国際海洋情報(2022年2月17日号)

1.南極大陸周辺の海氷の衛星観測が始まって以来最低の水準に

米国国立雪氷センターは、南極大陸周辺の海氷が、1979年に衛星からの観測が始まって以来最低の200万㎢面積以下になったと発表した。衛星観測が始まって以来、北極海と南極海の海氷の量は、異なる変化を見せており、北極海の海氷は急速に縮小する一方で、南極海の海氷は逆に微増する傾向にあり、2014年には観測以来最大の面積となっていたが、その後減少に転じ、2017年に過去最低の面積となっていた。今年は、ロス海の一部で強風が吹いて、南極海の海氷が北に流れて、温かい海水に触れて、波の力で細かくなるという事情があったので、南極海の海氷の面積が最小になったのが、地球温暖化のせいとは断定できないが、注意深く観察を続ける必要がある。

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The Guardian (02/17)


2.カリフォルニア州が全米で初の包括的なマイクロプラスチック戦略を発表

標記戦略の概要は以下のとおり。①カリフォルニア州は2018年に州法を制定して、カリフォルニア海洋保護理事会(OPC)に州全体としてのマイクロプラスチックに関する研究戦略を策定するとともに、同州の海洋におけるマイクロプラスチック汚染を削減するために早急に取るべき施策を特定することを求めていた。②これを受けて、この度OPCが州全体としてのマイクロプラスチック戦略(SMS)を発表したが、戦略は直ちに実施すべき対策と将来的な研究戦略に関する2部建てになっている。③直ちに実施すべき対策は、プラスチックごみの発生源における総量削減対策、ごみが発生してから海洋に流れ込むまでの過程で海洋への流入を阻止する対策に分けられる。④今後の研究戦略については、マイクロプラスチックの汚染を測定する方法の標準化を通じてマイクロプラスチック汚染の状況を正確にモニターし、マイクロプラスチックが海洋生物や人間の健康に与えるリスクを評価し、海洋に流れ込むマイクロプラスチックの主たる発生源と流入路を特定し、以上の研究に基づき今後重点的に取り組むべき対策を考案する。⑤同州はこの戦略に基づき、今後4年間、勧告された直ちに取り組むべき22の対策と、13の優先的な研究分野に取り組んでいく。

原文

Ocean Protection Council CA (02/17)


3.欧州委員会委員長:再生可能エネルギーへの転換が国家安全保障上必要

2月24日、欧州委員会委員長による記者会見のコメントの概要は以下のとおり。①EUが目指している再生可能な水素エネルギーへの転換は、もはや環境上の要請だけでなく、国家安全保障上の要請となった。②ロシアの侵攻を目の当たりにして、今までの様にEUはロシアの天然ガスに依存することはできなくなった。③天然ガスの供給先の多様化と再生可能水素への転換がこの苦境から脱する道である。④EU諸国はあまりにロシアの化石燃料に依存しすぎたが、ロシア自らロシアが信頼できるエネルギー供給者でないことを示した以上、あらゆる手段を講じて、ロシア産の天然ガス・石油・石炭への依存度を下げなくてはならない。⑤欧州が必要とする天然ガスの最低3割はロシア産だが、今年の冬は、例年よりはるかに少ない契約上の最低限の天然ガスしか供給されていないが、仮にロシアが完全に天然ガスの供給を停止したとしても、欧州委員会はこの冬を越すまで、代替のLNG供給国を確保する。

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The Maritime Executive (02/17)


4.UNEA:プラスチック汚染に関する国際条約に関する決議案

標記決議案の概要は以下のとおり。①プラスチック汚染問題について法的拘束力を持つ国際条約を作成するための政府間交渉委員会をUNEPに設立し、2年後の第6回国連環境会議までに結論を得る。②循環経済を促進し、プラスチックの生産・消費・再利用可能なデザイン・管理・処理などプラスチックのライフサイクル全体を対象として、マイクロプラスチックを含むプラスチックによる環境汚染を防止・削減することを包括的に取り組むことを条約の目的とする。③加盟国はプラスチックごみの発生を防止し、削減するための国家行動計画を作成する。④各国の国家行動計画の進捗状況を報告し、モニターする制度を制定する。⑤条約の目標を達成するために必要な資金的な手当てをする多国間基金や、科学的・社会経済学的な助言を行う専門組織の設置を検討する。

原文

UNEP (02/17)


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