概要は以下のとおり。①海運会社がETSのコストを逃れるために、EU域外の近隣港湾を代替ハブとして使用することについて、今回の改正案が一定の配慮をしたことについて評価するが、こうした脱法行為が行われるリスクはあるので、欧州委員会はETS適用に当たっては、監視体制を強化すべきである。②EU ETS Maritimeの収入によってOcean Fundが運営されることを歓迎するが、港湾における代替燃料の供給・充電インフラの整備や電力gridを港湾に延伸するための投資がOcean Fundの対象となることを求める。③対象となる船舶の範囲を5000GT以上に限ることについては、海運から発生するCO₂の約90%を削減できること、CO₂排出量についてはEU MRVに依存することになるが、同制度も5000GT以上の船舶を対象とすることから合理的であり、400GT以上に適用対象を拡大するのは、港湾において莫大な追加投資が必要となり、非生産的なので反対する。
原文
ESPO (10/24)
4.World Benchmarking Alliance:交通関係企業の脱炭素化の取り組み強化が必要
世界の主要産業・企業のSDGsに関連する目標の達成状況を把握するための指標の作成に取り組むWorld Benchmark Alliance (WBA)が、機関投資家等のために企業の地球温暖化対策の取り組み状況を調査する世界的な環境NGOのCDPと共同で、全世界の主要交通関係90社(海運会社17社を含む)を対象として、Assessing low-Carbon Transition (ACT)手法を用いて、地球温暖化対策の現状について調査した結果をTransport Benchmarkとして発表したところその概要は以下のとおり。①交通事業は使用するエネルギーの90%以上を原油を原料とする燃料に依存しており、全産業の中でもっとも、化石燃料に依存している産業となっている。②全体の7%の企業しか化石燃料の使用の段階的停止を表明しておらず、交通分野に代替燃料を大規模に取り入れるための研究に迅速な投資が必要。③交通事業は、最終需要家ベースで、世界のCO₂排出量の37%を排出しており、交通産業全体でCO₂削減に取り組む必要。④従業員の健康や安全に関する情報を公表している企業の割合はわずかに43%にとどまり、その中でも数量ベースの情報を開示しているのは3社に過ぎなかった。
原文
World Benchmark Alliance (10/24)
国内ニュース
1.商船三井:TotalEnergies向け新造LNG船の定期用船契約を締結
原文
10月20日、商船三井