国際海洋情報(2022年5月11日号)
1.米国におけるプラスチックごみのリサイクル率はわずかに5%
米国の国民一人当たりが排出するプラスチックごみの量は、1980年と比較すると3倍以上に増加しているが、米国エネルギー省が5月初めに発表した調査研究によれば、2019年において、同国内ではわずかに5%のプラスチックごみしかリサイクルされず、埋め立てられるプラスチックごみの量が毎年増えており、その原因として、低いリサイクル率・人口増加・消費者が使い捨てプラスチックを好むこと・安いごみ処理費用などの要因が考えられるとしている。さらに、2017年以前は中国が米国からのプラスチックごみを大量輸入していたが、2017年以降、輸入を停止したものの、米国内には代替となるプラスチックリサイクル施設が少ないので、埋め立てられるごみの量が増えている。米国内では、プラスチックごみの85%が埋め立てられ、10%が焼却処理され、リサイクルに回されるペットボトルについても、リサイクルの工程で、総量の1/3は廃棄されている。
原文
The Guardian (05/11)
2.Renewable UK:英国政府にグリーン水素政策について提言
英国の再生可能エネルギーの業界団体である。Renewable UKが英国政府に対して、2030年までにグリーン水素を5GW生産するための政策提言を発表したところその概要は以下のとおり。①水素の生産については、化石燃料を原料としてCCSを用いて生産されるブルー水素が先行しているが、洋上風力発電の拡大戦略をきちんと立てた結果、民間投資が2021年だけで、10億ポンド(約1615億円)集まったように、グリーン水素生産拡大のための具体的なロードマップを示す必要がある。②グリーン水素生産単価を下げるためには、洋上風力発電に比べて、発電コストも低く、技術も確立している陸上風力発電の発電力を2030年までに30GWに拡大し、陸上風力発電施設にグリーン水素生産のための電解槽を併設すべき。③低炭素水素基準(LCHS)の中で、ゼロ炭素水素と低炭素水素を区別し、ゼロ炭素水素に対して優遇措置を取るべき。発電のために作られたLCHSが、発電分野だけでなく、交通分野など他の分野でも共通の基準として使用されるように、現実的な配慮をする必要がある。
原文
Renewable UK (05/11)
3.米国太陽光発電:東南アジア諸国からのパネル輸入停止で混乱
米国内の太陽光パネル製造事業者を保護するため、中国産の太陽光パネルには高額の関税が導入されたが、結果として、太陽光パネルの生産は、労働力が安く高額関税の対象とならない東南アジア諸国に移転した。これを受けて、本年3月に、カリフォルニア州の太陽光パネル製造事業者が、中国の製造事業者が高額の関税を回避するために、カンボジア・マレーシア・タイ・ベトナムを介して、米国に太陽光パネルを不当に安く輸出しているという申し立てを行った結果、商務省はこれらの国からの太陽光パネルの輸入を凍結して調査を行っている。この結果、太陽光発電業界では、深刻な太陽光パネルの供給不足に陥り、業界の調査では、2022年から2023年に計画されていた太陽光発電事業の46%に当たる24GW分の事業がキャンセルとなる見込みだが、この量は2021年に導入された太陽光発電量を上回る規模となり、10万人の雇用も喪失することとなると業界は主張している。
原文
The Hill (05/11)
4.FMC:アライアンス参加海運会社に対する情報提供義務を強化
米国連邦海事委員会(FMC)は、2M/OCEAN/THEの3つの世界的なアライアンスとアライアンスに参加する各海運会社に対して、FMCの貿易分析局(BTA)が、海運会社の行動と市場競争力を分析するため、価格設定や輸送容量に関するより詳細な情報を要求することになると、5月5日、明らかにした。BTAはおよそ1年間かかり、どのような情報を提出させるか吟味していたが、今回の新たな要請の下で、アライアンスに参加する企業は、主要航路における運賃に関する情報や、輸送容量管理に関する包括的な情報を提供することとなる。BTAはアライアンスや船社の行動が承認されたアライアンス協定の内容に反していないか、アライアンス協定が、市場に対して競争抑制的になっていないか継続的に確認する。3つのアライアンスは現在すでにFMCの厳しい監視下にあって、頻繁に船舶の運航情報や加盟船社間の会合の議事録などの提出を求められている。
原文
FMC (05/11)
Webinar情報
1.Ocean Decade Laboratories:An Accessible Ocean
May 10-12
https://www.oceandecade-conference.com/en/an-accessible-ocean.html
2.Reuters:Decarbonising Power:A Pathway to Sustainable Power Generation
May 12, 3pm BST
https://events.reutersevents.com/schneiderelectric/power?utm_campaign=5509-05MAY22-WK27-DB&utm_medium=email&utm_source=Eloqua
3.Economist Impact, Shipping:Achieving Zero Emissions by 2050
May 24, 10am BST
https://eventscustom.economist.com/webinar/achieving-zero-emissions-by-2050/?utm_medium=Eloqua&utm_source=email
4.World Ocean Day:Revitalization/ Collective Action for the Ocean
June 8, 10:00-13:00 EDT
https://www.eventbrite.com/e/2022-united-nations-world-oceans-day-event-registration-272875797857