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国際海洋情報(2022年8月24日号)

1.中国四川省の深刻な熱波と干ばつが世界的なサプライチェーンに大きな影響

中国南西部の四川省では、1か月に及ぶ熱波と干ばつの影響で、Apple・トヨタ・中国の太陽光パネル製造事業者などが、6日間にわたって工場の操業を停止し、21日から操業を再開する予定であったが、省政府が同日、第1段階の非常事態宣言を発令し、工場の操業停止を命じたため、工場閉鎖期間が25日まで延長された。同省では、水力発電に必要なダムの水位が半減した結果、水力発電量も半減したため、同省で操業している16500社が工場の操業に必要な電力を十分に確保できない状況にある。

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Asia Times (8/24)


2.山火事による森林の喪失が毎年悪化

2021年に地球全体で山火事によって焼失した面積は、20年前と比較すると、ベルギーの国土面積とほぼ同等の300万ha以上拡大した。焼失面積で見ると2021年は今世紀に入って最悪の年の一つで、森林喪失面積の1/3が山火事で失われた結果、喪失面積全体では930万haとなった。山火事が増加した主たる原因は気候温暖化であると考えられ、150年前と比べて猛暑に襲われる確率は5倍以上となっている。気温の上昇によって森林が乾燥し、より大きな山火事がより頻繁に発生する結果、より大量のCO₂が大気中に放出され、さらに地球温暖化を進めるという「山火事と気候温暖化の悪循環」が発生している。中でも、過去20年間に世界で発生した山火事の約70%は、他の地域より温暖化が急速に進んでいる北方樹林帯で発生しており、山火事による森林焼失は、過去20年間11万haずつ増加している。2021年には、ロシアだけでも過去20年間で最悪の540万haが焼失した。北方樹林帯の土壌には多くの炭素が貯留されており、大規模かつ頻繁な山火事によって、こうした土壌中のCO₂が放出される傾向にある。

原文

World Resources Institute (8/24)


3.欧州の干ばつは過去500年間で最悪

欧州委員会の研究部門が最近発表したGlobal Drought Observatoryによると、今年は過去500年間で最悪の干ばつで、欧州全域の47%の土壌が乾燥しきった「警告」状況にあり、さらに17%は植生に影響が出始めている「注意」状況にあることが分かった。過去5年間の平均と比較すると、本年は穀物の16%、大豆の15%、ひまわり油の12%の収穫量が減少する見込み。また欧州のほぼすべての河川の水位が下がって、水運に影響が出るだけではなく、水力発電量も20%落ち込んでいる。河川の水位低下によって、第2次世界大戦で沈没したナチスの戦艦の残骸などが発見されている。干ばつの状況は、欧州のほぼ全体で依然として悪化する可能性があり、特に地中海沿岸国では少なくとも11月まで干ばつが継続する見通し。

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BBC (8/24)


4.バルチラ子会社:英国内の12港湾のデジタル化を推進

英国内の21の港湾の運営を行うAssociated British Ports (ABP)は、国際競争入札の結果、バルチラの子会社であるWartsila Voyageと5年間の枠組協定を締結し、同社のNavi-Port, Navi-Harbor Vessel Traffic Service (VTS), Port Management Information Service(PMIS)などの技術を活用して、21港湾のデジタル化を進めて、各港湾に寄港する船舶の運用管理の効率性・持続可能性・安全性の向上を図ることに合意した。具体的には、上記技術を駆使して、ABPで働く港湾労働者の作業効率を上げ、港湾荷役作業の安全性の向上を図り、船舶の運航計画の最適化を図る。本事業は、サザンプトン港に2023年4月までにVTSとPTISを導入するのを皮切りに、他の港湾にも順次導入していく。

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AJOT (8/24)


国内ニュース

1.商船三井:NEDOの研究開発を通じ大型液化CO2輸送船の設計基本承認(AiP)を取得
原文

8月23日、商船三井


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