国際海洋情報(2022年3月28日号)

1.WMO:全世界で5年以内に異常気象の早期警報システムを整備

3月23日、「世界気象の日」にあたって、国連事務総長は、5年以内に、全世界で異常気象の早期警報システムを整備するための目標を掲げ、具体的な行動計画を11月にエジプトで開催されるCOP 27で発表するよう世界気象機関(WMO)に対して命じた。事務総長は気候緩和対策と適応対策に等しく投資すべきで、人々が早期警報によって、嵐・熱波・洪水・干ばつなどを予期し、前広に対策を講じることが出来ようにすることが重要だが、現状では、主として後発発展途上国や小島嶼国などを中心に、世界の1/3の人々が早期警戒情報を得られない状況にある。アフリカだけで見れば、この割合が60%に跳ね上がる。WMOが2021年に発表した災害統計によれば、1970年から2019年の過去50年間に、全世界で自然災害数は5倍に増加し、ほぼ毎日発生し、1日当たり115人が亡くなり、約2億ドルの経済損失をもたらした。

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WMO (03/28)


2.ICCT:LNG燃料船から漏出するメタンの実際量を計測する調査を開始

LNGが舶用燃料として、使用される量は2012年から2018年にかけて、全世界で約30%増加し、新造船の燃料として採用されることが多くなったが、LNGを燃料とした際に漏出されるメタンの量については、船上或いは実験室で計測されたわずかな研究しか存在しない。このためInternational Council on Clean Transportation (ICCT)は、デンマークのExplicit ApSとオランダの応用化学研究所と共同で、ドローンやヘリコプターなどを使用して、実際にいろいろな条件下で運航しているLNG燃料船から排出されているメタンの排出量を、大規模に測定し検討するためのFugitive Methane Emissions from Ships (FUMES)研究調査事業を開始した。調査では、機関から排出されるメタンだけでなく、燃料タンクと貨物タンクから漏出するメタンの量も計測する。機関から漏出するメタンは、機関の種類によって異なるので、本調査は、低圧デュアル機関(LPDF)と高圧デュアル機関(HPDF)機関に絞って調査を実施する。

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ICCT (03/28)


3.マースク:北米で300台の大型電動トラックを導入

マースクは自社のサプライチェーンの脱炭素化の一環として、同社が出資する物流テクノロジー会社のEinrideと連携して、マースクの北米における陸上物流事業Performance Teamに使用される大型トラックの300台を電気自動車としては最大のトラックに2023年から2025年に置き換えると3月24日発表した。電気トラックはEinride社のデジタル陸上貨物輸送システムと充電施設を用いて運行される。

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Maersk (03/28)


4.中国政府:2035年までのグリーン水素生産目標を発表

中国は既に世界最大の水素生産国だが、3月23日、中国の国家発展改革委員会は、第14次5か年計画の中で、水素産業の発展を優先し、2035年までに交通・エネルギー備蓄・エネルギー多消費型の産業などすべての需要をカバーする完全な水素産業を作り、エネルギー全体に占める水素の割合も大幅に引き上げると発表した。具体的には、2025年までに、年間10万トンから20万トンの再生可能なグリーン水素を生産し、5万台の水素を燃料とする自動車の普及を実現し、年間100万トンから200万トンのCO₂排出を削減する。現在中国は年間3300万トンの水素を生産しているが、その約8割が石炭と天然ガスを原料として生産され、残りの2割は他の製造過程の副産物として生産されているが、中国は再生可能電力の発電量でも既に世界最大であり、グリーン水素へのシフトの可能性は十分ある。

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South China Morning Post (03/28)


国内ニュース

1.丸紅:英国bp社との洋上風力開発に関するパートナーシップ契約締結
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3月23日、丸紅


2.商船三井:ウインドチャレンジャー搭載船の導入計画が国交省「環境性能等に優れた船舶(特定船舶)導入計画」として認定
原文

3月23日、商船三井


Webinar情報

1.World Ocean Day: Revitalization/ Collective Action for the Ocean
June 8, 10:00-13:00 EDT
https://www.eventbrite.com/e/2022-united-nations-world-oceans-day-event-registration-272875797857