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国際海洋情報(2022年9月7日号)

1.独:廃止予定の原発を来年4月までスタンバイ状態に維持

独の経済大臣は、9月5日、現在稼働中の最後の原子力発電所2基について、今年末に運転中止予定だったものを、緊急時のエネルギー補完措置として、来年の4月半ばまで必要な時にはいつでも発電できるスタンバイ状況に置くと発表した。同大臣は、4つの送電事業者とこの冬の最悪の状況を検討したところ、一時的に電力不足となる可能性が排除しきれなかったため、原発の運転延長を決断したとしている。連立与党を組んでいる産業界寄りのFDPは今回の決定を契機に、炭素中立目標の達成のためには原発が必要という観点から、原発廃止政策の見直しを主張しているが、もう一方の連立与党の緑の党は原発廃止政策の見直しをあくまで拒否している。

原文

The Guardian (9/7)


2.Shell/MSC/LR:メタンスリップ測定と削減事業(MAM)を創設

2010年以来、LNGを燃料とする船舶数は年間20-40%で伸びているが、2025年までには新造船の2/3以上がLNG燃料船となることが予想されているが、LNG燃料船の問題として指摘されているメタンスリップの問題を解決するため、ロイズ船級協会が設立したSafetytech Acceleratorを中心として、MSCなどの船社、Shellなどのエネルギー事業者合計7社が参加して、メタンスリップを削減するための普及可能な技術を1年以内に開発することを目指すThe Methane Abatement in Maritime (MAM)が創設された。

原文

Seatrade Maritime News (9/7)


3.露:対ロシア制裁を解除しなければ欧州への天然ガスを供給しないと表明

Nord Stream 1は露から欧州に天然ガスを送る最大のパイプラインで、これ以上のエネルギー危機を回避するためには、同パイプラインを通じた天然ガスの供給継続が不可欠だが、9月5日、クレムリンの報道官は、報道陣に対し、露がNord Stream 1による天然ガスの供給を停止している理由として、独・英などの西側諸国が露に対して課している制裁措置のためだと述べ、Nord Stream 1による西側への全面的な天然ガス供給の再開は、西側諸国の制裁解除にかかっていると表明した。露の天然ガス供給事業者であるガスプロムも2日夕刻、Nord Stream 1のタービンが故障し、タービンの製造事業者のSiemensが西側諸国による制裁の影響でタービンを修理できないため、無期限で西側への天然ガスの供給をストップすると表明した。

原文

The Guardian (9/7)


4.DNV:Maritime Forecast to 2050/ Energy Transition Outlook 2021

DNVは表記報告書を発表したところその概要の一部は以下のとおり。①2023年から適用が開始されるIMOのEEXI/CII規制が、船舶の設計と運用に大きな影響を与える。②船舶代替燃料の導入状況については、現在計画されている新造船の12%が代替燃料となっているが、フェリー部門の電化を除き、ほとんどが化石燃料であるLNGが採用されている。③水素とアンモニアについては、2025年までに実証事業が登場し、4年から8年以内に、商業ベースで使用する船舶が現れる見込み。④メタノールの方が他の代替燃料より、技術的に成熟しており、すでに最初の商用船が出ている。⑤燃料電池を用いた機関については、内燃機関船に比べて、技術がまだまだ成熟していない。⑥水素やアンモニアなどの新燃料については、安全性の確保が重要であり、大規模な実証実験や商用化に進むためには安全規定やガイドラインの整備が不可欠。

原文

DNV (9/7)


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