国際海洋情報（2022年8月5日号）

１．米連邦海事委員会：海運会社に対する新たな調査・取り締まり組織を創設

7月29日、米国連邦海事委員会（FMC）は、調査部門と訴追部門を統合して、新たにBureau of Enforcement, Investigations, and Compliance (BEIC)を創設したと発表した。新たな組織はSenior Executive Serviceレベルの検察官で法規制・訴追・調査の経験を持つものが局長となるが、新局長が任命されるまでFMCのManaging Directorが兼務する。今回の組織再編は、FMCの法執行(enforcement)機能と、違反取締(compliance)機能の効率化を図るためのもので、併せてこれまでの地域代表者(Area Representative)のポストを調査官に振り替えて、調査部門に所属して調査業務に専従させ、さらに調査官を増員する。

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FMC (8/5)

２．EU ETS：今後の3者（委員会・議会・理事会）協議の見通しと焦点

6月に欧州議会と欧州理事会は欧州委員会が昨年に提案した排出権取引制度(ETS)の改革案に対するそれぞれの対処方針について合意したが、議会と理事会の合意内容には相違点が残っている。例えば、EU ETSの対象となる産業における2030年までのCO₂削減率については、委員会と理事会は61%だが、議会は63%を目標としている。7月に第1回目の3者協議が開催され、11月のCOP 27の前までに3者協議が妥結するのが理想だが、少なくともあと4回の3者協議が必要で、年末までに合意に至るのが現実的な見通し。最も大きな争点は、現在認められている産業別の無償CO₂排出枠を炭素国境調整措置(CBAM)の導入と併せていつまでに段階的に廃止するかという点で、理事会は2026年から開始して、2035年までに完全に廃止することを望む一方、欧州議会は2027年に開始して2032年までに完全に撤廃することを望んでいる。産業界はCBAMの導入が円滑に進まなければ、早急に無償排出枠を撤廃することは、より炭素を排出して製造された安い海外製品の流入を招くとして懸念している。

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Euractiv (8/5)

３．記録的な熱波・豪雨・洪水で南アジア諸国に甚大な被害

パキスタンでは、激しい豪雨の結果、14人以上が死亡し、道路が冠水し、長期間にわたった停電の結果、首都カラチでは、7月に2回にわたって機能停止した。インド北東のアッサム州では、洪水によって1万人が被災し、グジャラート州では豪雨で14人が死亡したが、最も甚大な被害を受けたのはバングラデッシュで、100年に一度の大洪水で720万人の住民が被災した。国連によれば、5月にインド北東部に降った豪雨の影響で、下流のバングラデッシュの10以上の村で洪水が発生し、5月18日には、道路が各地で寸断し、20万人以上が孤立し、現在でも約2万人が275か所以上の施設に避難している。インドやバングラデシュ北東部のモンスーンによる豪雨は例年のことだが、2022年のモンスーンの雨はこれまでにない規模だった。

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Inside Climate News (8/5)

４．国連事務総長：世界的エネルギー企業への課税強化を提唱

国連事務総長によって設置された食料・エネルギー・金融に関する世界危機対応グループ(GCRG)は、ウクライナにおける戦争が継続する中で、エネルギー価格の急上昇によって生活費が上がり、多くの人々が生存の危機を迎えていると警告した。一方で、世界的な石油・ガス企業は、今年の第一四半期だけでも合計で1000億ドル（約13.5兆円）と記録的な収益を上げていることから、国連事務総長はこれらの企業を不道徳(immoral)であると非難し、各国政府に対して、これらの不当利益に課税して、エネルギー価格上昇に苦しむ弱い立場の人々を支援する基金を創設するべきであると要請した。GCRGの第3次提言では、早急な最盛可能エネルギーへの転換も必要としている。提言では、エネルギー価格の上昇によって、多くの発展途上国で、エネルギーの購入が不可能となる一方で、財政力のある国が、高額な価格でエネルギーを買い占める事態が起こる可能性について警告している。

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国連 (8/5)

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