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国際海洋情報(2022年8月29日号)

1.欧州の記録的熱波が2035年までには普通の気象状況に

欧州では、この夏、英国・スペイン・ポルトガル・フランスの一部で、史上最高気温を記録したが、8月25日、英国気象庁Hadley センターは、仮に全欧州諸国が表明しているCO₂の削減目標(NDCs)を達成したとしても、今年の夏に欧州で発生した記録的な熱波の状況が、2035年までには平均的な夏の気候になる との予測を発表した。昨年のCOP26では、各国は気温上昇を1.5度以内に抑制するために、今年のCOP27までに、各国のNDCsを見直すことに合意したが、今回発表された研究によれば、欧州中央部では、2100年までに、産業革命以前と比較して気温が4度以上上昇すると予測されている。

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CNN (8/29)


2.世界のLNG関連投資は、2024年の420億ドルを頂点に減少へ

Rystad Energy社の調査によれば、世界のLNG関連投資はパンデミックの影響で2020年には20億ドルに過ぎなかったが、ロシアのウクライナ侵攻の影響もうけて、新たなLNG事業が始動し、2024年には420億ドルに急増する見込みだが、その後は、各国政府は他の低炭素エネルギーへの投資を増やすため、化石燃料たるLNGへの投資は減少に向かうと予測している。具体的には、LNG新規事業に対する投資額は、2021年に280億ドル、2022年に270億ドルとほぼ横ばいで推移したのち、2023年に320億ドル、2024年に420億ドルに達した後、減少に転じ、2029年には、ほぼ2020年のレベルに近い、23億ドルまで減少する見込み。世界的な需要をみると2030年までに天然ガスに対する需要は12.5%拡大する見込みで、地域的にみると、米国内の需要はほぼ横ばいだが、強い経済成長とLNG促進政策をとっているアジア・太平洋地域諸国の需要が約30%拡大する見込み。

原文

Offshore Energy (8/29)


3.英国:各家庭の光熱費上限額を8割引き上げ

英国ガス・電力市場局(Ofgem)は、英国の各家庭の光熱費の上限を80%引き上げて、年間3549ポンド(約57.5万円)にすると発表した。1年前の上限が1277ポンドだったので、1年間で光熱費の負担が約3倍に引き上げられたことになる。英国では、7月の時点でインフレ率が10%に達しているが、今回の光熱費上限額の引き上げで、さらに18%程度までインフレ率が進む可能性があると一部のエコノミストは予測している。光熱費の年間上限は3か月ごとに改定されるが、エネルギーコンサルタントのCornwall Insightに見通しでは、来年の1月には5387ポンド(約87.3万円)、4月には6616ポンド(約107万円)まで引き上げられる見込み。この上限価格の引き上げによって、全人口の約85%に当たる2400万戸の家庭に影響が出る見込みで、9月5日に党首選挙の結果が明らかになる保守党の新首相は、光熱費が増える冬季の家計の支援策をすぐに発表する見込み。

原文

The Guardian (8/29)


4.独政府:天然ガス価格と電力料金のdecuplingを検討

EU諸国は、天然ガス価格の高騰が、電気料金を記録的なレベルまで引き上げるという問題に苦しんでいるが、8月26日、独では1kwhの電力料金が1ユーロ(約138円)を超えたため、独政府は天然ガス価格と電力料金の連動を断ち切るため、電力価格決定方式の根本的な見直しを行うと連邦経済・気候変動対策省の広報官が表明した。再生可能発電の発電コストは依然として低いものの、欧州では電力需要が増えた時に、電力を柔軟に供給できる天然ガス火力発電所の発電コストが電力価格に与える影響が大きいので、ロシアのウクライナ侵攻による天然ガス価格の急騰が電力料金を押し上げている。電力料金を引き下げる財源として、独政府は電力価格の高騰によって超過利潤を得ている電力会社に課税することも検討している。

原文

Euractiv (8/29)


国内ニュース

1.川崎汽船:洋上風力建設・保守分野における船舶管理等に関する協業について
原文

8月25日、川崎汽船


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