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国際海洋情報(2022年10月6日号)

1.ベルギー:北海に欧州の洋上風力発電のハブとなる人工島を建設へ

10月3日、ベルギーの高圧電力送電事業者のEliaは同国のエネルギー担当大臣・北海担当大臣の隣席の下、世界初の洋上風力発電のエネルギーハブとなる広さ5ヘクタールの人工島の建設計画を発表した。同島は同国の沖合約45kmの海域に建設され、同国の海洋空間計画(2020-2026)に位置付けられた第2洋上風力発電海域に建設され、合計で3.5GWの洋上風力発電施設で発電された電力を集約するとともに、同社の高圧送電網と接続させる。同島は英国とデンマークの送電網とも連結され、欧州の高圧電力網の中継点ともなる。本事業はEUから約1億ユーロ(約144億円)の支援を受ける予定。環境影響調査などを経て、2024年から同島の建設工事が開始され、2026年半ばに人工島が完成し、人口島の上に電力関係のインフラを建設し、2030年までに周辺の洋上風力発電施設と接続する予定。

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Elia (10/06)


2.マースク:Gメタノール対応の17000TEU6隻を発注。合計19隻体制に

10月5日、マースクは、新たに、グリーンメタノールを燃料として使用できる17000TEUの大型コンテナ船6隻の建造を現代重工業に発注したと発表した。マースクは2040年までに炭素中立を達成すると公約しているが、短期目標としては、コンテナ1個当たり排出されるCO₂の量を2030年までに2020年実績比で50%削減することとしている。今回の発注と併せて、これまでに同社は合計で19隻のグリーンメタノールを燃料とできるコンテナ船を既に発注している。既存燃料船と比較した場合の追加コスト(CAPEX)は、8-12%の範囲で、昨年8隻の建造を発注した時と比べて、追加コストの割合は減っている。今回発注した6隻の船舶は2025年に引き渡され、デンマーク籍船として運航される見込み。現在発注済みの19隻のコンテナ船が、従来型コンテナ船に置き換わることによって、合計で230万トンのCO₂の排出を削減することができる。

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Maersk (10/6)


3.欧州理事会:露産原油に上限価格を設定することを含む8次制裁案に合意

10月4日、EU大使級会合で、G7諸国がすでに同意しているロシア産原油に対する上限価格設定を含む、第8次制裁案について合意した。3日の時点では、マルタ・ギリシャ・キプロスなどの海運国が上限価格制度の導入に反対していたが、上限価格制度を実施する前に同制度の影響評価を実施し、また制裁逃れのためにEU船籍から離脱するなどの脱法行為が実施され、これらの海運国が不利益を被らないように欧州委員会が監視することなどを条件に妥協が成立した。具体的な上限価格については、今後決定される見込み。

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Euractiv (10/6)


4.独最大の発電事業者が2030年までに褐炭火力発電を停止

独最大の発電事業者であるRWEは石炭火力発電の廃止を8年先送りし、2030年までに褐炭を原料としたすべての石炭火力発電所の稼働を停止することで、政府と合意したと発表した。一方で、ロシアによる欧州エネルギー危機に対応し、天然ガス火力発電を減らすために、最も環境に悪い褐炭火力発電所の稼働を一時的に増やすこととなるが、同時に、エネルギー転換のための投資も積極化し、2030年には褐炭火力発電から撤退すると語った。この結果、本年末に解体される予定であったRWEの2か所の石炭火力発電所を2024年3月末まで稼働させることになった。また2030年以降のエネルギーの安定補給を担保するために、独政府は、合計で3.6GWの発電能力を持つRWEの褐炭火力発電所を2033年末まで、予備電源として維持するという決定を2026年までにすることができる。RWEは褐炭火力発電所の代替として、3GWの発電能力を持ち、水素も原料として使用できる天然ガス火力発電所を建設するとしている。

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Reuters (10/6)