国際海洋情報(2022年4月25日号)

1.独政府:石油危機時代のエネルギー保安法を改正し活用へ

独政府は、今後のエネルギー危機に備えるために、1975年に制定されたエネルギー保安法を手直しして以下の目標を達成しようとしている。①天然ガスについて、天然ガス販売事業者や天然ガスを事業のために使用する会社に対して、デジタルプラットフォームに登録して、天然ガスの販売量・使用量に関する情報を提供することを義務付け、天然ガスの供給量が不足した際に、経済・気候変動省が迅速に(優先順位の低い)会社を閉鎖できるようにする。②EU加盟国は、2017年のガス供給保安規則によって、天然ガスの供給が不足した場合、互いに天然ガスを融通しあって支援する義務を負っているが、この義務を履行するために、政府の権限を強化する必要がある。③実際にエネルギー危機が発生する前に、予防措置として、重要なインフラを政府の管理下に置き、エネルギー価格の修正を命令するなどの、政府が例外的な対策を実施できる権限を与える。独政府はこれまでは民間企業の国有化には慎重な姿勢を取ってきたが、手始めにロシア国営企業のガスプロムの独子会社を暫定的に政府の管理下に置いている。

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Euractiv (04/25)


2.FMC:コンテナ返却延滞料金の徴収をめぐりHapag-Lloydに罰金を命ずる

Hapag-Lloyd社によるコンテナ返却延滞料金の課金が不適正だとして港湾荷役会社から連邦海事委員会(FMC)に対して2021年11月に申し立てがなされ、FMCはその後調査を実施してきた。FMCの首席行政法判事は、「コンテナの返却可能な日時が指定されなかったことから、一部のコンテナの返却が不可能であった」ことを認定したうえで、同社のコンテナ返却延滞料金の課金に関する実務が不適切で、意図的に海運法41102(c)に違反したとして、排除命令に加えて、82万2220ドルの賠償金の支払いを命じた。

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Splash247 (04/25)


3.中国が最初の電動自律運航コンテナ船の運航を開始

中国政府は、試験運航期間を終えて、4月22日から世界で最初の電動自律運航コンテナ船の商業運航を開始したと発表した。同船の仕様は載貨重量8000dwt、コンテナ積載能力300TEU、全長117m、型幅17m、満載喫水9.8mで、直流電源で運航し、最大速度12ノット、平均速度8ノットで、青島造船所で建設された。建造契約は2019年末に締結され、建造は2020年5月に開始、2021年4月に進水し、6月から試験運航、9月からシステムの試験が始まり、2022年に最終技術検査に合格し、現在青島港と董家口の間を運航している。動力はハイブリッドfull-rotation電動推進システムで、大容量のバッテリーと直流ネットワークを利用し、人工知能によるエネルギー最適化を実現している。当該船舶は有人運航・遠隔運航・自律運航の3つの方法で運航することが可能。人工知能によって、自律的に運航ルートを決定し、自動的に衝突を回避することができる。通信手段は5G/衛星通信やその他のマルチネットワークシステムを利用することが可能。今後、この船の運航実績から得られる情報をもとに、500から800TEUのより大型のコンテナ船に技術転用が可能。

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The Maritime Executive (04/25)


4.2021年の世界の石炭火力発電能力は中国の影響で微増

Global Energy Monitor (GEM)によれば、2021年における世界の石炭火力発電能力は対前年比0.87%(18.2GW)増加して2100GWとなった。国別にみると世界で最も多くのCO₂を排出している中国は、2030年までにGHG排出量をピークアウトして、2060年までに炭素中立を達成すると公約しながら、2021年には石炭火力発電能力を25.2GW分増設して、世界の他の諸国が削減した合計発電量の25.6GWをほぼ相殺した。最近は、ロシアのウクライナ侵攻の影響で、エネルギー安全保障が強く意識され、ドイツの様に石炭火力発電を廃止するとしていた国も、ロシア産の天然ガスへの依存から脱するために、石炭火力発電所の廃止を再検討する動きもある。米国もCOP26で他の約40か国とともに、2022年末までに世界のほとんどの化石燃料事業への融資を停止すると宣言したにもかかわらず、ウクライナ侵攻を踏まえて、例外措置を容認する可能性がある。

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Reuters (04/25)


Webinar情報

1.CSIS:Maritime Security Dialogue:Force Design 2030 and Marine Corps Modernization Efforts
May 4
https://www.csis.org/events/maritime-security-dialogue-force-design-2030-and-marine-corps-modernization-efforts?mc_cid=097b279224&mc_eid=9242d4112d

2.World Ocean Day:Revitalization/ Collective Action for the Ocean
June 8, 10:00-13:00 EDT
https://www.eventbrite.com/e/2022-united-nations-world-oceans-day-event-registration-272875797857