国際海洋情報(2022年4月18日号)

1.EDF:水素生産の脱炭素化事業のため3GWの電解槽を整備

仏の環境防衛基金(EDF)は、CO₂を排出しない再生可能エネルギーを自ら生産する事業を開始した。具体的には、完全な電化が難しい製鉄業や交通事業向けに、2030年までに世界で合計3GW分の電解槽を整備して、グリーン水素を供給する。このためには、20-30億ユーロの投資が必要となるが、産業間の連携や各国やEUからの財政支援で賄う予定。3GWの電解槽によって、年間45万トンの水素の製造が可能で、300万トンのCO₂の排出を削減することができる。フランスでは、現状では水素は化石燃料から生産されているので、水素の生産のために年間1150万トンのCO₂を排出しており、仏国内で年間に排出されるCO₂の約3%を占めている。世界全体では、化石燃料から年間8000万トンの水素が生産されているので、水素生産の脱炭素化が緊急の課題となっている。仏政府は6.5GW分の電解槽を整備して、グリーン水素を生産する戦略を2020年9月に立てている。

原文

Euractiv (04/18)


2.英サザンプトン港:クルーズ船ターミナルで陸上電源の供用開始

英国の港湾民間運営会社であるAssociated British Portsは、2019年と2021年にサザンプトン港の二つのクルーズターミナルに陸上電源施設を整備すると公表していたが、HorizonとMayfairの2つのターミナルで、陸上電源施設の供用を開始した。陸上電源の整備には900万ポンド(約15億円)がかかったが、地方政府の財政的支援を受けた。英国政府は、英国運輸省の中に海運の脱炭素化を専門に扱うUK SHOREを設置したが、運輸大臣は、今回の陸上電源の整備について、港湾の脱炭素化と港湾周辺の大気汚染の改善に資するものとして歓迎している。

原文

Safety4Sea (04/18)


3.欧州港湾協会:欧州議会における港湾陸上電源の整備に関する修正案を支持

欧州議会の交通観光委員会における港湾の陸上電源(Onshore Power Supply:OPS)の整備に関する検討で、超党派で以下のようなコンセンサスができていることについて歓迎する。①OPS整備に関しては、環境改善効果が高いところから優先整備する。②OPS整備の優先順位を決定するにあたっては、利用度が高いターミナルを優先し、使用頻度が低いOPSが整備されるのを避けるため、OPSの整備を求める最低交通量基準は、港湾単位ではなく、ターミナル単位で決められるべき。③陸上電源の未整備を港湾当局の責任にしない。④OPSの利用者に対して、寄港に当たって、OPS使用意思の有無・必要な電力量を事前に港湾管理者に連絡することを義務付けるメカニズムを構築する。⑤OPSの整備に関する代替燃料インフラ規則(AFIR)とOPSの使用に関するFuelEU Maritimeの間の整合性を担保する。

原文

ESPO (04/18)


4.Our Ocean Conference:EUが海洋保護に10億ユーロの政策を発表

4月14日、EUはパラオで開催されたOur Ocean Conference (OOC)で国際的な海洋統治のための約束を改訂し、これまでのOOCで発表した約束としては最大規模の、2020年から2022年の期間で実施する総額約10億ユーロ(約1390億円)の44の約束を発表した。2022年のOOCのテーマはOur Ocean, Our People, Our Prosperityで、海洋資源の持続可能な管理・気候変動に対する海洋の耐久性の強化・将来の海洋の健康の確保などについて話し合われた。EUは、海洋保護区・海洋汚染の防止・海洋に関する気候変動減少への対策・持続可能な海洋経済の創造・持続可能な小規模漁業/養殖業の推進・安全で確固たる海洋の達成など、OOCで議論されたすべての分野で約束を行った。

原文

欧州委員会 (04/18)


国内ニュース

1.Class NK:GHG排出マネジメントツール“ClassNK ZETA”をリリース
原文

4月15日、Class NK


2.商船三井:Trafiguraとバイオディーゼル燃料供給体制構築に関する覚書を締結し試験航行に成功
原文

4月19日、商船三井


3.三菱造船:「アンモニア・液化CO2兼用輸送船」のコンセプトスタディーを完了
原文

4月18日、三井造船


4.旭タンカー:川崎港にEVタンカー給電ステーションが完成しました

原文

4月14日、旭タンカー


Webinar情報

1.CSIS:Maritime Security Dialogue:Force Design 2030 and Marine Corps Modernization Efforts
May 4
https://www.csis.org/events/maritime-security-dialogue-force-design-2030-and-marine-corps-modernization-efforts?mc_cid=097b279224&mc_eid=9242d4112d

2.World Ocean Day:Revitalization/ Collective Action for the Ocean
June 8, 10:00-13:00 EDT
https://www.eventbrite.com/e/2022-united-nations-world-oceans-day-event-registration-272875797857