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国際海洋情報(2022年9月24日号)

1.英新政権:シェールガス採掘のためのfrackingの凍結を解除

シェールガスを採取するためのfrackingによって、2019年に地震のほぼない英国で地震が頻発したためfrackingが凍結され、同年、保守党は「科学的にfrackingが安全に実施できると完全に証明されない限り」凍結を解除しないと選挙で公約した。しかし、新政権のビジネス・エネルギー担当相は、ロシアによるウクライナ侵攻によって、国内で生産できるエネルギーの確保が至上課題となったとして、frackingの凍結を解除することを発表した。同大臣は、frackingが認められるために許容される派生地震に関する現行基準は厳しすぎるともコメントした。前政権がBritish Geological Survey (BGS)委嘱した報告書では、BGSはさらなる情報が必要として、凍結解除の可否について結論を出していないにもかかわらず、新政権は凍結解除を決断した。同大臣は、2040年までに英国をエネルギーの純輸出国にするためには、国内における太陽光・風力・石油・天然ガスなどあらゆるエネルギーの生産を増やす必要があるとも発言した。

原文

Belfast Telegraph (9/24)


2.ハンブルグ港:COSCOによるターミナルの一部買収を支持

中国のCOSCOホールディングスは、ハンブルグ港にある4つのターミナルの中でも一番小さいターミナルの35%の持ち分を買収しようとしているが、独連邦政府の経済大臣は、先週(9/12の週)、国家安全保障上重要なインフラに対する中国の投資に対して、連邦政府は拒否権を発動する考えを示した。独政府は最近、中国国内の人権問題に対して非難を強めており、中国に対しては貿易政策でも強硬策を取ることを示唆している。これに対して、ハンブルグ港湾当局は、中国の投資を歓迎し、国家安全保障上の懸念はないとして、連邦政府が買収に対して拒否権を発動することに反対している。中国は一帯一路政策を積極的に進めており、COSCOは戦略的に重要な港湾の支配を進め、ギリシャのピレウス港の過半数持ち分を取得し管理下に置いている。

原文

gCaptain (Bloomberg) (9/24)


3.Global Clean Energy Action Forum (GCEAF)が米主導で開催

9月21日から23日にかけて、米エネルギー大臣が主催し、各国の大臣・CEOs等が参加して、第1回世界クリーンエネルギー行動フォーラム が開催されたが、主要合意事項の概要は以下のとおり。①日本を含む16か国は、今年中にGCEAFに対し、Clean Energy Technology Demonstrationsのために、940億ドル(約13兆円)を供出することに合意。米国は219億ドル(約3.1兆円)を負担。②米国を含み日本を含まない6か国は、政府の公用車を2035年までにすべて電気自動車とし、中・大型車についても努力するZero-Emissions Government Fleet 宣言を採択。③米国エネルギー省は新たに Industrial Heat Shotを開始し、2035年までに、日用品生産に使用される熱源から排出されるGHGの量を85%以上削減する。④米国エネルギー省は、全米に4か所以上のクリーン水素の生産・加工・配送・貯蔵・利用のための拠点ハブを建設するとするRegional Clean Hydrogen Hubs Programを発表。

原文

米エネルギー省 (9/24)


4.北海におけるCO₂貯蔵:2023年に免許、2027年から貯蔵開始

North Sea Transition Authority (NSTA)は、北海のAberdeen/ Teesside/ Liverpool/ Lincolnshire沖の13のCO₂貯蔵海域の入札に19社から26件の応札があったと発表した。NSTAは応札内容を審査したうえで、2023年前半にも落札企業を決定する見込み。2027年から実際にCO₂の貯蔵が始まれば、2030年までに年間2000-3000万トンのCO₂の貯蔵が可能となる見込み。貯蔵候補地は、地質学的に適しており、既存のインフラに近く、CO₂貯蔵場所が必要な工業クラスターのそばにあるという観点から選択されている。2050年までの炭素中立を達成するためには、炭素回収貯蔵(CCS)技術の活用が不可欠で、最大で100か所のCO₂貯蔵場所が必要とされることから、今後の同様の入札が実施される見込み。

原文

NSTA (9/24)


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