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国際海洋情報(2022年10月14日号)
1.持続可能な開発のための世界投資家アライアンス
10月12日、2019年に当時の国連事務総長主導で設立され、総額で16兆ドル(約2350兆円)の運用資産を持つ持続可能な開発のための投資家(GISD)アライアンスの第4回年次総会が国連本部で開催され、Standard Chartered/ Pimco/ Citibank/ Investecなど投資機関のトップが参加して、2030年までのSDGs達成に向け、途上国支援を中心に討議が行われたところその概要は以下のとおり。①GISDは設立以来、持続可能な開発投資(SDI)を長期的に民間投資部門が実施するための環境整備に努め、具体的には、SDIの信頼できる定義・SDGにどの程度適合しているか判定する方法・長期的なSDIを資産運用者に義務付けるためのModel Mandateの作成などを実施してきた。②今後1年間は、リスクの取れる公的投資と民間投資を併せたblended financeの過渡的なプラットフォームづくりに取り組んでいく。③GISDは、SDGの目的に合致したインフラの建設を促進し、投資の規模を拡大するために、複数の多国間開発銀行と機関投資家が共同で投資することを促すための持続可能なインフラ投資プラットフォーム(SIIP)の設立も目指している。
原文
国連 (10/14)
2.T&E:CORSIA改正案では2030年までに総排気量の22%しかオフセットされず
国際航空から排出されるCO₂の量は、現在の成長率をもとに試算すると、2030年までに7億トンとなる見通しだが、10月7日、環境NGOの「交通と環境(T&E)」は、国際民間航空機関(ICAO)が、第41回総会において、2050年までに炭素中立を達成するためのLong-Term global Aspirational Goal (LTAG)に合意した内容等について批判的なコメントを発表したところその概要は以下のとおり。①今回合意されたLTAGは法的拘束力のないもので、2050年炭素中立を担保するものではない。②非EU加盟国は、EUが排出権取引制度(ETS)を見直して、EU域外に出発する飛行についてETSの対象とすることに反対すべきでない。③ICAOは、併せて、国際民間航空のための炭素相殺・削減制度(CORSIA)の最初の定期的な見直しを実施し、2024年以降に適用される新たなCORSIAの基準値を2019年実績の85%の水準とすることで合意したが、これでは2030年までに全体CO₂排出量のわずか22%しかオフセットできないことが、T&Eの試算で判明し、このオフセットのための経済的なコストも、例えば、欧州から米国への直行便における乗客一人当たりの追加的負担額がわずかに1.7ユーロ(約240円)と極めて低いため、CO₂排出量の少ないSAFに転換する経済的なインセンティブが発生しない。
原文
交通と環境 (10/14)
3.欧州理事会:再生可能エネルギー目標引き上げに反対へ
欧州委員会が本年5月にロシアへのエネルギー依存から脱却するために提案したREPowerEU提案には、全エネルギーに占める再生可能エネルギーの比率を45%に引き上げる提案が盛り込まれ、欧州議会もこれを支持することを決めているが、欧州理事会は6月に目標を40%に据え置くことに合意しており、欧州委員会と欧州議会の提案に反対する見通しであることがわかった。さらに、欧州委員会の提案には、再生可能エネルギー施設の拡大を「最優先すべき公共の利益」と位置づけ、新たな再生可能エネルギー開発事業に反対する法廷闘争から守ることも含まれていたが、この提案についても欧州理事会は拒否する見込み。一方で、欧州委員会の提案の中にある再生可能エネルギーを優先的に整備できる区域を設定し、事業承認するプロセスを合理化する提案には同意する見込みで、優先区域内では、承認手続きに要する期間を原則1年以内とし、それ以外の区域では2年以内という原則は維持される見込み。
原文
Euractiv (10/14)
4.IEA:OPEC+の原油減産合意を批判
10月13日、国際エネルギー機関(IEA)は10月の「石油市場報告」の中で、OPEC+が先週(10/3の週)減産に合意したことについて、エネルギー価格を上昇させ、世界経済を後退させるものと批判した。米国大統領も、今回OPEC+の合意を主導したサウジアラビアとの関係を見直すと表明したが、これに対しサウジアラビアは今回の決定に政治的な意図はなく、市場を均衡させ、投機的な値動きを抑制するためのものであると反論している。OPEC+は日量200万バレル減産すると発表しているが、ロシアも含めた実際の減産額は日量100万バレルにとどまるが、減産分はサウジとUAE両国が分担するものとIEAは見ている。EUは10月に入ってから、ロシアのウクライナ侵攻のための収入を奪うために、新たな世界的な制裁であるロシアから輸出される石油価格の上限制度を導入することについて同意しており、この制裁によってさらに世界的な石油供給量が削減される見込み。
原文
Reuters (10/14)
国内ニュース
1.丸紅:世界初、バイオ燃料によるエチレン船の航海実施について
原文
10月12日、丸紅