国際海洋情報(2022年7月27日号)

1.欧州物流関連団体がコンテナ海運に対する競争法の一括適用除外の再検討を要望

CLECAT/FEPORT/欧州荷主協議会/UIRR/FIATAなど、欧州の港湾・海運・物流などの10の業界団体は、欧州委員会の競争担当コミッショナーに対して、コンテナ海運会社に対するEU競争の一括適用除外を直ちに再検討することを求める意見書を連名で提出した。一括適用除外規定は、最近は2020年4月に再延長されたが、署名した団体は、コンテナ船社による欠航・行き先の変更・抜港・一部の航路における運賃の4倍もの引き上げなど、サプライチェーンは大混乱をきたしていると主張している。意見書では、米国においても、コンテナ海運会社の行動について調査が実施され、外航海運改革法が成立したことにも言及している。署名団体は、現在の一括除外規定が期限を迎える2024年4月までに、一括除外規定の在り方について、すべてのコンテナ海運に関連する関係者が証拠に基づく意見を提出して、コンテナ外航海運が、すべての関係者にとって公正かつ透明に運用されることを担保するための新たな手段とメカニズムについて、十分な時間的余裕をもって再検討されるべきであると主張している。

原文

Seatrade Maritime News (7/27)


2.英国水路部:2026年末までに紙の海図の発行を終了

7月26日、英国水路部は、近年、商船・海軍・プレジャー分野の海事従事者が、航海の支援情報としてデジタル化した情報に依拠する傾向が強まってきたため、2026年後半までに、これまでADMIRALITY Standard Nautical Charts (SNCs)とThematic Chartsとして世界的に使用されてきた紙の海図の発行を停止すると発表した。一方、同部が提供しているデジタル版のThe ADMIRALTY Maritime Data Solution digital navigation portfolioは、リアルタイムで情報を更新できるので、船舶の安全運航をより強固に支援することが可能で、今後はデジタルを通じたサービスの強化を図っていく。紙の海図からの撤退は、現在でも紙の海図を使用している海事沿岸警備庁・その他の官公庁・水路事務所・業務提携先や海図販売事業者と連携しながら、代替のデジタル化した情報を整備しつつ、慎重かつ段階的に進めていく。

原文

UKHO (7/27)


3.日本と韓国で太陽光発電が5月に記録的水準に増加

ロシアのウクライナ侵攻によって、世界の石炭・天然ガス価格は暴騰しているが、主要アジア諸国は、国内で生産できる再生可能エネルギーを増やすことによって、エネルギーコストの低下を図るとともに、化石燃料市場の乱高下の影響を削減している。世界的なエネルギー関係シンクタンクのEmberによれば、5月に、日本では太陽光発電量が10Twhと全発電量の15%に達し、韓国でも、太陽光発電が月間ベースでこれまでの最高を記録し、全発電量の7%以上を占めた。国連IPCCによれば、地球の気温上昇を1.5℃以内に抑制するためには、2030年までに、世界全体の発電量の40%以上を再生可能エネ発電としなくてはならないが、日本では全体の約68%、韓国では56.2%の発電量が依然として化石燃料に依存している。

原文

The Straits Times (7/27)


4.EU諸国が1.5℃目標を達成するためには風力・太陽光発電施設整備の加速が必要

環境シンクタンクのEmberが7月27日発表した報告書の概要は以下のとおり。①2021年にEUは太陽光と風力を併せて34GWの発電所を新設したが、1.5℃目標を達成するためには、2026年までに年間76GWの太陽光・風力発電所を建設する必要があるが、現在の計画では38GWにとどまっており、整備のペースを倍増する必要がある。②1.5℃目標を達成するのに必要なペースで風力発電施設を新設する計画を持っているのは、EU27か国中、フィンランド・クロアチア・リトアニア・スウェーデンの4か国だけ。③EUの規則では、再生可能発電事業の許認可手続きは2年以内に終了する必要があるが、調査を実施した18か国において、陸上風力発電について事業許可を得るまでの平均期間はすべて2年間を超えており、いくつかのケースでは最大5倍の10年かかっている事例があった。太陽光発電事業についても、調査した12か国中9か国で法定の2年間を超え、最大で4年間かかっている事業があった。

原文

Ember (7/27)


国内ニュース

1.日本郵船:日本初となる船舶におけるバイオ燃料の専焼利用を実施
原文

7月27日、日本郵船


2.伊藤忠:韓国ロッテケミカル社との水素・アンモニアビジネスでの協業
原文

7月22日、伊藤忠


Webinar情報