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国際海洋情報(2022年10月7日号)
1.ABS:現代重工の4分野の自律運航船技術に対し基本承認を付与
米国船級協会(ABS)は、現代重工グループのAvikusが開発した船舶自律運航システム(HiNAS2.0)、同グループの中核の韓国造船海洋が開発した機器のCondition Management System(HiCBM)・船上統合安全管理システム(HiCAMS)・自律運航船統合プラットフォーム(Pont.OS)の4システムについて基本承認(AIP)を与えた。HiNAS2.0は来年以降、現代重工グループで建造されるすべての新造船の標準アプリケーションとなる見込み。人工知能を駆使したHiCBMは自動で船舶機器の状況を診断し、HiCAMSも乗組員の関与なしに火災などを検知し自動的に対処できる。統合プラットフォームのPont.OSは船舶の様々な自律機能を統合・管理する開放されたプラットフォームで、安全な自律運航や遠隔操縦を可能とするインフラとして機能する。
原文
ABS (10/7)
2.欧州委員会委員長:新たな緊急エネルギー対策を各国首脳に提案
欧州委員会委員長が臨時首脳会合開催を前に、各国首脳に宛てた手紙の概要は以下のとおり。①EU単一市場と気候変動対策を維持しながら、このエネルギー危機に対処する方法としては、欧州諸国の一致した対応が必要である。②各加盟国が個別にエネルギー確保を図るのではなく、欧州エネルギープラットフォームとして、エネルギーの共同購入を実施し、EUとしての交渉力を強化すべき。③EUは世界的に見て割高なLNGを輸入しており、天然ガス価格の上限制度を検討する必要があるが、そのためには加盟国間で強制力のある需要削減を義務付ける必要。④天然ガスの価格高騰は電力料金の高騰を招いているので、発電に使用される天然ガスについてまず上限価格制を導入すべき。⑤エネルギー自給率を高めるためには、再生可能エネルギーへの投資、再生可能電力と既存送電網との連結、パイプラインなどのインフラ整備に加えて、住宅の断熱性の向上やヒートポンプの導入などのエネルギー効率向上のための投資が必要であり、欧州委員会はREPowerEUで合意された財源に加えて、補完的な財源の確保について検討する。
原文
Euractiv (10/7)
3.加沿岸警備隊:バイオディーゼルの導入試験とハイブリッド電動船を導入
カナダ政府の2030/2050年までのGHG削減計画に従って、カナダ沿岸警備隊(CCG)も脱炭素化に取り組むこととなり、バイオディーゼル油の試験的な使用、最初のハイブリッド電動船の建造などについて、10月4日発表された。CCGは10月初めに、バイオディーゼルの調達契約を締結し、連邦政府機関としては初めて、1隻の巡視艇で20%バイオディーゼルを混ぜた混焼試験を実施する。今後数か月をかけて、様々なジン指定の運用条件に合わせて、巡視船の運用上或いは技術的な整合性を含め、様々にバイオディーゼルの混入率を変えて、どの程度混入が可能か試験を実施する。また、沿海域における漁業調査船の新たな建造に当たり、バッテリーを搭載したハイブリッド電動船を建造することとし、カナダの造船事業者を対象に公開入札を実施する。
原文
カナダ沿岸警備隊(10/7)
4.独最大の発電事業者が2030年までに褐炭火力発電を停止
独最大の発電事業者であるRWEは石炭火力発電の廃止を8年先送りし、2030年までに褐炭を原料としたすべての石炭火力発電所の稼働を停止することで、政府と合意したと発表した。一方で、ロシアによる欧州エネルギー危機に対応し、天然ガス火力発電を減らすために、最も環境に悪い褐炭火力発電所の稼働を一時的に増やすこととなるが、同時に、エネルギー転換のための投資も積極化し、2030年には褐炭火力発電から撤退すると語った。この結果、本年末に解体される予定であったRWEの2か所の石炭火力発電所を2024年3月末まで稼働させることになった。また2030年以降のエネルギーの安定補給を担保するために、独政府は、合計で3.6GWの発電能力を持つRWEの褐炭火力発電所を2033年末まで、予備電源として維持するという決定を2026年までにすることができる。RWEは褐炭火力発電所の代替として、3GWの発電能力を持ち、水素も原料として使用できる天然ガス火力発電所を建設するとしている。
原文
Reuters (10/6)
国内ニュース
1.商船三井:シンガポール最大の新造 LNG 燃料供給船を”Brassavola”と命名
https://www.mol.co.jp/pr/2022/img/22110.pdf