国際海洋情報(2022年4月7日号)
1.IMO:燃油のサンプリング方法などに関するMARPOLの改正などが発効
2020年のMEPC 75で採択された燃油のサンプリングと試験方法に関するMARPOL条約第VI付属書が発効し、船舶燃料の硫黄分濃度を0.5%以下に抑制するIMO2020年規制が各国のPSC当局等によって適切に適用され、世界的な競争条件の均衡化がはかられる。4月から発効した同付属書の他の改正点としては、新造船のエネルギー効率化基準であるEEDIが大幅に強化されたフェーズ3の開始が、LNG輸送船や一般貨物船などのいくつかの船種について、2025年から2022年に繰り上げられた。
IMO (04/07)
2.Zero-Emission Shipping Mission:脱炭素化のためのロードマップを発表
Zero-Emission Shipping Mission (ZESM)はデンマーク・米国・ノルウェー・Global Maritime Forum等によって創設され、海運の脱炭素化の早期促進のための公民連携組織だが、目標達成のためのロードマップを4月4日発表したところその概要は以下のとおり。①2050年までの海運脱炭素化を達成するためには2030年までに、㋐船舶については、主たる外航海運航路において、ゼロエミ燃料を主たる燃料とする外航船を200隻以上、㋑燃料については、再生可能エネを使用して製造された水素・アンモニア・メタノールなどのゼロエミ燃料と改良されたバイオ燃料が、消費量ベースで舶用燃料の5%以上となり、㋒燃料供給基地としては、少なくも3大陸の10以上の港湾でゼロエミ燃料の供給を可能とすることが必要。②同時に、㋐新燃料の取扱・保管に関する安全・運用面でのリスク管理。㋑関連する政策・法規制の整備。㋒新燃料に対する財政支援を含む経済性の確保などが必要になってくる。
原文
Zero-Emission Shipping Mission (04/07)
3.ノルウェー政府:北海とバルト海でCO₂貯蔵事業を許可
2021年12月に、ノルウェー政府はShell/Equinor等の企業から、同国の大陸棚上の2か所の地域について、CCS技術を用いて回収したCO₂を注入・貯蔵する事業の申請を受け付けていたが、同国の石油・エネルギー省は、4月5日、Equinorに北海の一地域について、Equinorを中心とする共同事業体に、バルト海の一地域について、CO₂を注入・貯蔵する事業の免許を与えた。Equinorは北海の事業については、年間2000万トンのCO₂の貯蔵を、バルト海の共同事業については、天然ガスからアンモニアを生産するBarents Blue事業と連携して実施し、第1期事業としては年間200万トンのCO₂を貯蔵する予定。
原文
Offshore Energy Biz (04/07)
4.独:陸上風力発電拡大のため野鳥保護に関する規制を緩和
ドイツにおいては、かつては陸上風力発電の建設がブームだったが、2010年代に入って、厳しい環境規制とそれに伴う法廷闘争によって、風力発電施設の建設が鈍化・中止された。しかし、風力発電の拡大の必要性は、気候変動対策としてだけではなく、ウクライナ侵攻に伴うロシアによるエネルギー供給依存から脱するためにも、焦眉の急となっている。緑の党出身で、副首相兼経済・気候変動対策大臣は、出身母体の緑の党や環境大臣を説得し、再生可能エネルギーの拡大を自然環境保護より優先するための妥協案に合意した。具体的には、新規の陸上風力発電所建設にあたっての、環境影響調査の中で、野鳥が風力発電施設に衝突する確率の計算方法を見直し、絶滅に瀕している野鳥の風力発電施設が建設される地域に生息しているか否か調査する方法を簡略化し、陸上風力発電事業者が負う立証責任の範囲を限定し、保護すべき野鳥の種類を16種類に限定した。
原文
Euractiv (04/07)
Webinar情報
1.World Ocean Day:Revitalization/ Collective Action for the Ocean
June 8, 10:00-13:00 EDT
https://www.eventbrite.com/e/2022-united-nations-world-oceans-day-event-registration-272875797857