国際海洋情報の内容については、有料メールニュースなど営利目的での転載はご遠慮頂くとともに、二次使用の際は国際海洋情報からの転載である旨を明示していただきますよう、お願いいたします。

国際海洋情報(2022年9月30日号)

1.Nord Stream 1とNord Stream 2を何者かが破壊

9月27日、バルト海にあるデンマーク領ボーンホルム島沖で発見された天然ガスの噴出は、露と独を結ぶNord Stream 1とNord Stream 2から漏出していることがわかったが、地震学者はガス漏出が発見される前に、爆発に伴う衝撃波が確認されたとしており、「すべての情報が、ガスの漏出は意図された攻撃によるものであることを示唆しており、欧州のエネルギーインフラに対する意図的な妨害行為は、全く受け入れることはできず、断固たる一致した制裁が下されるだろう。」と、EUの外務・安全保障政策上級代表は28日表明した。現在、この2本のパイプライン経由で欧州に天然ガスは送られていないが、今回の損傷によって、この冬には物理的に欧州に天然ガスをこの2本で送ることができなくなった。独は米国や他の欧州諸国から、Nord Stream事業について、露への天然ガスへの依存度を高めるとして、強く非難されてきたが、今回のパイプラインの損傷の程度によっては、Nord Stream事業の将来的な見通しも疑問視されることとなる。

原文

AP (9/30)


2.デンマークがバルト海のガス漏れ周辺海域に航行禁止区域を設定

デンマーク領ボーンホルム島周辺海域で、Nord Streamパイプラインから3か所のガス漏出を確認したのを受け、デンマーク政府は、周辺海域はメタンが充満して爆発の危険性が高いことと、当該海域に入域した船舶が浮力を失う可能性があることを理由に、漏出海域の周辺5海里を航行禁止区域に設定した。スウェーデンのEEZ内でも、Nord Stream 1の1か所からガスの漏出が確認されており、同政府海事庁も周辺海域に船舶が近づかないように特別監視をしている。スウェーデン大学の地震学者によると、爆発は水中で発生し、100kg以上のダイナマイトの爆発力に匹敵するとしている。

原文

Safety4Sea (9/30)


3.英国:家庭のエネルギー効率向上のために15億ポンドを政府が支援

英国政府は9月29日、国内で約13万戸にあたる公共住宅と低所得者層の住宅のエネルギー効率を上げるために、15億ポンド(約2300億円)を支出すると発表した。Social Housing Decarbonization FundとHome Upgrade Grant schemeによって、既に3万戸以上の住宅に対して省エネ改良工事が実施されているが、公共住宅供給事業者と地方公共団体は、この2つの基金等に対して、住宅のエネルギー効率の改善補助金を得るため入札を行い、実際の改良工事は、来年初頭から、2025年3月にかけて実施される。この住宅のエネルギー効率化によって、一家庭当たり、年間400-700ポンド(約62000円から110000円)の光熱費の節約となり、新たに19000人の雇用を生むことができる。さらに、英国政府は、10月から年間光熱費の上限を2500ポンド(約40万円)に2年間据え置く、Energy Price Guarantee制度を導入することによって、各家庭の今後2年間の光熱費の負担を年間1000ポンド(約16万円)以上削減する。

原文

英国政府 (9/30)


4.シンガポール:Alliance for Future Maritime Talentを結成

シンガポール海事港湾庁・シンガポール海事基金・米国船級協会などは、海事労働者が海事産業の転換に対応していくのに必要な技能を習得させ、シンガポールが海事人材育成のための国際的な競争で優位に立つために、Alliance for Future Maritime Talent (AFMT)を結成した。シンガポールでは、本年4月にMaritime Industry Transformation Tripartite Committee (MITTC)を創設して、2025年までの海運の転換を踏まえたSea Transport Industry Transportation Map 2025を作成したが、今回結成されたAFTMは初めの成果物となる。
AFMTは海事産業界と労働組合と当局からなるTripartite Advisory Panel (TAP)と連携して、船員または陸上要員として今後必要となる将来的な海事技能や船員が陸上要員に円滑に転換するのに必要な技能について検討し確定していく。

原文

MPA (9/30)


国内情報

1.商船三井: 船舶の燃費改善・GHG 削減を目的とした戦略的パートナーシップを締結
https://www.mol.co.jp/pr/2022/img/22108.pdf


Webinar 情報