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国際海洋情報(2022年9月13日号)

1.米財務省:露産石油上限価格規制に関する海事関係者向けsafe harborを示す

9月2日、G7は財務大臣会合で、石油価格の高騰を防ぎ、ロシア政府の収入を減らすために、ロシア産原油に上限価格を設定し、上限価格を超える石油製品に対しては、保険・金融・brokering・輸送などのサービスを提供しないことに合意した。9月9日、米国財務省はG7合意を受け、ロシアから輸出される石油価格の上限設定に関するガイドラインを発表し、上限価格を超過するロシア産原油の輸送に善意で関与した保険・金融・海運などのサービス提供事業者に対しては、制裁破りの責任を問わないとするsafe harbor基準を発表した。一方で、ロシア産原油を上限以上の価格で購入しながら、上限価格以内であることを示す虚偽の文書を故意に関係者に交付した者について、制裁違反者として処罰の対象になるだけでなく、上限価格の設定に合意したG7諸国に違反情報が共有されることとなる。

原文

Reuters (9/13)


2.オランダ政府:47億ユーロの復興事業の約半分をエネルギー転換事業へ

オランダ政府は、コロナ復興事業計画を3月に作成し、欧州委員会の承認を得るため7月に提出していたが、このほど欧州委員会の承認を得て、EUのRecovery and Resilience Facility (RRF)から47億ユーロの(約6800億ユーロ)の資金を得ることとなった。オランダ政府の計画は、ロシアへのエネルギー依存を速やかに脱却するためのREPowerEU計画の目的達成に貢献し、欧州委員会からのエネルギー政策に関するオランダ政府への勧告に応えるもので、具体的には、洋上風力発電と各家庭のエネルギー効率促進に対する投資を促進するとともに、新たにエネルギー法を制定し、送電網への投資促進や各家庭で発電された電力の売電を認める。RRFの支援を受けるためには支援総額の37%以上の予算の炭素中立を目標としたエネルギー転換に充当することが要件とされているが、オランダ政府の計画では総額の48%をエネルギー転換に充てることとしている。洋上風力発電関連では、2030年までに21GWを洋上風力発電で発電し、陸上側の送電網に送るためのインフラの建設に6.94億ユーロ(約1000億円)を投資する予定。

原文

Offshore Wind Biz (9/13)


3.欧州委員会:化石燃料事業者への超過利潤課税案

パンデミック後の迅速な経済の回復と、ロシアによるウクライナ侵攻によって、石油ガス価格が高騰し、エネルギー関連産業は巨額の利益を得ており、TotalやShellのような欧州の大手エネルギー企業が発表した本年第2四半期の収益は、それぞれ、115億ドルと98億ドルで記録的な水準に達している。これを受けて、今週公表される予定の欧州委員会の提案によれば、EU加盟国は、エネルギー価格の高騰によって、超過利潤を得ている石油・ガス・石炭・石油精製事業者に対して課税をし、徴収したsolidarity contributionを財源として、エネルギー危機を緩和するために、エネルギー料金の高騰に苦しむ家庭や企業を支援し、エネルギー多消費型の産業を支援し、エネルギーの消費を節約し、エネルギーの自給率を挙げるための事業を実施する。具体的な課税方法としては、2019年1月以降の3年間の予算年度の平均収益を上回る2022年からの超過利潤に対して課税される見込み。

原文

Reuters (9/13)


4.欧州議会:木材バイオマス発電に対する補助金を禁止へ

EUの再生可能エネルギー指令の一部のバイオマスに関する部分の改正案が9月14日、欧州議会で採決にかけられる。改正案の提案者は、第1世代のバイオ燃料が市場に出るために、何年か前までは補助制度が必要であったが、現段階では、経済的にも、自然環境の回復や生物多様性の保護の観点からも、正当化できないものとなったとしている。環境活動家は、森林の減少・生物の生息地の破壊・CO₂を吸収するcarbon sinksとしての森林を破壊することから、発電のために木材を焼却することに反対してきた。修正案では、木材を燃焼することによって得られるエネルギーを再生可能エネルギーの定義から除外することも含まれており、欧州議会主要3会派の賛成で承認される見込み。

原文

Euractiv (9/13)


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