国際海洋情報(2022年2月18日号)

1.UNEP:2100年までに山火事が世界で50%増加

2月23日に発表された国連環境計画(UNEP)の報告書によれば、気候変動と土地利用の変更の相乗作用によって、世界中で発生する大規模な山火事の件数が、2030年までに14%、2050年までに30%、2100年までに50%それぞれ増加することが判明し、各国政府に対して、実際に必要な消火作業に関する予算の割合を現状の全体の1/2以上から1/3程度に抑え、予算全体の2/3以上を計画・防止・準備・回復に重点配分するように求めた。山火事の防止のためには、地域住民の伝統的な知識を踏まえた情報の収集と科学的なモニタリングと地域的・国際的な連携が必要となる。世界的にみると、最貧国が山火事の影響を最も受けており、山火事による被害の影響は長期にわたって残り、国連SDGsの進捗を妨げ、社会的な不平等を拡大している。

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UNEP (02/18)

2.石油・ガス・石炭産業から公式発表量より70%以上多いメタンが排出

国際エネルギー機関(IEA)が2月23日に発表した報告書によれば、石油・天然ガス・石炭などのエネルギーの生産から排出されているメタンの量は、公式の発表量に比べて、最大で70%多いことが分かった。IEAは衛星からの観測情報と統計上のモデルを使用して、石炭の開発・生産から排出されているメタンの量を初めて計算したが、この結果、中国が世界最大のメタン排出国であることが分かった。世界全体で排出されたメタンの総量は、2020年はパンデミックの影響で約10%削減されたが、2021年は経済が回復し、対前年比5%増加し、地域別でみると、中東の産油国から排出されるメタンの量は相対的に抑制されている一方で、トルクメニスタンをはじめとする中央アジアの産油国では石油・ガスの生産に伴う大量のメタンの排出が確認されている。エネルギー関連の世界3位のメタン排出国は米国だが、原因の大部分は、テキサスのパ-ミアン盆地で発生した石油ガス生産施設の爆発事故によるものである。

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Gizmodo (02/18)


3.DB SchenkerとCMA CGMが連携して脱炭素海運輸送サービスを開始

欧州の大手物流企業のDB Schenkerは同社が扱うすべての小口混載(LCL)貨物の海上輸送を、CMA CGMと連携して脱炭素化するために、2500トンを超えるバイオ燃料の購入契約をCMA CGMと締結した。2500トンのバイオ燃料を使用することによって、海上輸送から排出される7000トン以上のCO₂を削減することが可能で、すべてのDB SchenkerのLCL貨物をCMA CGMのコンテナ船で輸送する際に排出されるwell-to-wakeベースのCO₂をカバーするのに十分な量となる。DB Schenkerを利用する荷主は、直ちに脱炭素LCL輸送を選択することが可能で、脱炭素輸送の証明書を得ることができ、荷主のCO₂排出バランスシートを改善することが可能となる。バイオ燃料は従来燃料と混合して使用することが可能で、船舶の機関やエネルギー供給施設も従来のものがそのまま利用できる現実的なCO₂削減手法である。

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AJOT (02/18)


4.ウクライナ情勢に伴う民間航空に関する各国・航空会社の対応

英国政府が露政府に対する制裁として、露航空会社に対して英国上空の飛行禁止を命令した対抗措置として、露政府が英国航空会社に対して露上空の飛行を禁止したため、英国航空とVirgin Atlantic航空は、露上空の迂回飛行を開始した。ポーランドとチェコも英国に続いて、露航空会社の自国上空の飛行禁止を発表した。ICAOは本件に関し、2月25日に緊急理事会を開催した。大多数の航空会社は依然として露上空の飛行を続けているものの、冷戦時代に給油経由地として利用されていたアンカレッジ空港には航空会社から使用可能性について問い合わせが始まっている。デルタ航空はアエロフロートとのコードシェアを中止し、日本航空はモスクワ便の運航を見合わせている。現在、ウクライナ・モルドバの全空域とウクライナとの国境に近いベラルーシと南部ロシアの一部の空域は飛行禁止空域となっている。

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Reuters (02/18)


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