国際海洋情報(2022年4月13日号)
1.IMO:黒海とアゾフ海における海上保安・安全情報
IMO事務局長は、緊急タスクフォースを設置し、船舶・港湾・船員に対する保安・安全上のリスクを軽減するための施策の調整を実施。黒海・アゾフ海に取り残された船舶に関する情報の報告制度を設け、当該船舶の旗国に最新の状況に関するガイダンスと助言を提供。3月30日現在で、ウクライナの港湾・水域に取り残された商船は86隻で、約1000人の船員が乗り組んでいる。IMOとILOの事務局長は、国際赤十字委員会・国境なき医師団・国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)に対して、船舶に取り残された船員に対し、食料・燃料・飲料水などの生活必需品の供給を連名で要請。IMO理事会の要請を受けて、IMO事務局長は黒海とアゾフ海にブルー安全海事回廊を設定するために関係者と調整しているが、船舶の出港に伴う保安上のリスクが解決されず、前進していない。
原文
IMO (04/13)
2.人間の血液中にマイクロプラスチックを初めて発見
人間は食料や水を通じて、さらには空気を呼吸することにより、体内にマイクロプラスチックを取り込んでいるが、アムステルダム大学の研究者たちの報告にいれば、22人の健康な人の血液のうち、17人の血液からマイクロプラスチックが発見され、その半分には飲料水のボトルに使用されるPETが、1/3には食料のパッケージなどに用いられるポリスチレンが、1/4からはレジ袋に使用されているポリエチレンが発見された。これらのマイクロプラスチックが健康に与える影響は解明されていないが、実験室では、マイクロプラスチックが人間の細胞を傷つけることが分かっているし、大気中の汚染粒子が体内に入ると、多くの早死を引き起こすことが分かっている。乳児はプラスチックボトルからミルクを飲んでいるので、多くのマイクロプラスチックを体内に取り入れ、便の中に含まれるマイクロプラスチックの比率は大人と比べて10倍も高いことが分かっている。
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The Guardian (04/13)
3.交通と環境:LNG燃料船から多くのメタンが漏出
天然ガスのサプライチェーンにおける天然ガスの漏出問題については、LNGを舶用燃料として使用する場合には、IMOの調査によれば、機関の種類に応じ、機関より0.2%から3%の天然ガスが漏出し、大気中に放出されている。結果として、LNGを燃料とする機関から排出されるGHGの総量は、既存の重油燃料船の機関から排出されるGHGの排出量より、全体の8割のケースで多いことがわかった。「交通と環境」は実際の2隻のLNG燃料船についてどれだけメタンが排出されているか光学ガスイメージで観測したところ、燃焼しなかった炭化水素(メタン)が3か所の排気口から高濃度で排出されていることが観測された。世界的に、2021年に発注されたLNG燃料船の総数は、過去4年に発注されたLNG燃料船の合計隻数を超えており、天然ガス業界は、独自のデータに基づいて、メタン漏出量が少ない海運低炭素化の手段としてロビー活動を続けており、2025年以降、新造船の2/3以上はLNG燃料船となる見込みで、舶用燃料に占めるLNGの割合も現在の6%から2030年には20%以上に拡大するものと考えられる。
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Transport & Environment (04/13)
4.ICC IMB:2022年第1四半期の海賊等の件数は37件
国際商工会議所国際海事局(ICC IMB)は、4月12日、2022年第1四半期に全世界で発生した海賊・武装強盗について報告書を発表したところその概要は以下のとおり。①同期間に発生した事件数は全世界で37件、対前年(38件)比ほぼ横ばいとなった。②発生した事故の41%は東南アジア特にシンガポール海峡で発生した。③ギニア湾における事件数は、沿岸国や国際的な海軍の出動により、前年の16件から減少して7件だったが、1月24日には、象牙海岸沖で製品タンカーが乗っ取られて、すべての船員17人が人質に取られる事件や、アンゴラやガーナの錨泊地で、武装強盗が発生しており、引き続き警戒が必要。
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ICC IMB (04/13)
国内ニュース
1.Class NK:NAPA、ClassNK、丸紅が航海最適化ソリューションを活用した燃料消費量及びCO2排出量削減の共同研究を実施
原文
4月11日、Class NK
Webinar情報
1.World Ocean Day:Revitalization/ Collective Action for the Ocean
June 8, 10:00-13:00 EDT
https://www.eventbrite.com/e/2022-united-nations-world-oceans-day-event-registration-272875797857