国際海洋情報(2022年4月4日号)

1.IMO:下水汚泥の海洋投棄禁止へ

下水汚泥は、1996年のロンドン議定書とその前身の1972年条約でも、海洋投棄が認められており、多くの加盟国が過去において海洋投棄を実施してきた。ロンドン条約の下では、原則としてすべての廃棄物の海洋投棄が禁止されているが、例外的に海洋投棄が認められる廃棄物のリストがAnnex 1に列挙されている。このリストから下水汚泥を削除する提案が韓国とメキシコから共同提案されており、この提案が合意されれば、下水汚泥の海洋投棄が世界的に禁止されることとなる。下水汚泥の海洋投棄の現状について、世界的に調査した結果では、過去数十年間に海洋投棄を実施する慣行は大幅に減少し、既に多くの地域協定や国内法制によって禁止されていることから、議定書の加盟国は昨年10月の会合で、下水汚泥をリストから除外する十分な証拠と根拠があることに加盟国は合意している。次回10月の会合で正式に改正案が採択されれば、100日後に発効することとなる。

原文

IMO (04/04)


2.欧州委員会:日用品の使い捨てを抑制する規則を提案

スマートフォン・衣類・家具といった日用品とその原材料の過剰消費によって、世界的に2050年までにごみの量が70%増加することが予測されるが、EU域内で販売される日用品について、耐久性を高め、再利用・修理・リサイクルが可能で、一定割合以上のリサイクル原料を使用するといった循環性を高めるための基準を、欧州委員会は3月30日提案した。現在白物家電については、AからGまでのエネルギー効率に関する格付けの表示を義務付けて、消費者がエネルギー効率の良い商品を選択できるようにしているが、この結果、2021年の実績で、1200億ユーロ(約16.3兆円)の電気代の節約につながっている。繊維・家具・タイヤ・ペイント・鉄などの大きな影響がある製品について、製品ごとの基準が今後作成される。プラスチック製品は、2019年にEU域内で6300万トン生産されたが、そのわずか10%しかリサイクルされていない。循環経済を進めれば、ロシアのウクライナ侵攻でリスクとして明らかになった輸入化石燃料を使用した製品への依存も引き下げることができると欧州委員会はコメントしている。

原文

Reuters (04/04)


3.米上院:外航海運改革法案を承認

米国上院は、3月31日、全会一致で、連邦海事委員会(FMC)の海運会社に対する調査権限を強化し、外航海運会社の実務の透明性の確保を目的とする外航海運改革法(The Ocean Shipping Reform Act)を承認した。提案者であるシューマー上院議員は、「同法によって、米国の輸出と米国民に悪影響を与えている不公正な海運会社の業務方法を改革し、米国民の負担を減らすことができる。サプライチェーンの混乱によって、米国からの輸出品が港湾で滞貨し、米国の農民などの輸出事業者の負担を増している。」とコメントしている。同法では、海運会社が米国の輸出品を正当な理由なく輸送を拒否することを禁止し、海運会社に対して四半期ごとに、米国関連で輸送した輸出品・輸入品の数量をFMCに報告することも義務付けている。

原文

Reuters (04/04)


4.Yara:北欧でグリーンアンモニアの舶用燃料供給ネットワークを展開

世界で最大級のアンモニア製造事業者で肥料製造事業者でもあるYaraは、世界で最初の舶用グリーンアンモニアを供給するネットワークを2024年までに北欧に展開すると4月1日発表した。同社はAzane Fuel Solution社に対して、15基の浮体式燃料供給ターミナルを仮発注した。ノルウェー政府のGreen Initiative事業の下、Azane社の株主であるAMON Maritime社とECONNECT Energy社が資金を提供し、Innovation Norwayとノルウェー研究理事会からの資金支援も受けて、Azane社が浮体式燃料供給ターミナルをまず試作する。Yaraの舶用燃料供給ターミナルは、艀上または岸壁に建設され、アンモニア貯蔵施設とアンモニアの受け入れ・供給設備を設置し、アンモニアの受け入れ・供給は船舶経由でもタンクローリー経由でも実施できるようにする。

原文

Yara (04/04)


Webinar情報

1.World Ocean Day:Revitalization/ Collective Action for the Ocean
June 8, 10:00-13:00 EDT

https://www.eventbrite.com/e/2022-united-nations-world-oceans-day-event-registration-272875797857