国際海洋情報(2022年4月28日号)

1.WMO:インド・パキスタンで最高気温が46℃に

インド気象庁は、4月28日の最高気温が同国内の広範な地域で43-46℃に達し、この酷暑が5月2日まで続く見込みであると発表した。パキスタンでも平均気温より5℃から8度高い状態が全土で観測されている。特に山岳部のギルギット・バルジスタン地域やカイバル・パクトゥンクワン州では、異常高温によって、雪氷が誘拐して、氷河湖の崩壊による洪水や鉄砲水が発生する恐れがある。酷暑によって大気の状態も悪く、山火事が発生する危険も非常に高くなっている。インドの地球科学省が最近発表した報告書によれば、1951年から2015年にかけて、異常高温が発生する頻度が高まり、過去30年間で温暖化の傾向が強まっており、特に21世紀に入ってからモンスーンに入る前の熱波について、発生する頻度・期間・強さ・被害を受ける面積などすべての要素で悪化している。インドでは、3月の平均気温が、平年より1.86℃高い33.1℃を記録し、史上最高となった。

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WMO (04/28)


2.IMO/MSC 105:ウクライナ侵攻関連の決議を採択

4月20日から29日まで開催されたMSC 105で採択された標記決議(MSC.495(105))の概要は以下のとおり。①国際赤十字委員会・国連人道問題調整事務所・国連難民高等弁務官事務所などの国際的な人道支援機関に対し、戦争地域から船員が安全に退去できるよう、事務局長は支援を引き続き要請すること。②船員と船舶が安全に脱出するための避難回廊の設定につき、事務局長は引き続き検討すること。③ウクライナ侵攻が国際海運や船員の福祉に与える影響について、事務局長は継続的に最新情報を加盟国に提供すること。④ロシアは、直ちに無条件でウクライナに対する侵略行為をやめ、撤兵し、商船や船員が戦闘地域から脱出することを困難とするような作戦を実施しないこと。⑤ウクライナ侵攻に伴うウクライナの船員・港湾、国際サプライチェーン、食料安全保障への悪影響に対する懸念を、加盟国は国連総会等の場において表明すること。

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IMO (04/28)


3.IMO/MSC 105:暫定MASSコードを2024年から貨物船にのみ適用

海上自律運航船(MASS)については、2028年からの強制力を持った規制開始の前に、2024年から強制力のない暫定的なMASSコードを適用することに合意。適用の範囲については合意されていないものの、当面貨物船に対してのみ適用され、旅客船に対する適用は更なる審議を行う予定。強制力を持ったMASSコードは独立した条約となる見込みだが、SOLASをはじめとする関係する条約の改正も同時に実施する必要がある。現在、MASSについては、自動化の程度に応じて①有人運航支援船②友人遠隔操縦船③無人遠隔操縦船④自律運航船の4段階に分類されているが、この分類を見直して、強制力を持ったコードは、自動化される特定の機能やシステムに応じて適用され、またMASS運航の形態も、通常運航・緊急運航・保守管理などに分類して適用することが検討される見込み。本件については、9月に開催されるMSC/LEG/FALの共同MASSWGとIntersessional Correspondence GroupがMSC 107に結果を報告することを目指して審議を続けていく。

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Lloyds Register (04/28)


4.EU緑の党:航空機燃料から芳香・硫黄成分の段階的除去を提案

4月27日、国連砂漠化対処条約(UNCCD)事務局が標記報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①人類の活動によって、地球の陸上の70%以上が人為的に変更され、土地の最大40%が劣化した。②食料の生産・加工・輸送・消費活動は、森林伐採の原因の80%を占め、人類が排出するGHGの29%を占め、陸上の生物多様性喪失の最大の原因となっている。③地球の温暖化を抑制するために必要な陸上における気候変動対策の1/3以上は、生態系を保護し再生することによって成し遂げることができる。④土地の劣化による悪影響は小規模な地域社会に最も大きな影響を及ぼすが、こうした地域社会の住民は生態系を回復し保護するすべを知っている。⑤今までとおりの人類の活動(business as usual)を2050年まで継続すれば、南米の面積に匹敵する1600万㎢の土地が劣化するが、反対に、土地の保護と回復に努めれば、2050年までに400万㎢の天然な土地を再生して、気候変動と生物多様性の喪失に対処することができる。

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Carbon Brief (04/27)


Webinar情報

1.CSIS:Maritime Security Dialogue:Force Design 2030 and Marine Corps Modernization Efforts
May 4
https://www.csis.org/events/maritime-security-dialogue-force-design-2030-and-marine-corps-modernization-efforts?mc_cid=097b279224&mc_eid=9242d4112d

2.Economist Impact, Shipping:achieving zero emissions by 2050
May 24, 10am BST
https://eventscustom.economist.com/webinar/achieving-zero-emissions-by-2050/?utm_medium=Eloqua&utm_source=email

3.World Ocean Day:Revitalization/ Collective Action for the Ocean
June 8, 10:00-13:00 EDT
https://www.eventbrite.com/e/2022-united-nations-world-oceans-day-event-registration-272875797857