国際海洋情報(2022年3月22日号)

1.人間が摂取するカフェインによって海洋生物が悪影響

コーヒーなどによって人間が摂取するカフェインの一部は排泄され、下水処理場経由で海洋に流れ込む。アベイロ大学の研究者たちが発表した研究によれば、薬品やプラスチックによる海洋汚染はよく行われる研究だが、カフェインによる海洋生物に対する影響に関する研究は比較的少ないものの、カフェインは広範な天然の魚の体内から検出されている。実験室において、藻類・アサリ・ムール貝・ウニ・甲殻類などを、海洋で実際に観測されたレベルのカフェインに晒すと、再生産・成長・代謝機能・細胞損傷などの悪影響が観察された。カフェインはダイオキシンやPCBのように長期間にわたって環境を汚染するわけではなく、海中における半減期は100日から240日とされているが、カフェインは毎日絶えることなく海洋に流れ込むので、影響は無視できない。海中のカフェイン濃度は河口周辺・都市部・観光地の沿岸で高いと予測されるが、水深の浅い沿岸域や海流の流れが弱いところでは、汚染リスクが高まると考えられる。

原文
Hakai Magazine (03/22)


2.Integrity Council:自主的な炭素取引市場のための基準作りの段取りを発表

自主的な炭素取引市場(Voluntary Carbon Market: VCM)のための統合委員会(Integrity Council: IC)は、VCMが地球の温暖化を1.5℃以内に抑制するという目標をちゃんと促進することを担保するための独立した監督組織で、最善の科学的知見に基づき、VCMで取引される炭素クレジット(CC)の世界的に確立された基準を作成・適用することを目的とする。高品質なCCと認定されるための基幹的な炭素原則(Core Carbon Principles: CCPs)と評価の枠組み(Assessment Framework)は炭素取引市場に詳しい世界的に有名な12名の科学者と、炭素隔離や先住・地域住民の権利など個々のテーマに関する専門家11名から構成される専門家パネルが案を作成し、5月にパブコメに付され、最終化されたものが今年度第3四半期に発表される予定。

原文
ICVCM (03/22)


3.LR:「グリーン海運回廊のための港湾におけるエネルギーの供給」報告書

ロイズ船級協会が、Arup等と連携して標記報告書を発表したところその趣旨は以下のとおり。①大西洋においてブラジル・南ア・モロッコを結ぶグリーン海運トライアングルをケーススタディのモデルとして、代替燃料の生産・供給施設を建設するにあたってのリスクと機会について検討し、どのように必要な投資を獲得することができるかについて検討した。②水素経済についてはArupが、海運脱炭素化についてはロイズ船級協会の海運脱炭素化ハブが、港湾のresilienceについては、The Resilience Shiftが知見を持ち寄って、ブルー水素とグリーン水素から生産されるアンモニアなどの燃料の港湾供給インフラの整備について検討した。③どの代替燃料を選択しようとも、代替燃料の需要については、グリーン海運の脱炭素化のモデルケースとして様々な関係者が連携して構築する「緑の回廊」の概念と本質的に関連する。④多くの「緑の回廊」をめぐって、様々な連合が形成されているが、本研究はこうした連合の関係者やインフラに対する投資家を支援するために、包括的なバリューチェーンとしての視点から、解決すべき問題点や必要となるインフラ整備の規模に関する情報を提供する。

原文
ロイズ船級協会 (03/22)


4.RWE:独第2位の電力会社がグリーンアンモニア輸入のためのターミナルを建設

独では、つい最近、ハンブルグ近郊の町のブルンスビュッテルに同国で最初のLNG輸入ターミナルを建設するための、覚書が締結されたばかりだが、同国第2位の電力会社であるRWEはLNGターミナルのそばに、グリーンアンモニアを輸入するターミナルを建設すると3月18日に発表した。連邦政府の経済・気候変動対策担当大臣は、水素キャリアとしてのグリーンアンモニアの輸入ターミナルの建設は、同国にグリーン水素を供給するための重要な貢献となるとコメントしている。本事業は、グリーンアンモニアの輸入・水素への変換・輸送・完全電化が困難なエネルギー多消費型産業への供給を含むバリューチェーン全体をカバーする。2026年から年間約30万トンのグリーンアンモニアが輸入される。第2期の事業としては、輸入ターミナルにアンモニアから水素への大規模な転換装置を建設し、転換された水素を専用のパイプラインで工場に供給する予定。第2期には輸入するアンモニアの量を200万トンまで拡大する予定。

原文
RWE (03/22)


国内ニュース

1.日本郵船:4回目となるバイオ燃料での試験航行に成功
原文

3月16日、日本郵船


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