国際海洋情報(2022年3月9日号)

1.世界の投資家グループが気候変動対策に反対する企業への対抗策を発表

スウェーデンの年金基金であるAP7とBNP Paribas Asset Managementと英国国教会年金理事会が中心となり、世界の多くの投資家グループが参加して、合計で130兆ドルの投資資金を持つThe Global Standard on Responsible Climate Lobbyingは3月14日、14項目の行動計画を発表し、各国政府が実施しようとする気候変動対策を遅延・骨抜き・中止にするためのロビー活動を実施している企業に対しては、株主総会で議決権を行使すると宣言した。同グループは、投資している企業に対して、企業が実施しているロビー活動の内容を公表して、パリ協定の目的に合致した気候変動対策を支持するような「責任あるロビー活動」を実施することを改めて求めた。

原文

Reuters  (03/09)


2.ロシア船級協会が国際船級協会連合から除名

国際船級協会連合(IACS)理事会は、75%以上の賛成で会員を除名できるという、連合の規定に従って、ロシア船級協会を即日除名することに合意した。個別メンバーの動向としては、DNVがロシア企業との全ての既存の契約を見直し、すべての関連するビジネスから撤退すると発表している。ロイズ船級協会も、DNVに続いて、ロシアが所有・支配・管理するすべての資産と会社に対するサービスを停止すると発表した。米国船級協会は、DNV・ロイズと同様の決定をしたうえで、ジョージア・モルドバ・ウクライナにおける業務を停止すると発表している。

原文

Seatrade Maritime News (03/09)


3.NATO:黒海北西部海域の緊急危険情報

上記緊急危険情報の概要は以下のとおり。①黒海北西部において、商船が、戦闘の巻き添えになり、直接攻撃される危険性が非常に高い。②ウクライナ領の黒海沿岸とオデッサ湾内における軍事行動が活発化する明確な兆候がある。③以上の海域におけるGPS・AIS・通信に対する妨害・混乱、サーバー攻撃の可能性も高い。④黒海とアゾフ海の航海警報を担当するNAVAREA COORDINATOR IIIから、機雷が敷設されている可能性が高い海域の情報も含め多くの航海警報が発せられている。⑤船長がAIS信号を発信続けることが危険であると判断しない限り、予期せぬ事故を回避するためにも、SOLAS条約に従い、AIS信号は継続して発信することを推奨する。

原文

NATO (03/09)


4.南極海の海氷の夏季最小面積の衛星観測が始まって以来最小に

北極海においては、1979年に衛星観測が始まって以来、海氷の減少が急速に進んできたが、南極海においては、いくつかの気候モデルの予測を裏切り、夏季の最小海氷面積は、年によって増減を繰り返してきた。米国雪氷データセンターが3月8日発表したところによれば、南極海は2月25日、この夏季最低の192万㎢の海氷面積を記録し、これまでの最小記録だった2017年の面積より19万㎢少なく、43年に衛星観測が始まって以来最小の面積となった。原因としては、強風によって、海氷が南極大陸沖のロス海からさらに北方の海水温が暖かい海域に流されて、細かく砕かれて溶けたためと考えられる。今後、南極海の海氷が短期間で再び増加に転じるか、或いは北極海のように一貫して減少傾向をたどるかは現時点では判断できない。

原文

Nature (03/09)


Webinar情報

1.Transport & Environment:
Green shipping- Nordic actions foster European and global zero emission
March 17
リンク詳細

2.Economist Impact: 7th Annual Sustainability Week
March 21-24
https://eventsregistration.economist.com/event/794ae119-be9a-4185-b2cd-83bad6be3146/regProcessStep1?rt=2doYuLJDI0mALmn_Ydi3Dg

3.Reuters: Transition Trends 2022
March 24, 14:00 GMT
https://events.reutersevents.com/energytransition/trends2022?utm_campaign=5426-08MAR22-WK14-TA-ASIAPAC&utm_medium=email&utm_source=Eloqua