国際海洋情報(2022年4月22日号)
1.シンガポールMPA:環境性能の良い同国籍船に対しトン税等を割引
シンガポール海事港湾庁(MPA)は、MARPOL Annex VIのEEDI要件が、4月1日に発効したことに対応して、Green Ship Programmeを見直して、環境性能に応じて、税制の優遇措置を新たに講じる海運通達を4月22日発表したところ税制優遇措置の概要は以下のとおり。①MARPOL Annex VI Phase 3 EEDIの基準を10%以上上回る同国籍船に対し、船舶登録税(IRF)の50%と年間トン税(ATT)の20%を免除。②燃料消費量を二酸化炭素排出量に換算する排出量換算係数(Cf)がLNGより低いバイオLNG・メタノール・エタノールを燃料とできる機関を有する船舶に対し、IRFの75%とATTの50%を免除。③アンモニア・水素などのゼロ炭素燃料を使用できる機関を有する船舶に対し、IRF・ATTともに100%免除。
原文
MPA (04/22)
2.IEA:EU国民のエネルギー消費の節約の重要性
国際エネルギー機関(IEA)と欧州委員会は4月21日、EUの市民がエネルギーの使用を節約することによって、大型タンカー120隻分の石油と2000万世帯分の電力を発電するための天然ガスを節約し、ロシアのエネルギー収入を減らし、ウクライナを救済する方法を示し、IEAの事務局長と欧州委員会のエネルギー担当局長がオンラインの円卓会議で協議した。IEAは既に「EUがロシアの天然ガスへの依存を減らすための10か条」「石油の消費量を減らすための10か条」を公表しているが、今回発表した「皆でできることをやろう。エネルギー代金を減らして、ロシア産エネルギーへの依存を減らしウクライナと地球を救おう。」では、中央・地方政府が市民と連携してエネルギー使用料金を減らす方法が解説されている。解説されているすべての節約方法に従えば、家族の規模・住んでいる場所・公共交通機関の利用の可否などにもよるが、家計ごとに年間平均約500ユーロ(約6.9万円)のエネルギーコストの節約が可能となる。すべてのEU市民が実施すれば、合計で年間2200万トンの石油と170億㎥の天然ガスの節約が可能となる。
原文
IEA (04/22)
3.カナダ:クルーズ船に対する生活排水・汚水の排出規制を強化
カナダ政府は2022年のクルーズシーズンの開始にあたって、業界と協議のうえ、クルーズ船による生活排水と汚水の排出に関し、以下の規制強化を発表した。①地理的に可能であれば、海岸から3海里以内での海域における生活排水と処理済み汚水の排水を禁止。②海岸から3海里から12海里の海域において、生活排水や汚水を排水する前に、可能な限り事前処理を行う。③海岸から3海里から12海里の海域において処理済み汚水を排水する場合には、承認された汚水処理装置を使用して、汚水処理を徹底する。④カナダ領海内で、生活排水・汚水を排出する場合は、上記の規制の順守状況について、同国運輸省に報告する。以上の規制強化は当面自主規制だが、法改正をして法的拘束力を持つものとし、カナダの海洋保護区を2025年までに全体の25%、2030年までに30%に拡大するという同国政府の海洋保護政策を支援する。
原文
カナダ政府 (04/22)
4.英財務省:「移行計画タスクフォース」を設置
英国の財務大臣はCOP26で、グリーン国債の発行や企業に気候変動に関する情報の開示を義務付けることにより、炭素中立に対応する世界金融システムの再構築を行うと宣言し、英国政府は、最近「持続可能な投資のためのロードマップ」を発表して、エネルギー多消費型のCO₂排出量が多い産業分野の大企業については、2023年から「炭素中立移行計画」の作成を義務付けるとしている。これを受けて、財務省はUK Transition Plan Taskforceを4月25日に設置し、すべての大企業と公営企業に対して、2024年末までに「炭素中立移行計画」の策定をさらに義務付ける予定とし、法律上炭素中立目標を掲げているすべての先進国も同様な義務付けを導入すべきであるとしている。財務省は、業界代表・有識者・市民代表などとともに、科学的根拠に基づいたgold-standard認証制度を導入し、上記炭素中立計画が見せかけの計画となることを防止することも表明した。
原文
edie (04/22)
Webinar情報
1.CSIS:Maritime Security Dialogue:Force Design 2030 and Marine Corps Modernization Efforts
May 4
https://www.csis.org/events/maritime-security-dialogue-force-design-2030-and-marine-corps-modernization-efforts?mc_cid=097b279224&mc_eid=9242d4112d
2.World Ocean Day:Revitalization/ Collective Action for the Ocean
June 8, 10:00-13:00 EDT
https://www.eventbrite.com/e/2022-united-nations-world-oceans-day-event-registration-272875797857