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国際海洋情報(2022年10月19日号)

1.2022年第3四半期中に米国の洋上風力発電の長期目標が58%増加

Business Network for Offshore Windによれば、インフレ削減法(IRA)が成立した結果、米国における長期的な洋上風力発電の目標が、2022年第3四半期に、四半期としては過去最高の58%増加した。バイデン政権は、2035年までに浮体式洋上風力発電量の合計を15GWとし、併せて、Floating Offshore Wind Shot戦略によれば、浮体式洋上風力発電施設の建設コストを70%以上削減することを目的としており、固定式洋上風力発電と併せて、2030年までに合計で洋上風力発電能力を30GWに拡大することを目標としている。さらに、California州をはじめとする海岸に面する各州も洋上風力発電の建設目標を設定しており、同州は2045年までに同州沖に25GWの洋上風力発電施設を建設することを目標としている。米国東海岸のMassachusetts/New Jersey/New York/Road Islandも意欲的な建設目標を掲げている。

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Offshore Wind (10/19)


2.英国:光熱費の上限規制を来年4月に縮小・重点化の方向で再検討

英国の新政権は、英国のすべての家庭の光熱費に上限を設け、10月1日から2年間上限額を維持すると9月に発表したが、2年間の光熱費上限規制に必要な財源が1500億ポンド(約25兆円)かかり、新首相はこの財源を石油ガス産業に対する新規課税ではなく、政府借り入れで賄おうとし、さらに財務大臣が併せて450億ポンド(約7.6兆円)に及ぶ減税案を併せて発表したため、金融市場においてはポンドが急落し、不動産ローンの金利も一気に上昇したため、混乱を収束するために財務大臣が辞任に追い込まれた。新財務大臣は、ほとんどすべての減税案を撤回したうえで、光熱費の上限設定もこの冬限りとして、4月から支援の対象を絞った新たな制度にすると発表した。この結果、4月以降は、何も支援を受けない普通の家庭の年間光熱費の負担は4347ポンド(約73万円)まで上昇する見込みだが、今後のエネルギー卸売価格の変動によってこの額も大きく変動する見込み。企業に対するエネルギー上限規制も来年4月に合わせて見直される予定。

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BBC (10/19)


3.BOEM:米国太平洋岸で初めての洋上風力発電のLease Saleを発表

バイデン政権は、2030年までに洋上風力発電能力を30GWに拡大し、浮体式洋上風力発電については2035年までに15GWに拡大するという目標を掲げ、2021年5月には、内務長官とカリフォルニア州知事が同州の北部と中央部の沖合に洋上風力発電施設を建設することに合意しているが、米内務省海洋エネルギー管理局(BOEM)は、10月18日、太平洋岸では初めてとなる沖合大陸棚(OCS)の洋上風力発電開発のためのLease Saleを12月6日に実施するとOffshore WINDPOWER 2022 Conferenceで発表した。浮体式風力発電を想定した初めての入札ともなる。今回は、合計面積約15haにのぼる5海域で、約150万戸の家庭に電力を供給できる総発電能力4.5GW以上の施設の整備を想定している。BOEMはこれまでにMassachusettsとNorth Carolinaの米国大西洋岸では、10回の競争入札を実施し、27件の洋上風力発電のためのリースを認めている。

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BOEM (10/19)


4.ベルギー政府:アントワープ港を欧州のグリーン水素輸入・中継ハブ港に

ベルギーの連邦水素戦略は、同国のエネルギーミクスの100%を再生可能エネルギーとして炭素中立を達成するための転換期の戦略として、2021年後半に策定されたが、同国が炭素中立を達成するためには、再生可能電力ばかりでなく、国産水素に加え、大量の外国から輸入される再生可能水素も必要とする。10月18日、同国の首相はアントワープ・ブルージュ(AB)港を訪問し、Boston Consulting Groupの勧告に従い、同国の水素戦略の改正を発表した。改正の内容としては、欧州の炭素中立目標に従った同国政府のエネルギー関連の広範な目的の実現のために、連邦水素理事会を設立するものだが、同国をグリーン水素の欧州における輸入・中継ハブにするという野心的な目標達成のために、グリーン水素とアンモニアやメタノールなどの水素派生品を輸入・製造・加工処理するという同港の戦略が中心的な役割を担う。同港は2026年からの水素等の輸入開始を目標として、DEME/Engie/ Exmarなどの民間企業と連携して受け入れインフラの整備を図るとともに、水素サプライチェーンを構築するためにいくつかの輸出国とも連携する。

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アントワープ港 (10/19)


国内ニュース

1.清水建設:世界最大級のSEP船「BLUE WIND」が完成
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10月6日、清水建設