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国際海洋情報(2022年9月12日号)

1.IEA:World Energy Employment Reportを発表

国際エネルギー機関が9月8日、標記報告書を新たに発表したところその概要は以下のとおり。①世界のエネルギー関係産業で就労している労働者数は、再生可能エネルギーへの転換とロシアによるウクライナ侵攻後のエネルギー供給網のシフトに対応して、全労働者数の約2%に当たる6500万人以上となり、パンデミック以前の水準を超えた。②石油ガス関連産業で働く労働者数はパンデミック開始後急減したのち、いまだ完全に回復していない一方で、再生可能エネルギー産業で働く労働者の割合は、全エネルギー関連産業で働く労働者数の過半数を超え、そのうち約2/3は再生化可能エネルギー発電施設の建設や再生可能エネルギー発電装置の製造にあたっている。③石油ガス関連産業で働く労働者数も回復しているが、中でも新たなLNG関連インフラの建設で労働者数が増えている。④2022年に入って、エネルギー分野で働く労働者数は記録的な速度で増加する一方で、インフレに伴うコストの増加が、太陽光・風力・石油ガスといった広い範囲で影響を及ぼしている。

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IEA (9/12)


2.Allianz:リチウムイオン電池による火災リスクに対する予防措置

Allianz社がRisk Consulting Bulletinで標記について取り上げているところその概要は以下のとおり。①電気自動車や電化製品の主要部品である可燃性が極めて高いリチウムイオン電池の輸送は、Ro-Ro船やコンテナ船の安全運航に大きな影響を与えている。②事故の形態としては、電池の発火・爆発・過熱・有害ガスの発生だが、事故原因としては、電池の不良・電池の過充電・電流のショートによる過熱・不適切な梱包/取り扱いによる電池の損傷などがあげられる。③火災による損害を最小限にとどめるためには、船員に適切な訓練を実施し、消火措置の適切な使用に習熟させ、電池が過充電されていないか確認させ、早期警報システムを改善し、防災緊急計画を策定することなどが重要。③船舶火災・爆発は、過去10年間の船舶全損事故の原因としては3番目に多い原因で、保険金請求額で見れば、過去5年間で最も高額な事故の原因となっている。

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Allianz (9/12)


3.EUエネルギー大臣会合:発電・エネルギー事業者から超過利潤を徴収

9月9日、緊急に開催されたEUエネルギー大臣会合の概要は以下のとおり。①欧州委員会に対して、数日以内に、天然ガス以外を燃料として発電している事業者の利益に上限を設け、電力会社の与信問題を改善するための提案をするように要請。②ロシア産の天然ガスの上限を設けることについては、各国が合意できず。③代わりに、ロシア産に限らない天然ガス価格一般について、上限価格を導入する案の作成を欧州委員会に指示。④欧州委員会の提案はまだ公表されていないが、天然ガス価格の高騰によって上昇した電力価格から、利益を得ている再生可能エネルギー・原子力・石炭火力発電事業者の超過利潤を徴収して、電力価格引き下げの財源とすることが検討されている。④石油・ガス価格の高騰によって高い利潤を得ている化石燃料供給事業者からもsolidarity contributionを徴収する予定。⑤欧州委員会の提案は13日にも発表される予定で、これを受けてエネルギー大臣は今月後半にも再度会合を開催し、最終案について交渉・合意する見込み。

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Reuters (9/12)


4.アフリカ諸国:COP 27を前にClimate Financingの増加を要求

アフリカ諸国は、2か月後にCOP 27の開催を控え、金融・経済・環境担当の大臣が出席して、気候問題に関する会合をCOP 27の主催国であるエジプトで開催し、9月9日、共同声明を発表したところその概要は以下のとおり。①アフリカ諸国は少ないGHGの排出量に不均衡な気候変動に伴う大きな影響を受けているが、世界の気候変動対策金融の5.5%以下しか受け取っておらず、先進国はアフリカ諸国の気候適応対策のために、より多くの金融支援を約束するべき。②一方で、アフリカの経済発展を損なう化石燃料産業からの突然の投資の引き上げには反対で、ナイジェリアの大臣は、天然ガスの開発の継続が同国の発展に不可欠との認識を示した。③さらに国際的な開発金融機関に対しては、sustainable sovereign debt hubの創設を提案し、アフリカ諸国が国内で自然保護活動を実施することを条件に一部の債務を免除するdebt-for-nature swapsの導入を求めた。④アフリカ開発銀行によれば、アフリカ諸国は、気候変動適応対策の実施に必要な資金が年間1080億ドル(約15兆円)不足しており、中でも気候変動のリスクが大きい国ほど資金が不足していると指摘している。

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Reuters (9/12)


国内ニュース

1.商船三井:LNG燃料タグ「いしん」が苫小牧港LNGバンカリングトライアルに協力
原文

9月8日、商船三井


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