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国際海洋情報(2022年9月5日号)
1.2025年までにGothenburg港で年間5万トンのeメタノールを供給
スウェーデンのGothenburg港は、スカンジナビア最大の港湾でだが、同港を拠点とするフェリー会社のStena LineとDFDSは、エネルギー会社のオルステッドとLiquid Windが共同出資し、欧州でeメタノール事業を展開するFlagshipONE及びGothenburg港湾庁と協力して、2025年までに、同港湾において再生可能電力から生産されるeメタノールを年間5万トン供給することを目指すことに合意した。DFDS社は2025年までにgreen vesselを運航することを目標としており、本事業は目標実現のための一手段となる。Gothenburg港も2030年までに、港湾区域内から発生するCO₂を70%削減する目標を立てており、本事業がその柱の一つとなる。Maersk Mc-Kinney Møller Center for Zero Carbon Shippingによれば、eメタノールは、取り扱いも容易で、商業的に採算性の取れるeメタノールを燃料とする舶用機関もすでに存在しており、他の代替燃料と比較しても多くの優位性があるとしている。
原文
Offshore Energy (9/5)
2.米司法省:中集集団(CIMC)によるマースクコンテナ製造子会社の買収案を却下
世界的な海上コンテナ製造会社である中国国際海運集装箱(中集集団:CIMC)はマースクの冷凍コンテナ製造子会社のMaersk Container Industry (MCI)を9.9億ドル(約1400億円)で買収することに昨年9月に合意していたが、米国司法省は、世界で4社ある冷凍海運コンテナ製造会社のうちの2社を統合することによって、世界における断熱コンテナと冷凍海運コンテナの90%以上の生産を中国の国営・国家管理会社が支配することとなり、コンテナの価格上昇・品質の低下・世界のサプライチェーンの脆弱化を惹起し、既に寡占状態にあるコンテナ製造市場をCIMCが独占し、革新的で独立したMCIを市場から排除することになるとして、買収提案を却下した。独の連邦カルテル監視庁も、当該買収案が公正競争に与える影響について、昨年12月から公開調査を開始している。MCIは1991年にマースクによって設立され、中国とデンマークで2300人の従業員を雇用している。
原文
Reuters (9/5)
3.豪海上安全庁:バイオファウリングの管理要件などを発表
オーストラリア海上安全庁(AMSA)は、①豪におけるバイオファウリング管理要件。②豪・NZ海域におけるバイオファウリング防止と水中における船底清掃に関するガイドライン。③豪における水中における船底清掃方法の基準。④IMOのバイオファウリングガイドラインについて情報提供を実施した。①については、6月15日から豪に寄港する船舶に対して適用され、バイオセキュリティ管理の対象となるすべての船舶の運航者は、豪領海に入域する前に、どのようなバイオファウリング予防措置を事前に実施したかについて、農林水産省(DAFF)が管理する「海事到着報告システム(MARS)」を経由してAMSAに対し情報提供することが義務付けられる。船舶の運航者は、効果的なバイオファウリング管理計画に従い、豪領海に入域する30日以内に、すべての船体清掃を実施し或いは事前に承認された代替的なバイオファウリング管理方法を実施する必要がある。
原文
AMSA (9/5)
4.フィンランド・スウェーデン政府が電力会社の倒産予防措置を実施
ロシアのガスプロムがNord Stream 1による天然ガス供給を完全停止し、欧州エネルギー危機が深まる中で、電力会社の連鎖倒産防止策として、フィンランド政府は100億ユーロ(約1.4兆円)、スウェーデン政府は2500億クローネ(約3.25兆円)流動性補償金を支出すると発表した。EUのエネルギー担当大臣は、9月9日に会合を開催し、天然ガス価格の上限の設定や、エネルギー関係企業に対する緊急与信限度枠の設定などを含む、エネルギー価格高騰対策について検討する予定。エネルギー価格の高騰に比例して、エネルギー事業者が求められる追加証拠金の額も多額となっているため、欧州全体としての与信限度に関する支援をしないと、これらのエネルギー事業者が、エネルギー価格のヘッジを先物市場で出来なくなる。発電事業者は、「最低証拠金」を預託して、電力価格を確定するために、数年先の発電分の電力の販売契約を結ぶが、最近のエネルギー価格の高騰の結果、最低証拠金が足りなくなり、追加の証拠金の支払いを求められることによって、エネルギー事業者の資金流動性が厳しくなっており、政府による信用保証がなければ、電力事業者は技術的な破産状態に追い込まれることとなる。
原文
Euractiv (9/5)
Webinar 情報
1.Economist Impact:Sustainability Week:countdown to COP27
October 3-6th
https://events.economist.com/sustainability-week-countdown-to-cop/registration/?RefID=LBC_1A_Launch&utm_source=email&utm_medium=Eloqua&utm_campaign=SusWeekCOP28&utm_content=LBC_1A_Launch