国際海洋情報(2022年6月13日号)

1.北極海LNG2事業:ソヴコムフロトが発注した2隻目の運搬船も契約破棄

ロシア国営の海運会社であるソヴコムフロトは、2020年10月に韓国の大宇造船海洋(DSME)に対して、北極海第2LNG事業向けに、Arc7船級のLNG輸送船3隻を総額1.137兆ウォン(約1137億円)で発注したが、本年5月中旬に建造費未払いで1隻目の契約が破棄され、2隻目の仮払い期日までに建造費の支払いが無かったので、2隻目も契約を破棄したとDSMEが発表した。DSMEは商船三井からも、同型のArc7船級のLNG輸送船3隻を受注している。6隻の砕氷輸送船とも北極海第2LNG事業のために30年間定期用船される予定であった。韓国の三星重工・現代重工もノヴァテクが運営する天然ガス液化事業向けのLNG輸送船を受注している。

原文

Upstream (6/13)


2.英国:再エネ差額決済契約の第4回競争入札の結果約11GWの発電量を確保

英国政府は7月7日、再生可能エネルギー発電事業支援のための差額決済契約(CfD)の第4次競争入札の結果を発表したところその概要は以下のとおり。①今回の入札の結果、過去の入札時のほぼ倍に当たる過去最大の発電量の11GWにあたる93の再生可能発電事業が、洋上風力・太陽光・陸上風力事業だけでなく、今回初めて浮体式洋上風力・潮流発電事業についても落札された。②中でも洋上風力発電事業は合計で約7GWとなり、英国の洋上風力発電能力を35%増加させ、2030年までに合計発電量を50GWまでに増加させるという目的実現のための大きな一歩となった。③洋上風力発電の固定価格は、2015年に実施された第1次入札の時の固定価格と比べて約70%以上低下した。④陸上風力発電事業は約0.9GWとなり、固定価格は第1次入札と比べ45%以上低下した。⑤太陽光発電事業は合計で2.2GW以上となった。⑥今回落札された93の事業によって、1200万戸分の家庭に、クリーンで国産のエネルギーを、世界市場におけるエネルギー価格の変動に影響されずに供給することができる。

原文

英国政府 (6/13)


3.IEA:中国によって寡占されている太陽光パネルの供給の多元化が必要

国際エネルギー機関(IEA)は、7月7日、「太陽光パネルの国際サプライチェーン」と題する特別報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①中国は太陽光パネルの製造コストの削減に成功した結果、過去10年間で世界の太陽光パネルの生産は欧米諸国と日本から中国に移転し、中国が太陽光パネルの生産・供給を寡占している。②太陽光パネル全体としての中国のシェアは80%程度だが、基幹部位であるポリシリコンやウエハーの寡占率は95%以上に達している。③IEAが策定した2050年までのゼロエミッションシナリオを達成するためには、年間に新設される太陽光パネル発電量の量を、2030年までに4倍以上に引き上げ、太陽光パネルの基幹部位であるポリシリコン等の生産量を2030年までに倍増し、さらに既存の生産設備を近代化する必要がある。④太陽光パネルの価格は、2021年には、商品価格の上昇とサプライチェーンのボトルネックによって、約20%上昇しており、世界の政府や関係者は、太陽光パネル生産のサプライチェーンについて懸念を抱くようになってきた。⑤2030年までに、世界で太陽光パネルの生産のために投資される累計金額は1200億ドル(約16.3兆円)にのぼり、太陽光パネル製造によって雇用される労働者数も倍増して100万人に達する見込み。

原文

IEA (6/13)


4.米エネルギー省:気候変動の予測のために22事業に対し1400万ドルを支援

7月7日、米国エネルギー省は、気候変動の予測を改善するために、22事業に対して総額1400万ドル(約19億円)の支援を実施すると発表した。異常気象と気候変動の影響は継続的に増大してきているため、これらの事業を支援することにより、雲の形成から北極圏の気候を含む大気の状況を基本的科学的に解明することを目指す。気候変動に伴う危険性に対処し、バイデン大統領が目指すGHG排気量の削減などの気候変動対策に資するため、異常気象や気候変動のパターンについて科学的な解明を進めることが重要となる。今回支援を受ける22の事業は全国11州にわたり、18の大学と2つの研究機関が実施する予定。

原文

EurekAlert (6/13)


国内情報

1.商船三井:航行中に常時回収可能な新型マイクロプラスチック回収装置を試験搭載
原文

7月5日、商船三井


Webinar情報