国際海洋情報(2022年3月23日号)

1.バンクーバー港で錨泊・停泊中の船舶からのスクラバー洗浄水の放水が禁止

バンクーバー港に錨泊または岸壁に停泊中の船舶は、3月1日よりスクラバー洗浄水の海中への排水が禁止される。International Council on Clean Transportの調査では、2020年末の時点で、同港内で運航する船舶の数は252隻で、港内で1080万トンの洗浄水を港内に排出していたが、今回の規制によって、全体の88%にあたる950万トンの洗浄水の排水が禁止される。規制導入前は、同港は世界で4番目の洗浄水によって汚染された港湾であった。残りの125万トンは港内で運航中の船舶から排出される洗浄水だが、実施時期は未定だが、将来的には港内のすべての船舶からの洗浄水の排水が禁止される予定。

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ICCT (03/23)


2.北極と南極で同時に異常な気温上昇が進行中

南極における気温は週末にこれまでの最高レベルに達し、平年より40℃も気温が高くなったところが続出した。北極でも、平年より30℃も高い気温を観測した地点が複数出た。通常この季節は、南極では夏が終わって急速に寒冷化し、北極では日照時間が延びるにつれて、ゆっくりと冬から脱する時期で、二つの極で同時にこのような気温上昇が進行することは極めて異例である。ペンシルバニア大学の地球システム科学センターの教授は、今回の気温上昇は、気候モデルの予測をはるかに超える異常なものであると警告している。NASAの専門家は、この異常な気温上昇の結果、この夏の北極海の最小海氷面積は大幅にこれまでの記録を破って、小さくなり、海氷が無くなった海面が多くの熱を吸収して、さらに地球の温度の上昇を加速化すると予測する。

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The Guardian (03/22)


3.豪Great Barrier Reefでサンゴの白化が進行

世界遺産であるGreat Barrier Reef (GBR)は、昨年UNESCOによって、2度「危機遺産」に指定されそうになったが、豪政府の必死の働きかけで、危機遺産に指定するかどうかの判断は今年まで延期されることになった。GBR公園管理庁は、この夏の間、猛暑に襲われて、海水温が平年より2℃から4℃上昇して、GBRのほとんどの部分が広範に強度の熱ストレスに晒されていると発表した。航空機による上空からの観察では、サンゴのコロニー全体が白化している場所や、死滅している場所が複数確認された。UNESCOの専門家は3月21日から豪を訪問し、豪連邦政府とクイーンズランド州政府の科学者・行政官・議員などと10日間意見交換を行い、6月に開催される予定のUNESCOの世界遺産委員会にGBRの状況を報告する予定。豪政府は、GBRの保護のために、水質の改善・サンゴ礁のモニタリング・生息地の保護などに、今年だけで10億豪ドル(約880億円)を支出したが、世界遺産たるGBRの保全に十分な措置を取っていないと非難を受けている。

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Reuters (03/23)


4.オランダ:2030年までに洋上風力発電量を倍増の21GWに

3月18日、オランダ政府は、北海において合計で10.7GW分の新たな洋上風力発電施設の建設のための海域を指定したと発表した。この結果、2030年までに洋上風力発電量は合計で現在の2倍の21GWとなり、同国のエネルギー源として最大のシェアを占めることとなる見通し。具体的な建設場所は、この夏までにRoadmap 2030+の一部として、今回指定された海域の中で決定される。政府は洋上風力発電施設の整備と並行して、最大で16.9億ユーロ(約2230億円)を気候基金から支出して、(洋上風力発電施設建設によって影響を受ける)海上交通の安全の確保・漁業の持続可能性の向上・北海の海洋生態系の保護/強化のための事業を実施する。

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Offshore Wind Biz (03/23)


国内ニュース

1.日本郵船:4回目となるバイオ燃料での試験航行に成功
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3月16日、日本郵船


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