国際海洋情報(2022年4月19日号)

1.BIMCO:GHG削減に関するPosition Statementを発表

標記宣言の概要は以下のとおり。①外航海運に関するGHG削減規制については、IMOで合意されるべきで、透明で、調和がとれ、登録国に関わらずすべての船舶に適用されるべき。②合意はGHGの排出規制に絞るべきで、船腹量に関する規制を実施するべきでない。③IMOで合意されている暫定的な対策だけでは不十分であり、2050年までの炭素中立を目指すべき。④同目標を実現するためには、船主・荷主・用船者・燃料製造/供給事業者・造船/舶用工業事業者などすべての関係者が協力し、責任を分担すべき。⑤世界的に共通の市場原理に基づく炭素課税措置(MBM)は、低炭素船舶に対する投資を推進するための重要な施策。⑥世界的なMBMは既に合意された9原則に基づきIMOが運営すべき。⑦MBMは予見可能性が高く、安定した炭素課税とすべきことから用船契約の中で規定すべき。⑧船舶の速度や航路について決定権を持つ者がMBMの経済的な負担を負うべきで、定期用船の場合は用船者が、航海用船の場合は、航海用船に船舶を出す者が負担すべき。

原文

BIMCO (04/19)


2.欧州委員会:2030年までに再生可能エネルギー比率を45%に引き上げを検討

2020年において、EUの最終エネルギー消費量に占める風力・太陽光・バイオマスなどの再生可能エネルギーの比率は22%だったが、欧州委員会は2030年までに再生可能エネルギーのシェアを40%に引き上げることを昨年提案しているものの、露によるウクライナ侵攻を踏まえて、この比率を45%に引き上げられないか検討中であることを4月20日欧州議会で表明した。再生可能エネルギーのシェアは、EU加盟国の中でも大きく異なっており、50%以上のシェアを持つスウェーデンのような国から、10%以下のルクセンブルグの様な国まで様々な状況である。欧州委員会は、2030年までに、新たに480GW分の風力発電・420GW分の太陽光発電を追加することにより、再生可能発電能力を3倍にすることが可能で、年間170bcmの天然ガスの需要を節約できると試算しており、2027年までに露産の化石燃料への依存を断ち切る計画を5月に発表する予定で、この計画には再生可能エネルギー事業の認可手続きを簡素化する法律上の提案も含まれる見込み。

原文

Reuters (04/19)


3.MEPC 78:日米英豪等が2050年までの炭素中立を求める

6月6日から、IMOではMEPC 78が開催される予定だが、日米英豪等は、2050年における海運からのCO₂削減目標を、対2008年実績比50%削減するという現在の目標から、100%削減に引き上げる提案を提出した。提案国は海運についてもパリ協定の目標と整合的な削減を実施する必要があり、CO₂削減のための当面の対策を見直す過程において、2050年に達成すべき目標について解釈の違いができないように、正確な定義づけを行うべきとしている。さらに、EU諸国は、2050年までの炭素中立化に加えて、2030年までの中期削減目標の強化と、さらに2040年までの目標の設定を提案している。中国・ブラジル・南アなどの諸国は、新たな市場原理に基づく措置として「国際海事持続可能基金と報償」メカニズムを提案しており、船舶の積載量と年間実運航距離に応じて、排出可能なCO₂の幅を定めて、許容限度の上限を超えた船舶から課金を徴収し、その課金を原資に、許容限度の下限を下回った船舶に報償を与えることを提案している。

原文

Splash247 (04/19)


4.地球温暖化により海流の速さが10年間で15%上昇

地球温暖化によって海水温が上昇するだけではなく、1990年から2013年にかけて海流の速度が10年間で約15%上昇するという研究が2年前に発表されたが、その時点では多くの科学者が海洋上の風の速度が速くなるために、海流の速度も上がると理解していたが、新たな研究によれば、海洋は海面から海底に向かって温まるので、海流が流れる表面のスペースが狭くなることにより、動脈の詰まったところで血流が早くなるように、海流の流れが速くなっていることが分かった。海流の速度が上がることによって海洋に吸収される熱量を制限し、魚類の回遊を複雑化している。

原文

Science (04/19)


国内ニュース

1.日本郵船:3隻目のメタノール二元燃料エンジン搭載船が竣工
原文

4月20日、日本郵船


Webinar情報

1.CSIS:Maritime Security Dialogue:Force Design 2030 and Marine Corps Modernization Efforts
May 4
https://www.csis.org/events/maritime-security-dialogue-force-design-2030-and-marine-corps-modernization-efforts?mc_cid=097b279224&mc_eid=9242d4112d

2.World Ocean Day:Revitalization/ Collective Action for the Ocean
June 8, 10:00-13:00 EDT
https://www.eventbrite.com/e/2022-united-nations-world-oceans-day-event-registration-272875797857