国際海洋情報(2022年3月17日号)

1.IEA:石油消費を減らすための10項目を提案

国際エネルギー機関(IEA)は、ウクライナ侵攻に伴う世界的なエネルギー危機に対応するために、1日当たり世界で270万バレル石油消費を節約するためにすぐできる10項目の行動計画を提案したところ以下のとおり。①高速道路の速度制限を最低10km/h引き下げる。②可能な限り週3日間を在宅勤務とする。③大都市において、日曜日は自動車を使用しない日にする。④公共交通の運賃を引き下げ、マイクロモビリティ・ウォーキング・サイクリングを奨励する。⑤大都市において、マイカーの使用を、ナンバープレートの番号によって使用できる日を制限する。⑥燃料を節約するためカーシェアリングを奨励する。⑦物流・配送車両の運行の効率化を図る。⑧航空機を使用しないで、新幹線や夜行列車の活用を図る。⑨オンライン会議などの利用により出張を減らす。⑩電気自動車などエネルギー効率の良い自動車の導入を促進する。

原文

IEA (03/17)


2.米国:控訴審の判断で石油ガス掘削リース競売手続きの前進が可能に

米国政府が、石油ガス掘削のためのリース権の競売手続きなどを進めるための前提として、当該行為が環境に与えるコストを算出する必要があるが、バイデン政権はこれまでオバマ政権時代の算出方法を採用していたため、トランプ政権が採用していた方法に比べて、環境コストが高く計算されることに対して、共和党の州から裁判が提訴され、先日連邦地裁の仮処分で、オバマ政権時代の算出方法を政府が使用することを差し止められたが、この仮処分の効力の停止が、先日の控訴審で認められ、内務省がリース権の競売手続きを進めることができるようになったと発表した。米国石油ガス団体は、今回の内務省の発表を歓迎し、内務省がMineral Leasing Actに従い、十分に広い大陸棚の区域について、公正な手続きでリース権の入札を実施することを求めた。

原文

The Hill (03/17)


3.蘭:洋上風力発電施設と運航不能となった船舶が衝突するのを防ぐ方法を実験

1月31日、タンカーと衝突して、操船機能を失ったばら積み船が漂流して、建設中の洋上風力発電施設に衝突するという事故が発生した。こうした事故から洋上風力発電施設を守るために、オランダの海事研究所(MARIN)は、衝突予防のため3つの方法について、3月17日と18日に、実験を実施した。第1は、ブイをつないだロープを移動式の錨で固定する方法。第2は、固定した杭の間にクッションとなるネットを張る方法。第3は、走錨している船舶の錨を海底で引っ掛けるためのフックを海中の錨につける方法で、実験の結果、どの方法もまずまずの成果を上げたため、今後さらに数か月実験を重ねて、それぞれの方法のメリデメを判断し、実験結果は広く公表され、衝突予防方法の実用化を進める。

原文

Offshore Wind (03/12)


4.山火事で発生するbrown carbonが北極圏の温暖化を促進

天津大学の研究者たちがOne Earth誌に標記論文を発表したところその概要は以下のとおり。①北極海の急速な温暖化と海氷の融解は、地球の気温上昇と気候パターンの変化などの地球環境に大きな影響を与えている。②これまでは、北極海の温暖化の原因としてのGHGやblack carbonの粒子が、北極圏の大気中で増加していることが分かっていたが、温暖化のすべての要因が解明されていなかった。③山火事など、バイオマスが燃焼することによって発生するbrown carbonが北極圏の温暖化に果たす役割は解明されてこなかったが、北極圏のクルーズ船から採集したサンプルを用いて、数理モデルによるシミュレーションを行ったところ、光の吸収率が高いbrown carbonは、夏季を中心に北極圏の温暖化に強く貢献していることが分かった。④仮に、今後、山火事の頻度・強さ・範囲が継続的に拡大すれば、山火事から発生するbrown carbonによって、北極圏がさらに温暖化し、気温上昇によって山火事の頻度が増えるという悪循環が成立することが分かった。

原文

One Earth (03/17)


国内ニュース

1.商船三井:藻場の再生保全支援を目的とした『Jブルークレジット』によるブルーカーボン・オフセットに参画
原文

3月18日、商船三井


Webinar情報