国際海洋情報(2022年2月22日号)
1.独:2035年までに全電力を再生可能エネルギーから発電する計画を発表
エネルギー政策と気候変動対策を共に所管する独経済省は、2月28日、2035年までにすべての電力を再生可能エネルギーによる発電で賄うため、陸上風力発電と太陽光発電の増加ペースを3倍に、洋上風力発電の増加ペースを2倍にすると発表した。独は、天然ガスの輸入の半分以上をロシアに依存する一方で、本年末までに最後に残った3基の原子力発電所の運転も止めるため、エネルギー供給の混乱には脆弱で、ロシアによるウクライナ侵攻以来、ロシアへの依存を脱し、エネルギー供給の多様化を進めている。短期的な混乱を避けるため、同省はエネルギー事業者に対して、最低限の天然ガスの備蓄を義務付けることも提案している。今年の冬は天然ガスの供給不足で家庭の暖房費が高騰したが、ドイツ国内の天然ガスの貯蔵量の30%以上を握るロシア国営のGazpromは、今年の冬は最低限の量しか貯蔵していない。再生可能エネルギー発電能力が十分に拡大するまでの間、独政府は2030年までに廃止する予定であった石炭火力発電所の運転を継続し、一旦は却下されたLNG輸入ターミナルの建設についても再検討を行う。
原文
Bloombergquint (02/22)
2.世界の約半分のコンテナ会社がロシアへの運航を停止
マースク・MSC・Hapag Lloyd・ONEの大手コンテナ海運4社はロシアへのコンテナ船の運航を中止すると発表した。この結果、ロシアからの重要な輸出物であるアルミニウムなどの価格がさらに高騰する可能性があるが、ロシアを経済的な孤立に追い込み、ロシアの企業は食料・金属・衣料品・電化製品などを輸入する新たな方法を見つけ、輸出品を運ぶ船舶を見つけなくてはならず、高い運賃を支払うなどロシアの消費者物価を押し上げることとなる。今回輸送を停止したコンテナ海運会社4社合計の世界のコンテナ輸送シェアは47%にのぼり、ロシア発着のコンテナ貨物の量は世界全体のコンテナ貨物の約3%となる。コンテナ海運会社の決断は、ウクライナの港湾が全て閉鎖されたことにもよるが、現在の情勢にかんがみ、多くの貿易が控えられていることにもよる。ルーブルの価値の下落と併せて、いくつかの電化製品などはロシア国内ですでに約30%値上がりしている。
原文
Yahoo Finance (Bloomberg) (02/22)
3.世界の大手石油メジャーがロシアの事業から撤退・新規投資の中止
英国のBPが、ロシア国営石油会社ロスネフチの持ち分を売却し、露市場から撤退すると表明してから、英国のShellとノルウェーのEquinorも2月28日同様の決定をし、発表した。Shellは露の国営ガス会社ガスプロムの持ち分も売却すると発表したが、ガスプロムは独政府によって停止させられたNord Stream 2を担当している。仏のTotalEnergiesも露の新規事業に投資するのを停止するとともに、ウクライナ政府にエネルギーを供給し、欧州のウクライナ難民を支援すると発表した。一方、国際エネルギー機関(IEA)の理事会は、ウクライナ危機による石油の供給不足が生じないよう、加盟国の緊急備蓄から6000万バレルの石油を放出することに合意し、3月3日には、IEA事務局は来年の冬のシーズンに備えて、ロシアの天然ガスへの依存を減らすための10項目の計画を発表する予定。
原文
Natural Gas Intelligence (02/22)
4.英国:ロシア籍船・ロシア関係者が所有/運航する船舶の英国港湾寄港を禁止
英国政府は追加制裁措置として、ロシア船籍・ロシアと関係する人間/企業等が所有/運航する船舶の英国港湾への寄港を禁止した。また取り締まり当局に、ロシア船を拘束する権限も新たに与えた。その他の追加措置としては、英国人・英国の企業に対し、ロシア中央銀行・ロシア財務省・国家年金基金に金融サービスを提供することを禁じた。
原文
英国政府 (02/22)
国内ニュース
1.鹿島建設:秋田県沖2件、千葉県沖1件の洋上風力発電事業の建設工事に参画
原文
2月24日、鹿島建設
Webinar情報
1.Economist Impact: World Ocean Summit Virtual Week
March 1-4
https://eventsregistration.economist.com/event/61d9b752-e431-40ba-8da2-39ccab8ead8d/regProcessStep1?rt=2doYuLJDI0mALmn_Ydi3Dg&utm_campaign=wos2022&utm_medium=Eloqua&RefID=EM04&utm_content=top-speakers&utm_source=email
2.Economist Impact: 7th Annual Sustainability Week
March 21-24
https://eventsregistration.economist.com/event/794ae119-be9a-4185-b2cd-83bad6be3146/regProcessStep1?rt=2doYuLJDI0mALmn_Ydi3Dg